テレビ番組「主治医が見つかる診療所」で「正月太りの2kgを1週間でリセット」をするおすすめの食べ物に冷やご飯(番組では「ひんやりご飯」)が紹介されます。
炊飯器の中のご飯が冷えていたら、普通は温めて食べたいですよね。ですが、もしダイエットをしている人、または便秘気味の人にはおにぎりなどにして冷めた状態で食べることをおすすめします。
ご飯はただでさえ炭水化物が多くてダイエットの敵ですし、「温かいご飯」と「冷たいご飯」で温度以外は変わらないはずなのに、なぜ冷めたご飯の方が太りにくい糖質でダイエット向きなのでしょうか?
これを読むと冷たいご飯が食べたくなるかもしれませんよ。
冷やご飯にダイエット効果がある理由
最近は糖質制限ダイエットが流行っていますが、リバウンドしている人も多いですし、極端に炭水化物などの糖質を減らすと健康を害すると言われています。また実際にご飯を食べないというダイエット法はかなりつらい人も多いのではないでしょうか?
そこでおすすめのダイエット法が「冷やご飯を食べるダイエット」です。温かいご飯でなく、なぜ「冷やご飯」なのかというと、「温かいご飯」と比べて「冷やご飯」は糖が身体に吸収されにくい性質に変化するため太りにくくなるからです。
もう少し詳しく説明すると、「温かいご飯」を冷まして「冷ご飯」」にすることで、ご飯のデンプンの一部(約20%)がレジスタントスターチに変化します。このレジスタントスターチがダイエット効果をもたらします。
レジスタントスターチとは?その効果や効能について
レジスタントスターチとは「消化されにくい(レジスタント)でんぷん(スターチ)」という意味で「難消化性デンプン」とも呼ばれています。
通常のでんぷんは小腸で消化・吸収され大腸まで届きにくいのですが、レジスタントスターチは「消化されにくいデンプン」なので、大腸の奥まで送り届けられます。
つまり「温かいご飯」は消化・吸収されやすいので太りやすくなりますが、「冷ご飯」は吸収されにくいので太りにくくなるのです。
またレジスタントスターチは食物繊維と同じような働きをするため、大腸まで届くとビフィズス菌などの善玉菌に食べられて全身の健康に影響する短鎖脂肪酸の産生を高めてくれます。
短鎖脂肪酸が増えると大腸内が弱酸性化して「善玉菌が住みやすい環境」となりますが、反対に悪玉菌がすみにくくなり、その結果大腸の発がん物質である有害な毒素の産生も減るのです。
レジスタントスターチにより「善玉菌が住みやすい環境」となると腸内フローラが活性化されますが、これにより
- 便秘の解消
- 血糖値が上がりにくくなる
- 満腹中枢を刺激して食欲を抑える
などの効果も期待されているので、ダイエットに最適と言われています。
そしてダイエット効果だけでなくデトックス効果もあります。体内にたまった老廃物は便秘が原因で体の外に出せない状態となると、病気の原因となったり肌荒れなる可能性もあります。
レジスタントスターチが豊富な「冷やご飯」を食べることで腸内環境が改善し便秘が解消され老廃物を出すことができるようになると健康や美容効果につながるのです。
冷やご飯になるとカロリーが低くなる?
実は「冷ご飯」にダイエット効果が期待できるのはレジスタントスターチによる働きだけでなく、実際に「温かいご飯」よりもカロリーが低いからです。
ご飯に含まれているデンプンのカロリーは1g当たり4キロカロリーですが、レジスタントスターチは1g当たり2キロカロリーと半分になります。冷たいご飯になってもデンプンの全てがレジスタントスターチになるのではなく、約20%ほどなので、その分低カロリーになります。
冷やご飯のおすすめの食べ方やタイミングは?
温めたご飯をそのまま冷ましてもレジスタントスターチが発生しますが温度が4度位が一番発生しやすいです。そのため冷蔵庫で2時間ほど冷やしてから食べるのが一番おすすめです。
冷ご飯で一番おすすめなのが「おむすび」です。温かいご飯と比べて、冷ご飯を食べるのに抵抗があるかもしれませんが、おむすびであれば問題なく食べられると思います。
その際も冷蔵庫で冷やしてから食べるのが一番おすすめです。もちろん外出先でお昼におむすびを食べる場合は冷蔵庫で冷やすのも難しいます。その場合はある程度冷蔵庫で冷やしてから保冷袋に入れて持っていくことをおすすめします。
夏の暑い日ならば、キュウリや梅などを使用した「冷やし茶漬け」や最近では宮崎県の郷土料理として今では全国的に広まっている「冷や汁」などで食べるのもおすすめです。
冷ご飯に大麦を混ぜてレジスタントスターチがアップ
大麦は炊いた状態で冷やさなくてもレジスタントスターチが豊富に含まれています。そのためいつもの白米に3分の1程度でも大麦を混ぜて食べるとレジスタントスターチの量がアップするのでおすすめです。
大麦にはレジスタントスターチ以外にも水溶性食物繊維が豊富で、穀物だけでなく食べ物全体の中でもトップクラスの量を誇ります。また水溶性食物繊維にはいくつか種類がありますが、大麦には「βグルカン」が豊富に含まれていて、日本だけでなく欧米などでも「機能性表示」を認めている成分です。
βグルカンが期待されている効果は
- 食後の血糖値を抑える
- 正常な腸機能の維持
- 排便促進
- 心疾患のリスク低下
- コレステロール値が低い
など、レジスタントスターチと似たような働きがあります。
大麦にもいろいろと種類がありますが、最近では「もち麦」が人気あり、冷めても「もちもち」とした食感があるのでおむすびにして食べるのもおすすめです。便秘で悩んでいる方はぜひ一度お試しください。
詳しくは
もち麦の効能や栄養価と押麦との違いは?注目は水溶性食物繊維と難消化性でんぷん!
