最近は健康油の人気が高まっていますが、たくさんの種類があって、どれを選んでよいのか迷ってしまいますね。
特に「オリーブオイル」と「グレープシードオイル」は原料が同じ果物ですが、大きな違いがあるオイルなのはご存知でしょうか。
これから購入する際のお役に立つ内容ですので、しっかりと理解してから選びましょう。
オリーブオイルとグレープシードオイルの違い
オリーブオイルとは?その原料と特徴
オリーブオイルの原料は果物のオリーブの実です。この果実を搾(しぼ)ってジュースを作り、そのジュースをしばらく置いておくと、「油分は上」に「水分は下」に自然に分かれていきます。この上の油分だけを集めると、それがオリーブオイルになります。
注目されるようになったのは高脂肪食でもオリーブオイルをたっぷり使った地中海沿岸の食生活が「心臓病のリスクが少ない」ことがわかってからです。
また、肌に塗っても美肌効果があると美容オイルとしても人気が高まりしました。
詳しくは「オリーブオイルの注目の栄養成分と効果効能や使い方!うがいで口臭予防って本当?」をご覧ください。
グレープシードオイルとは?その原料と特徴
グレープシードオイルは「ぶどう(グレープ)の種子(シード)」から作られるオイルで、白ワインを製造する過程で取り除かれる種子を乾燥して圧搾(あっさく)、精製したものです。
オリーブオイルはオリーブの種類や産地によって味や風味に違いがあり、苦手という人も多いですが、グレープシードオイルは口当たりはサラリとしていてクセがなく香りはほとんどないため、万人受けするオイルです。
また肌に塗ってもサラッとしていてなじみやすいのでオリーブオイルと同様に美容オイルとしても人気があります。
2つのオイルはどちらも果物の一部分から抽出されたオイルですが、
- オリーブオイル:「果実から抽出」
- グレープシードオイル:「種から抽出」
と抽出される箇所に違いがあります。種の部分には脂質が多く、グレープシードオイル以外にも亜麻仁油やえごま油、ひまわり油などたくさんの食用油が種から抽出されます。
一方果実から油が抽出されるタイプはほとんどなく、手に入りやすい食用油の中ではオリーブオイル以外にはアボカドオイルくらいなので、珍しいオイルと言えます。
詳しくは「グレープシードオイルとは?栄養成分と効果効能や使い方!危険と言われる理由はなぜ?」をご覧ください。
食用油の種類!オメガ何系のオイル?
食用油の大半を占める脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分けられます。
さらに不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸はαリノレン酸やDHA、EPAなどのオメガ3系脂肪酸とリノール酸などのオメガ6系脂肪酸に分けられます。
そして一価不飽和脂肪酸はオレイン酸のオメガ9系のオイルと言われています。
グレープシードオイルはリノール酸が一番多く含まれているので「オメガ6系のオイル」です。
脂肪酸の種類と割合
オリーブオイル
脂肪酸の種類 | 割合 |
---|---|
オノレン酸 | 75% |
パルミチン酸 | 11.5% |
リノール酸 | 9.5% |
その他 | 4% |
グレープシードオイル
種類 | 含有量 |
---|---|
リノール酸 | 61.4% |
オレイン酸 | 21.2% |
パルミチン酸 | 11.1% |
その他 | 6.3% |
2つを比較すると、
- オリーブオイルはオレイン酸の割合が多い(=オメガ9系オイル)
- グレープシードオイルはリノール酸の割合が多い(オメガ6系オイル)
ということがわかります。
ではそれぞれに一番多く含まれている脂肪酸の効果や効能に違いはあるのでしょうか?
