ヘンプシードオイルが最近どんどん注目されてきていますね。
原料であるヘンプシードはスーパーフードのひとつとして人気がありますが、この原料から作られたヘンプシードオイルにも効果効能がたくさんあり、食用油や美容オイルとして使用されています。
一方で「ヘンプ=麻」、つまり大麻をイメージする人も多く、「本当に平気?」「危険性や違法性はないの?」と心配をしている人も多いのではないでしょうか?
今回はヘンプシードオイルの
- 安全性に問題はないのか
- どのような効果や効能があるのか
- 使い方や摂取量
- CBDオイルとの違い
などを詳しく紹介します。
ヘンプシードオイルとは?危険性やCBDオイルとの違い
ヘンプシードオイルのヘンプシードとは
- ヘンプ=麻
- シード=種(または実)
という意味で、つまり「麻の実」ことを言います。
あまり食べた記憶が無いかもしれませんが、日本では縄文時代から世界の各地で1万年も前から利用されてきた食べ物です。
七味唐辛子の比較的大きな実(黒い粒)と言えばわかる方もいるかもしれません。
ヘンプシードは栄養評価が高いだけでなくヘンプシードの採れるヘンプ(麻)が農薬や化学肥料を必要としないため安全への評価も高いのが特徴です。
このヘンプシードから採れるのがヘンプシードオイルです。
ヘンプシードオイルに危険性はない?
ヘンプは日本語で「麻」という意味ですが、麻はアサ科の総称です。
麻と呼ばれる植物は約20種類あると言われていますが、「大麻(マリファナ)」も麻の一種です。
大麻は中毒性があるとして大麻取締法により吸うことはもちろん所持も違法で、栽培は許可制になっています。
大麻に含まれているTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分は精神作用 が あり、 これ が ドラッグ の よう な ハイ を もたらす と 考え られ て い ます。
一方でヘンプはこの陶酔成分(THC)が生成されないように改良されたものなので安心です!
つまり、
- 大麻は大麻草の花穂と葉の部位のこと
- ヘンプは産業用に利用される麻のこと
と全く別物です。
英語でも「産業の麻」をヘンプ(hemp)と言いますが、大麻はカンナビス(cannabis)と呼び方も別になります。
CBDオイルとヘンプシードオイルとの違い
麻から採れるオイルで日本で購入できるのは「ヘンプシードオイル」と「CBDオイル」の2種類があります。
CBDとはCannabidiol(カンナビジオール)の略称でカンナビノイド(大麻草に含まれる化学物質の総称)の一種です。
CBD成分には鎮痛作用などがありますが、日本では違法の成分ではなく最近では通販サイトでも購入できるようになりました。
カンナビスオイルという商品もありますが、これは大麻の葉や花から搾油したもので海外で特別許可されている医療用オイルです。カンナビスオイルはTHCが含まれているので当然日本国内では禁止です。
ヘンプシードオイルとCBDオイルの価格は圧倒的にCBDオイルの方が高いですが、「ヘンプオイル」は日本では「ヘンプシードオイル」のことを指します。
ヘンプオイル(ヘンプシードオイル)をCBDオイルと間違えて、安いなあと思って購入するとヘンプシードオイルが届くので注意しましょう。(実際に間違えて買う人も多いです)
「ヘンプシードオイル」とYahoo!などで検索すると「ヘンプシードオイル 危険」と表示されますが、違法成分のTHCが含まれていないため危険性は全くありません。安心してお使いください。
ではヘンプシードオイルにはどのような注目の栄養成分が含まれているのでしょうか?
ヘンプシードオイルの注目の栄養成分と効果効能
ヘンプシードオイルは何系のオイル?
