林先生の「今でしょ!講座」であんこの特集がありました。

あんこは甘いですし、お餅と一緒に食べると「太る」というイメージがあるかもしれません。

ですがあんこの主原料である小豆には多くの栄養成分がバランスよく含まれていてダイエット効果だけでなく、美容や健康にも良い食べ物です。

そしてあんこにすることで小豆の栄養素が減るのですが、代わりに新しい栄養成分ができることもわかっています。

ぜひこの機会にあんこに詳しくなって小豆のパワーを実感してください。

小豆の特徴!大豆との違いは?

小豆の歴史はかなり古く世界最古の中国の薬学書である「神農本草経」にも登場します。

小豆の煮汁には解毒作用があるとされ、食べ物よりは薬として取り扱われていたようです。

現代でも小豆の煮汁を飲む「あずき水ダイエット」が「美しくやせられる」ということで人気が出たこともあります。

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日本でもすでに3世紀ごろには伝わり、8世紀には日本で栽培もされていました。

小豆と大豆の違い

大豆との違いは名前の通り大豆の方が小豆よりも大きく1.5~2倍ほどの差があります。

用途

  • 小豆はあんこ、お汁粉、高級和菓子
  • 大豆は豆腐、納豆、しょう油、きなこなど

と言った違いがあり、小豆は菓子、大豆は料理に使わることが多いです。

  • 小豆は赤、えんじ色と赤系がほとんど
  • 大豆は黄色、黒、茶、緑と色の種類が多い

栄養成分

3大栄養素で比べると

小豆大豆
タンパク質20.3%35.3%
脂質2.2 %19.0 %
炭水化物58.7%28.2%

小豆は脂質が少ない代わりに炭水化物が断トツで多く、大豆はどれもまんべんなく含まれていますね。

ポリフェノールは

大豆大豆イソフラボン

小豆小豆ポリフェノール

などが多く含まれています。

小豆の注目の栄養成分と効果や効能

ダイエット効果

あんこは太るいうイメージがありますが、なぜダイエットに良いのでしょうか?

それはダイエット効果が期待できる栄養成分がたくさん含まれているからです。

小豆ポリフェノール(アントシアニン)

小豆の注目の成分といえばポリフェノールです。

ポリフェノールといえば、ワインが有名ですが小豆にはワインの1.5倍の量のポリフェノールが含まれています。

小豆ポリフェノールは総称でいくつかの種類が含まれていますが、小豆の赤い色はアントシアニンによるものです。

「小豆ポリフェノール」は脂肪の吸収を防ぎ、体脂肪の原料となる血中中性脂肪の値を低下させます。

それだけでなく、腸の中で糖を分解する酵素αグルコシダーゼ)の働きを抑えることで糖を吸収しにくくします。

その結果食後の血糖値の上昇がゆるやかになり脂肪がつきにくくなるのです。

ポリフェノールの一種であるルチンケルセチンは脂肪細胞の中に脂肪滴がたまるのを防ぐ働きがあると期待されている成分です。

脂肪滴はコレステロールなどの脂質を貯蔵する細胞小器官です。

その他にも

  • カリウムサポニンは強い利尿作用がむくみを解消
  • サポニンのブドウ糖が中性脂肪に変化するのを抑えたり、脂質の代謝を促進する肥満防止効果や常食することで太りにくい体質になる
  • ビタミンB1糖質の代謝を促進する働き

このようにあずきにはダイエットに効果がある成分がたくさん含まれています。

さらに、あずきには食欲抑制ホルモンの分泌を促す成分が含まれることもわかっていて、あんこを食べても少ない量で満足感が得られて腹持ちも良くなります。

腸内環境を改善⇒便通改善・免疫力アップ

腸内フローラ」をご存知ですか?

