現在はえごま油オリーブオイルなど健康に良い食用油が注目されていますね。米油もテレビで紹介されて、栄養成分や効能が知られるようになってから注目度が高まりました。

米油の特徴や注目の栄養成分と効果効能だけでなく、一部で「米油が危険!」という声もあるようですが、なぜそのように言われるのかなど、詳しくお伝えします。

米油の特徴と脂肪酸について

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米油は精米時に出る玄米の表皮と胚芽からしぼった植物油でサラダ油の一つです。スーパーなどで販売されれているサラダ油の原料は菜種油大豆油コーン油がほとんどを占めています。

それらのほとんどは原料を海外から輸入しているため遺伝子組み換え輸出の際の殺虫剤・防かび剤などのポストハーベストなどの安全性が問題になっています。

一方で米油は国産の米を原料といしている商品が多いので、そのような心配がほとんどありません。

米油の特徴は熱や光、空気に触れても酸化しにくい油なので揚げ物(特に天ぷら)に最適で「油酔い」しにくいと言われています。「油酔い」とは揚げ物をしている人が気分を悪くする(食欲がなくなる)現象のこと

他のサラダ油や食用油よりもカラッと揚がり、油っぽさも少ないというのもうれしい特徴です。

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米油に含まれる脂肪酸の割合!オメガ何系オイル?

最近流行りの健康オイルには

  • 中鎖脂肪酸ココナッツオイルやMCTオイル
  •  オメガ3系脂肪酸(α‐リノレン酸など)えごま油亜麻仁油など
  • オメガ6系脂肪酸(リノール酸)グレープシードオイルなど
  •  オメガ9系脂肪酸(オレイン酸)オリーブオイルなど

などに分けられますが、米油はオリーブオイルと同じオメガ9系のオイルです。

米油の脂肪酸の種類と割合

脂肪酸の種類割合
オノレン酸 42%
リノール酸 37%
パルミチン酸 16%
α‐リノレン酸 2%
その他 3%

このようにオメガ9脂肪酸のオレイン酸が一番多く含まれているオイルなので米油はオメガ9系オイルになります。

脂肪酸種類飽和脂肪酸不飽和脂肪酸があり、さらに不飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸に分けられます。第6次改定「日本人の栄養所要量」では、脂肪酸の望ましい摂取について、

飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の望ましい摂取割合は概ね3:4:3を目安とする」と紹介してます。

米油では

  • 飽和脂肪酸:パルミチン酸
  • 一価不飽和脂肪酸:オレイン酸
  • 多価不飽和脂肪酸:リノール酸、α‐リノレン酸

に分けられますが、食用油の中でも理想に近い割合になっています。

そして単に脂肪酸のバランスが良いというだけでなく、米油の栄養成分が注目されています。

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米油に含まれる栄養成分と効果効能

オレイン酸の効果効能

まず一番米油に多く含まれているオレイン酸には

  • 体内の酸化や活性酵素を防ぎ脳や体の細胞を健康にする
  • 血液をサラサラにする
  • 悪玉(LDL)コレステロールを減少させる
  • 動脈硬化・心筋梗塞の予防
  • 便秘解消
  • 胃酸過多や胃潰瘍の予防
  • などの効果や効能が期待されています。

リノール酸の効果効能と注意点

リノール酸必須脂肪酸の一種で適量であればコレステロール値を下げる効果があり、動脈硬化の予防、治療に用いられています。ですが、リノール酸過剰摂取すると動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、ガン、アレルギー体質などを引き起こすデータが数多く発表されています。

また政府や自治体のホームページでも「リノール酸の摂り過ぎは生活習慣病を引き起こす」と注意を促すなど、本来は体に良い脂肪酸なのですが、最近は悪い脂肪酸の代表という形で取り上げられることが多いです。