ヘンプシードオイルの脂肪酸の種類は
- オメガ6系のリノール酸:約50%
- オメガ3系のαリノレン酸:約20%
- オメガ9系のオレイン酸:約12%
- γ(ガンマ)リノレン酸:約3%程
このようにオメガ6(リノール酸)が一番多く含まれているため、グレープシードオイルやゴマ油、サラダ油などと同じオメガ6系オイルです。ただ他のオメガ6系オイルと違い、オメガ3系のα‐リノレン酸が20%と割合が高いです。(他は数%程度です)
また、γ(ガンマ)リノール酸が含まれているオイルも少ないため貴重なオイルです。
厚生労働省の食事摂取基準ではオメガ6系を4~5に対しオメガ3系は1の割合が望ましいとされています。
ヘンプシードオイルはリノール酸(オメガ6)とαリノレン酸(オメガ3)の割合が3対1で推奨の4対1の割合に一番近い食用油です。
リノール酸の効果効能と注意点
リノール酸は必須脂肪酸の一つです。
※必須脂肪酸とは体内では合成されないため、食物から摂取しなければならない脂肪酸
適量の摂取であれば
- 血圧を下げる
- 子供の発育を促進する
などの効果や効能が期待できます。
ですがリノール酸はサラダ油に多く含まれている成分で、家庭でサラダ油を使っていないとしても
- お菓子やパン、カップ麺、冷凍食品などの多くの加工食品
- ファーストフード、コンビニ、スーパーの揚げ物の総菜
- レストランなど外食産業で使用する油の多くがサラダ油
などに含まれているため、知らないうちに過剰摂取をしている人が多い傾向にあります。
さきほどヘンプシードオイルはオメガ6とオメガ3の割合が3:1と理想に近いと紹介しました。ですが現代の日本人はオメガ6が15~40:オメガ3が1という割合が多く理想にはほど遠い数値となっています。
逆にリノール酸を摂り過ぎると
- アレルギー症状が出る
- シミしわなど老化が促進する
- 免疫力を弱める➡病気にかかりやすい
などの影響が出る心配があります。
まず、サラダ油を使用している家庭はすぐにやめてヘンプシードなどのオイルに変更し、なるべく加工食品や外で揚げ物などの食べ物をできるだけ控えるようにしましょう。
αリノレン酸の効果や効能
脂肪酸で2番目に多いαリノレン酸はオメガ3系の亜麻仁油やえごま油などに多く含まれている脂肪酸です。
このαリノレン酸の一部は青魚などに含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に一部(10~15%)変換されます。
αリノレン酸やEPA,DHAといったオメガ3脂肪酸を摂取することで期待されている効果効能は下記の通りです。
※一部の効果・効能は科学的データが不十分なものもあります。
- 認知症の予防
- 記憶学習能力の向上(子供の脳の発育に効果)
- 血流改善、血栓予防効果
- アレルギー抑制(花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 老化予防(アンチエイジング)
- うつの軽減
- 中性脂肪・血中コレステロールの軽減
- 高血圧の予防
- 糖尿病の予防
- 動脈硬化・不整脈の予防
- 脳卒中の予防
- ガンの予防(特に乳がん、肺がん、大腸がんに有効)
- 視力アップ
- 脂肪肝の予防
- ダイエット効果
- 美容・美肌効果
とざっと挙げただけでもさまざまな美容や健康に効果や効能があることがわかりますね。
また、オメガ6のリノール酸を過剰摂取するとアレルギー症状などの悪影響を及ぼしますが、オメガ3のαリノレン酸などを摂ることで、それらの症状を抑えてくれます。
昔の日本人であれば、和食が中心だったので、油を使用する料理が少なく(つまりオメガ6をあまりとらない)、オメガ3を充分(魚のDHA・EPA)に摂っていました。
最近はその逆ですので、魚をあまり食べないという人はえごま油や亜麻仁油、そしてヘンプシードオイルなどの食用油からも摂るようにしましょう。
γリノレン酸の効果効能
γリノレン酸は名前がα‐リノレン酸と似ているのでオメガ3脂肪酸と誤解しやすいですが、リノール酸と同じオメガ6脂肪酸です。
市販の食用油にはほとんど含まれていない成分で、月見草油などごくわずかのオイルにふくまれています。
その効果や効能は
- コレステロール値を下げる
- 血糖値・血圧を下げる
- 生活習慣病の予防
- アトピー性皮膚炎の抑制
- 月経前症候群(PMS)の改善
- 関節リウマチの予防や改善
など多くの効果が期待されています。
γリノレン酸は欧米では医薬品としてアトピー性皮膚炎の治療に使われており、かゆみに対して有効であることが明らかになっています。
PMSは月経前のイライラや胸の張り、むくみ、頭痛などの症状がありますが、症状を訴える女性の多くがγリノレン酸の血中濃度が低い傾向にあります。
ヘンプシードオイルのγリノレン酸の含有量は3%程度と少ないように思うかもしれませんが、大さじ1杯で成人の1日の必須の摂取量を満たすことができます。
ヘンプシード特有成分カンナビスA
カンナビスAはヘンプシードのみ含まれる成分でポリフェノールの一種です。
強力な抗酸化作用が期待されている成分で、まだ研究段階ですが抗酸化作用・抗老化作用が注目されています。
中国の広西チワン族自治区巴馬(バーマ)県は麻の実(ヘンプシード)を常食していますが「長寿の里」として知られています。
この地区では麻の実スープや麻の実粥を好んで食べたり、主食のトウモロコシ粥(かゆ)を食べる前にスプーン1~2杯分の麻の実油(ヘンプシードオイル)をお粥に垂らしてから食べています。
このように長生きするということは老化の促進を抑えているからということですから、カンナビスAの強力な抗酸化作用によるものではないかと期待されています。
ただし、カンナビスAを摂るならばヘンプシードオイルよりもヘンプシードの方がおすすめです。油を抽出する際にどうしてもポリフェノールの量は減ってしまいます。
食用油の本来の抽出法である低温圧搾(コールドプレス)製法でも油となる段階でポリフェノールや食物繊維の量はかなり減ってしまいます。
オイル専門のサイトで「ミネラルや食物繊維などがヘンプシードオイルには豊富に含まれています」と紹介していますが、信用しないでくださいね。(ヘンプシードには豊富に含まれています)
脂肪酸や抗酸化成分による美肌効果
ヘンプシードオイルは食べても美肌効果が期待できますが、肌や髪の毛に塗っても同様の効果が期待できます。
特に肌への吸収力が高く、浸透しやすいので肌の老化や乾燥肌には最適です。
これは
- リノール酸:水分保持成セラミドの原料・皮膚の再生作用
- α‐リノレン酸:皮膚からの水分蒸発を防ぐ「保湿効果」
- カンナビスA:強力な抗酸化成分、シミやしわなどを防ぐ
などの美肌効果が期待される成分によるものです。
ヘンプシードオイルの食べ方や摂取量!味はクセがある?