もち麦(大麦)の炊き方やゆで方・食べ方・おすすめ品は?水溶性食物繊維を摂るならコレ!
食べるのは朝でも良い?
夜だけは温かいご飯を食べたいと思うかもしれませんが、冷やご飯は夜がおすすめです。食物繊維と同じような働きを持つレジスタントスターチが腸の働きを高めてくれるので、朝のお通じがスムーズになるでしょう。
特にダイエットしている方や便秘の方は夜に冷ご飯を食べてほしいのですが、健康のためにという場合は朝でもお昼でも構いません。
冷ご飯以外にレジスタントスターチが多い食べ物
毎日冷ご飯ばかりでは飽きるという人には他の食べ物でも試してみましょう。おすすめは「さつまいも」です。調理方法は「ゆでる」か「蒸す」のどちらでも構いません。その後常温で放置して熱が無くなったら冷蔵庫で冷やします。
「さつまいもは温かい方がおいしいのに冷やすなんて!」と思うかもしれませんが、冷やしたほうがレジスタントスターチが増えます。
またさつまいもと言えば「石焼きいも」というくらい、焼いて食べることが多いですが、「蒸す」ほうが「焼き」に比べてレジスタントスターチが1.5倍も多くなります。そしてそのまま食べたいところを我慢して冷蔵庫で最低2時間は冷やすとさらにレジスタントスターチが増えます。
ただ、「焼いたさつまいも」でもレジスタントスターチはあります。NHK・BSのテレビ番組「美と若さの新常識」で、「さつまいもの調理法の違いによるレジスタントスターチ量」を紹介していました。それによると
- 焼き:1.28g
- 焼いて冷蔵:1.47g
- 蒸し:1.85g
- 蒸して冷蔵:2.13g
この結果からさつまいもは水を加えて蒸した後に冷やすのが一番レジスタントスターチが多くなりますが、冷やさない状態でもレジスタントスターチが含まれているので、食物繊維も豊富なさつまいもは便秘解消におすすめです。
その他にもさつまいも以外のいも類にも多く含まれていますし、豆類や麺類にも含まれています。ただ冷たくして食べた方がレジスタントスターチが豊富なので、ホカホカの肉じゃがよりも冷えたポテトサラダが、熱々のラーメンよりは冷やし中華、ホクホクのあんまんよりはおはぎの方がおすすめです。
特におはぎは小豆の部分と中のもちの部分と両方にレジスタントスターチが含まれているのでおすすめです。おはぎは太りやすいと思うかもしれませんが、「あんこは太りにくい食べ物」と言われているので洋菓子を食べるよりもおすすめです。
詳しくは「あんこの効能がスゴイ!原料の小豆に含まれるポリフェノール効果やつぶあんとこしあんの栄養価の違いをご覧ください。
冷ご飯だけでなく、さつまいもなども再度温めるとレジスタントスターチが減ってしまいます。ですが、温めてもレジスタントスターチが減らない食べ物があります。
温めてもレジスタントスターチが減らない食べ物は?
それはかぼちゃです。ただし、かぼちゃだけでなく、ひと手間加えます。それはオリーブオイルで焼くことです。かぼちゃをオリーブオイルで焼いてから冷やすと、再び温めてもレジスタントスターチが減ることはありません。温かい料理を食べたいという人におすすめの食べ方です。
まとめ
温かいご飯を冷まして冷たい飯になるとレジスタントスターチが増えますが、これが食物繊維のような働きをしてダイエット効果や健康効果など多くの効能をもたらせてくれます。
できれば冷蔵庫で2時間ほど冷やして食べるとレジスタントスターチがさらに増えるのでおすすめです。特に便秘の人は夜に食べると寝ている間に腸内環境を改善して朝の快便につながる可能性が高いので、ぜひ一度お試しください。
実際に「炭水化物を食べてもやせる! レジスタントスターチ式ダイエット」という書籍も発売しています。
さまざまな冷ご飯の食べ方を紹介しているので、レジスタントスターチを詳しく知りたいという人は読んでみてください。
糖質制限ダイエットのように、辛くて危険性もあるダイエット方法よりも、大好きな炭水化物を食べてダイエットや腸内環境を改善してみませんか。