本来は悪いのはリノール酸ではなく過剰摂取している人なのです。ただし、リノール酸は意識しないで知らないうちに摂っていることが多いため仕方がないかもしれません。

サラダ油以外にも「植物油脂」と名前を変えて、多くの加工食品に使用されているからです。

リノール酸が多いサラダが含まれている

サラダ油をたくさん摂っている例
お菓子、ドレッシング、カップラーメン、冷凍食品、レトルト食品、マヨネーズなど多くの加工食品

コンビニやスーパーなどの唐揚げ、ポテトフライ、コロッケなど油を使って揚げたりする食品。 ファーストフードやレストランで使用するサラダ油。など

特に揚げ物は油を大量に吸っているので、リノール酸も多く摂取するうえに、危険性が高いトランス脂肪酸の量も多いです。

このうえ自宅でサラダ油を使用しているのであれば、間違いなく過剰摂取している可能性が高いです。サラダ油を使用している家庭はまず別の油への見直しが必要です。

パルミチン酸の効果効能

オレイン酸リノール酸の次に多く含まれているのが飽和脂肪酸パルミチン酸です。飽和脂肪酸というと「健康に悪い!」というイメージがありますが、適量であれば健康に良い脂肪酸です。

このパルミチン酸は「ビタミンAの働きを安定させる」役割を持っていて、ビタミンAは皮膚や目、口、内臓などの粘膜を健康に保つ作用があるので美容にも大きく影響します。

そのためパルミチン酸を摂ることによってしわニキビができにくい肌になります。

パルミチン酸だけでなくオレイン酸リノール酸にも美肌効果があり、抗酸化成分も多く含まれているため、米油を使ったコスメも販売されています。

ただし、食用の米油を肌に塗るのはおすすめしません。美容オイル専用の米油のコスメを使用しましょう。

ビタミンE(トコフェロールとトコトリエノール)

ビタミンEは種類があり、一般的に言われているビタミンEトコフェロールという種類のことを指します。

ですが米油には別の種類であるトコトリエノールも含まれていて、トコフェロール約50倍の抗酸化力があり別名「スーパービタミンE」とも呼ばれています。

ビタミンEの効果効能は

  • 老化防止→アンチエイジング効果
  • 肌のシミ、シワの予防→美肌効果
    (紫外線により発生した活性酵素を除去する働きもあり)
  • コレステロールの減少
  •  動脈硬化の予防→生活習慣病の予防
  • 血行をよくする(血液サラサラ)
  • 溶血性貧血の予防
  • 生殖機能の維持(更年期障害の改善、精力減退の改善)

などが期待されています。もともとビタミンEは欠乏すると不妊症を招きやすいということで発見された成分で月経不順生理痛の改善などにも役立っています。

γ(ガンマ)オリザノールの効果や効能

血液サラサラ

γ‐オリザノールは米油特有の栄養素でポリフェノールの一種です。ビタミンE同様に抗酸化力が強い成分で血液をサラサラにする働きがあると言われています。

血液がドロドロの人はさまざまな病気を招きシミやしわなど肌も老化しやすいですが、米油を摂っている人は血管年齢も若い人が多いと言われています。

γ‐オリザノールの効果や効能は

  • コレステロール値を減らす→脂質異常症の予防
  • 自律神経に働きかける→更年期障害の改善
  • 胃腸神経症の改善
  • 脳の劣化防止

などが期待されています。

実際に高脂血症や自律神経失調症老人性認知症の医薬品としても使用されている成分です。

植物ステロールの効果効能

植物ステロールとは植物の健康成分であるファイトケミカルの一種です。ファイトケミカルとはギリシャ語で植物という意味で植物に含まれる抗酸化物質のことです。

植物ステロールには血液中のコレステロール値を抑える働きがあり、動脈硬化や心筋梗塞、高コレステロール血症などの生活習慣病を予防すると期待されています。

その他にも前立腺肥大によるトイレの悩みを改善する働きや免疫力を高める効果もあり病気にかかりにくくなると言われています。

植物ステロールは他の植物油にも入っていますが一番多く入っているのは米油で100gあたり961㎎含まれています。

コレステロール値を下げるたに必要な植物ステロールは1日1000㎎(1g)と言われていますが実際に1日の食事から摂っている量は約100~400mgと不足ぎみです。

米油の1日の必須摂取量は大さじ1杯(約15g)と推奨されています。そうなると米油での植物ステロールの摂取量は150mg弱となります。

こんなに健康に良いのに大さじ1杯程度しかダメなの?」という声が聞こえてきそうですが、食用油はカロリーが高いです。(どの油もカロリーはほとんど同じ)

このような理由もあって1日の摂取目安量は大さじ1杯(15g程度)と書いてある米油の商品もあります。

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米油が危険と言われる理由は?