ヘンプシードオイルは無味無臭ではなく、商品によっては若干青臭いニオイがする場合があります。味に関してはオメガ3オイルの亜麻仁油やえごま油よりもクセはないと食ベた時に感じましたが、これは人によって苦手や平気と分かれると思います。
「ヘンプシードオイルは熱に弱いαリノレン酸が入っているので加熱料理には向いていません。」と紹介しているところがほとんどです。またアマゾンなどの販売サイトでも同じように紹介していますが、実際は炒め物程度であれば全く問題ありません。
α‐リノレン酸が50~60%を占める亜麻仁油やえごま油でも炒め物程度の加熱は問題ないので、20%程度のヘンプシードオイルであれば全く問題ないです。
ただし、揚げ物に長時間使用するのは不向きなのと、揚げ物のために大量に価格が高いヘンプシードオイルを利用するのはもったいないと感じてしまいます。
おすすめはサラダなど味が薄いものよりも、パスタやピザなど味の濃い食べ物の方がオイルの味を感じないのでおすすめです。食べても問題ない人は健康のためにスプーンですくってそのまま飲んでも構いません。。
1日の摂取量は大さじ1杯~2杯程度がおすすめです。それ以上摂取するとリノール酸を摂り過ぎいにつながり、体によくないため健康に良い食用油と言ってもほどほどにしましょう。
またヘンプシードオイルは酸化しやすい油なので、開封後は冷蔵庫で保存をしてできるだけ早く使用するようにしてください。
美容オイルとしての使い方
良質なヘンプシードオイルであれば食用と兼用で美容オイルとして使用しても構いません。
【スキンケア】
肌に必要な栄養を補給し、優れた保湿力で乾燥肌や敏感肌、夜更かしで栄養不足の肌の修復をおこなったり、ニキビなどの軽い炎症を鎮める働きもあります。
また紫外線による日焼けした肌のダメージをカバーするだけではなく紫外線から肌を保護する役割もあります。特に乾燥しやすい口もとやシワが気になる目の周りなどに数滴ヘンプシードオイルを塗ると効果が現れます。
【ボディケア】
カサカサしやすい手足やひじ、かかとなどには優れた保湿力をもつヘンプシードオイルがうるおいをもたらします。また肌を柔らかくする作用もあり肌の表皮である角質層への浸透力も高いため、固くなりやすい”かかと”や“ひじ”へのマッサージにも最適です。
【頭皮ケア】
頭皮の血行をよくしてくれる頭皮マッサージですが、ヘンプシードオイルを使用することにより、地肌と髪に栄養が届けられるだけでなく頭皮の乾燥対策にも効果的です。
頭皮が健やかに保たれることで抜け毛や薄毛対策に最適です。
【ヘアケア】
毛先を中心にヘンプシードオイルを塗り込むことにより、トリートメントとして使用可能です。シャンプー後のタオルドライをした髪の毛に毛先を中心にオイルをなじませた後にドライヤーで乾かすだけです。
これだけでまとまりの良い髪になりますが、さらにツヤを出すために乾いた髪の毛の表面に少量をつけても効果があります。
まとめ
ヘンプシードオイルはオメガ6系オイルでありながら、オメガ3のαリノレン酸も約20%ほど含まれていて、γリノレン酸も含まれている貴重なオイルです。
麻のオイルということで危険と思われがちですが、危険成分は全く含まれていないので安心してお使いください。食べても肌に塗っても効果が高いオイルです。
ただ健康効果が高いオイルではありますが、リノール酸も多く含まれているので過剰摂取には気を付けてください。炒め物程度の加熱であれば問題ありませんので、サラダ油の代わりに使用してみてはかいかがでしょうか?