ヒトの腸内に100兆個以上も棲むと言われる腸内細菌が、お花畑(フローラ)のように群生しているところから名付けられました。

この腸内フローラのバランスを整える「腸活」が今ブームとなっていますが、それは腸の健康だけではありません。

  • 糖尿病や肥満といった病気
  • ストレス耐性(ストレスに耐える力)
  • うつなどの脳や精神状態に関わる病気
  • 美肌

など全身の健康や美容に深く関わっていることがわかってきたからです。

つまり、「腸内フローラのバランスを整える(腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増やす)ことが全身の健康につながる」と最新の研究で次々に明らかになってきています。

実は人の体の免疫システム全体の70%腸に集中してると言われていて、腸内の免疫腸内細菌は密接な関係をもっています。

腸内細菌を健常な状態に維持することは、健康を維持していく上でも、病気の予防やアンチエイジングなどに役立つ上でも大変重要な問題です。

また善玉菌のエサになる食物繊維をたくさんとることで、腸の中で酢酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」が増えると言われています。

酢酸には殺菌作用があり、大腸菌O-157などの悪玉菌の増殖を抑える働きが確認されているほか、体脂肪の合成と蓄積を抑える働きなども注目を集めている。

一方、腸で酪酸が増えると、アレルギーの原因となる「免疫の暴走」を抑える「Tレグ細胞」が増えることもわかってきています。

食物繊維はその他にも

腸を刺激してぜん動運動を促す。便のカサや水分量を増やして便通を良くする
脂肪や糖の吸収を抑え血糖値や血中中性脂肪値の上昇を防ぐ

小豆は炭水化物が多いですが、その約3分の1は食物繊維です。

そして3分の2はでんぷんですが、小豆の中のでんぷんが加熱によって難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)に変わります。

通常のでんぷんは小腸で消化・吸収され大腸まで届きにくいのですが、難消化性でんぷんは大腸の奥まで送り届けられます。

これにより食物繊維と同様に大腸のビフィズス菌などの善玉菌がこれを食べて腸内環境を改善してくれるのです。

小豆の半分以上が炭水化物ですが、食物繊維と難消化性デンプンなので安心して食べましょう。(あんこは砂糖も多いので食べ過ぎはダメですよ)

そして健康効果は食物繊維や難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)だけではありません。

小豆ポリフェノールが活性酸素の増加を抑制し、細胞や血管の老化を抑えることで多くの病気の予防となります。

また悪玉コレステロールを減少させる働きもあります。

その小豆ポリフェノールの一種であるアントシアニンには目の疲れや眼病予防の効果が期待されています。

そして豊富なビタミンB1が疲労回復をもたらせてくれます。

またミネラルは亜鉛・鉄・カリウムが豊富です。

  • 亜鉛:ホルモンを作っている成分の一つ。子供の発育時や傷口が治る時にも欠かせない成分
  • 鉄:赤血球を作る成分。不足すると貧血につながる
  • カリウム:ナトリウムを排出する働きやむくみを防止する

このように小豆には多くの健康効果が期待されています。

美肌・美白効果

ダイエットすると栄養不足になり肌がボロボロになる方もいますね。

ですが、あずきポリフェノール抗酸化作用が強く、しみしわたるみといった老化予防改善の効果があります。

またあずきに多いビタミンB2ビタミンB6は一緒に摂るとこで肌の再生力がアップし美肌効果が高まります。

そして豊富な食物繊維は体内の老廃物を外に出す役割があります。

老廃物が体内に溜まったままだと肌の状態が悪くなっていきますが、体外に出ることで肌の調子が良くなります。

このようにダイエット・健康・美容効果が期待できるのが小豆です。

あんこは太りにくい?

砂糖水を加えたマウスと砂糖水にあずきポリフェノールを加えたものでは、ポリフェノールが含まれている砂糖水の方がマウスの血糖値の上昇がゆるやかだったという結果がでています。

血糖値が急上昇する食べ物は太りやすいと言われているので、ゆるやかに上昇するあんこはふとりにくいわけです。

これは先ほども紹介した糖を分解する酵素であるαグルコシダーゼの働きを抑えることで糖を吸収しにくくするからです。

とは言っても食べ過ぎは注意ですよ。

小豆からあんこにする過程で生まれる栄養成分は?