健康に良い成分も含まれている米油ですが、Yahoo!などで「米油」と検索すると「米油 危険」と表示される場合があります。その理由はいくつかあります。

①リノール酸の過剰摂取

先ほども紹介したようにオメガ9系オイルでありますが、オメガ6のリノール酸も同じくらいの量が含まれています。オレイン酸が摂取できるのでおすすめしたいところですが、同時にリノール酸も摂取してしまうというデメリットもあります。

リノールの含有量は

オリーブオイル、アボカドオイルなど米油サラダ油グレープシードオイルごま油など

となっています。

②油の抽出方法が危険

食用油の本来の製造方法は圧搾法です。これは原料に物理的に圧力をかけて搾(しぼ)る方法で、安全性が高く、原材料が持つ栄養素も残るというメリットがあります。

ですが、原料から摂取できる油の量が少なく(つまり効率が悪い)、時間もかかるため商品価格が高くなります。

そのため現在、一般的な製造方法としてはノルマルヘキサン(n-ヘキサン)などの化学溶剤を使用して原料を効率良く抽出することができます。

圧搾法では原料から2~3割程度しか油が抽出できなかったのが溶剤を使用することで、ほぼ100%抽出できるようになります。

化学溶剤は危険?

この化学溶剤は危険性が高いですが、高温で蒸留することでn-ヘキサンは揮発して無くなります。そのため一般的には「危険性がない」と言われていますが、一部では「本当に安全なのか?」と疑問視する人もいます。

また溶剤の危険性は全くないとしても高温で蒸留する際にトランス脂肪酸が発生するため、その危険性が指摘されています。実際に米油は他の食用油と比べて生産量も少なく、圧搾法で製造している商品もほんの一部しかありません。

ただ溶剤やトランス脂肪酸が危険だから「米油は危険」となると、本物の食用油の製法である低温圧搾(コールドプレス)製法の油はほとんど販売されていないため、食用油の9割以上は危険となってしまいます。

サラダ油のような

  • 原料が遺伝子組み換え作物
  • ポストハーベストの心配
  • 脂肪酸以外の栄養成分は含まれていない
  • 危険性の高いトランス脂肪酸の摂取

という体に全く良くない食用油よりも

米油のような

  • 原料が国産で遺伝子組み換えではない
  • ポストハーベストの心配もない
  • ビタミンEやγ‐オリザノール、植物ステロールなどが含まれている
  • トランス脂肪酸の心配がない

といった特徴がある食用油の方が危険性は低いと言えるでしょう。

ただ一部の米油はサラダ油と製法が変わらない商品もあるので、心配という人は圧搾製法の商品を選ぶようにしましょう。

➂カネミ油症事件

1968年、カネミ倉庫製の米ぬか油(=米油)を食べた人に黒い吹き出物などの皮膚障害や内臓疾患などがあらわれ、西日本一帯の1万4千人が健康被害を届け出た事件です。
油の製造過程で混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)が加熱されて生じたダイオキシン類が主原因とされています。

治療法がないため、現在も苦しまれている方がいますが、この事件以降は米油の事故は起きていませんし、米油の問題というよりも混入した物が危険だったということで、現在はこのような健康被害の心配はありません。

米油=危険」と言われる理由をいくつか挙げてみましたが、サラダ油と比べれば危険性は低いので、過剰摂取さえしなければ問題ないといえるでしょう。

まとめ

米油はオメガ9系のオイルでその中でも抗酸化力が強い栄養成分が多く含まれています。

  • 生活習慣病招く動脈硬化の予防
  • 更年期障害の予防
  • 美肌

などの効果も期待されています。

加熱にも強く炒め物や揚げ物に最適なので、現在サラダ油を使っている人はぜひ米油に変えてみてはいかがでしょうか。

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