オレイン酸とリノール酸の違い
オレイン酸の効果効能と特徴
オリーブオイルの脂肪酸の約75%を占めるオレイン酸は
- 血液をサラサラにする
- 悪玉(LDL)コレステロールを減少させる
- 便秘を改善する
といった効果効能が期待されています。
またオレイン酸が多いオメガ9系のオイルはオリーブオイル以外に
- アボカドオイル
- アーモンドオイル
- アルガンオイル
- 米油
- マカダミアナッツオイル
- ひまわり油
などがありますが、家庭もレストランなどの外食産業でも取り扱いが少ないオイルばかりなので、オレイン酸の過剰摂取の心配はほとんどありません。
リノール酸の効果効能と特徴
リノール酸は体内で作ることができない必須脂肪酸のひとつで食べ物から摂る必要があり、
- 血圧を下げる
- 血中のコレステロール濃度を下げる
などの効果が期待されています。
ですが、リノール酸はオレイン酸とは違い、過剰摂取の心配があります。
それは日本人が一番多く摂取しているサラダ油はオメガ6オイルでリノール酸がたくさん含まれているからです。「家でサラダ油を使っていないから大丈夫」と思う人もいるかもしれません。
ですが、多くの加工食品には「植物性油脂(サラダ油の別名)」として、コンビニやスーパーの総菜、そしてレストランやファーストフードフードなどで使用する油の多くはサラダ油です。
このようにリノール酸は必須脂肪酸で適量であれば効果が期待できるものの、知らないうちに摂りすぎてしまう可能性があるため、注意する必要があります。
リノール酸の過剰摂取はアレルギー症状が出たり、老化を早める、生活習慣病などにかかりやすいといった悪影響が心配です。
そのため過剰摂取の心配が少ないオリーブオイルは万人におすすめできますが、グレープシードオイルは健康的な人にはおすすめできるものの、肥満や高血圧、高血糖など不健康な人には不向きなので気を付けましょう。
オリーブオイルとグレープシードオイルの共通点
2つのオイルにはいくつか共通点があります。
①熱に強く揚げ物にも向いている
健康油の中には揚げ物には不向きのものもありますが、オレイン酸もリノール酸も熱に強く酸化しにくいため、炒め物にはもちろん、揚げ物にもおすすめです。
②ビタミンEやポリフェノールがが豊富
どちらにも抗酸化成分のビタミンEが豊富に含まれています。「若返りのビタミン」と呼ばれ、肌の老化はもちろん、細胞や血管の老化防止にもつながります。
また血液をサラサラ(血行促進)にする効果も期待されている成分で、含まれている量はグレープシードオイルの方が豊富です。
そして、どちらのオイルにもビタミンEと同じ抗酸化成分のポリフェノールが含まれています。含まれているポリフェノールの種類は違いますが、美肌や健康効果が期待されています。
③注目の成分DMBが含まれている
どちらのオイルにもDMB(3,3-ジメチル-1-ブタノール)という成分が含まれていて体内に入ると腸内細菌に働きかけ、動脈硬化の原因物質であるTMAOの産生を抑えると言われています。
参考サイト:Science daily(最新の研究ニュースのソース)
ただし、ポリフェノールやDMBは品質の良いエキストラバージンオリーブオイルとコールドプレス製法のグレープシードオイルにしか含まれていません。つまり安くて大量生産されているオイルには含まれていない成分なので購入する際は注意しましょう。
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④食べるだけでなく美容オイルにも最適!
オレイン酸は人間の肌にもともと含まれている成分で皮脂の40%を占めています。肌を乾燥から守り、低刺激で保湿効果もあるのが特徴です。
一方、リノール酸も保湿や抗炎症作用などの作用があり、角質から水分が蒸発するのを防ぐだけでなく、肌をなめらかにする作用もあります。さらにリノール酸には肌のバリア機能を高めるといったうれしい特徴も。
このオレイン酸とリノール酸はどちらのオイルにも含まれているので相乗効果が期待できます。
美肌成分のパルミチン酸
2つのオイルに同じくらい含まれている美肌効果がある脂肪酸が含まれています。それがパルミチン酸です。
肌への浸透率が高く、しわを抑えたり皮脂の分泌のコントロールをする働きがニキビを減らすという効果もあり化粧品の原料としても使用されています。
それぞれ、食用ではなく美容オイルとして販売されていますが、食用と美容の両方で使用する場合は、品質の良いエキストラバージンオリーブオイルとコールドプレス製法のグレープシードオイルを選びましょう。
まとめ
オリーブオイルとグレープシードオイルは揚げ物に適していて、美容オイルとしても人気があるなど共通点が多いです。
ですがオイルの種類としては「オレイン酸が多くオメガ9系オイルのオリーブオイル」と「リノール酸が多くオメガ6系オイルのグレープシードオイル」は違うタイプとなります。
サラダ油と違い、トランス脂肪酸の心配がなく、ビタミンEやポリフェノールも含まれているので健康的なオイルとして認知されています。
注意点は現在の食生活ではリノール酸は摂りすぎてしまう傾向にあるため、不健康な人にはグレープシードオイルはおすすめできずオリーブオイルを選んでください。
ただし、大量生産されている品質の低いオイルでは健康・美容効果は期待できません。必ずエキストラバージンオリーブオイルやコールドプレス製法のグレープシードオイルを生活に摂り入れて効果を実感しましょう。
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