小豆からあんこにする過程でポリフェノールの量が減ってしまいますが、同じ抗酸化成分のメラノイジンができます。

そのためあんこに含まれる抗酸化成分(ポリフェノールとメラノイジン)の量はワインの抗酸化成分の量よりも多くなります。

この2つの抗酸化成分が酸化悪玉コレステロール(活性酸素と悪玉コレステロールが合体した成分)をやっつける働きがあります。

ですがポリフェノールは酸化悪玉コレステロールの増加を抑制させる過程で働きが弱まってしまいます。

その弱ったポリフェノールを元気にするのがビタミンCです。

いちご大福のいちごにはビタミンCがたくさん含まれているので、あんこといちごはとても良い組み合わせです。

またあんこのポリフェノールを効率よく摂るために合わせると良い飲み物はコーヒーやお茶です。

これは

  • コーヒーにはクロロゲン酸
  • 緑茶にはカテキンやタンニン

といったポリフェノールが含まれているためで、あんことダブルでポリフェノールを摂ることができます。

一方で牛乳はおすすめできません。

牛乳に含まれるカゼインはポリフェノールの吸収を弱める働きがあります。

あんこ食べるおすすめの時間は?

ポリフェノールが体内に残るのは食後2時間までで4時間でなくなるため何回に分けて食べると良いですが、なかなか難しいですよね。

その場合は朝に食べると脳が活性化するので夜よりもおすすめです。

つぶあんとこしあんにカロリーや栄養価の違いはある?

粒あんとこしあんでカロリーや栄養価に違いはあるのでしょうか?

カロリーは100gあたり、

  • つぶあんが244キロカロリー
  • こしあんは155キロカロリー

とこしあんの方がカロリーが少ないです。

ポリフェノールや鉄分が多いのはつぶあんそれともこしあん?

では栄養価ですが、同じあんこなのでほぼ変わらないと思うかもしれません。

ですが、つぶあんの皮に栄養がたくさん含まれています。

となると同じ重さで比較すると皮の分つぶあんの方が栄養価が高くなります。

特に抗酸化成分のサポニンは小豆の皮の部分にしか含まれていない成分です。

そして食物繊維やポリフェノールもつぶあんの方が多いです。

そのためこしあんのようかんなどの和菓子よりもつぶあんのおはぎ、たい焼き、いちご大福の方がポリフェノールや食物繊維の量が多いです。

ですが鉄分は皮よりも実に多く含まれるので、こしあんの方が多く含まれています。

あんこの鉄分は冬の肌トラブルにも効果があります。

あんこに含まれる鉄分はほうれん草の1.4倍とかなり豊富です。

※あんこの鉄分2.8㎎、ほうれん草2.0㎎

乾燥すると肌のコラーゲンがダメージを受けますが、あんこに含まれる鉄分がコラーゲンを作るのに必要です。

(その他にもタンパク質、ビタミンCもコラーゲンには必要です)

鉄分が取れる和菓子は 草餅ときなこおはぎ(こしあん)よもぎやきなこにも鉄分が多いのでダブルの効果が期待できます。

赤飯の栄養を逃がさない食べ方

甘い物が苦手な人は赤飯で栄養を摂りましょう。

その場合赤飯を炊く前に小豆を冷凍にするのがおすすめです。

小豆を茹でから冷凍にすることで細胞壁がこわれ、栄養成分が吸収しやすくなります。

まとめ

  • あんこの原料小豆はポリフェノールがワインの1.5倍もある
  • 炭水化物が多いが食物繊維と難消化性でんぷんで腸内環境を改善する
  • ダイエット・健康・美容効果が期待できる
  • こしあんは低カロリー、つぶあんは栄養価が高い

といった特徴があります。

また小豆からあんこにしても新しい抗酸化成分のメラノイジンが発生するので、ポリフェノールの量は減りますが、抗酸化成分の量は増えます。

そして栄養価に関しては

  • タンニンやポリフェノールなどの抗酸化成分はつぶあんが豊富
  • 鉄分はこしあんが豊富

と言われています。

悩んでいる症状に合わせて選んでください。

今まであんこは太るからと遠慮していたかもしれませんが、実はダイエットに良い食べ物だったのです。

ただ、ついつい食べてしまいがちになるので食べ過ぎだけは注意しましょう。

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