アボカドオイルが美容や健康に良いと認知されるようになって最近じわじわと人気が出ています。「森のバター」と言われる栄養価の高いアボカドの果実から抽出されたアボカドオイルはどんな特徴があるのか?
またその栄養成分や効果効能を紹介します。
アボカドオイルの特徴や栄養成分は?
アボカドは「世界一栄養価の高い果物」としてギネスにも認定されているスーパーフルーツです。※スーパーでは野菜売り場で見かけることもありますが実際は果物です。
詳しくはアボカドの栄養成分と効果効能!美容や健康、ダイエットに良い理由は?を参照してください。
最近では亜麻仁油やえごま油、グレープシードオイル、ココナッツオイルなど多くの健康油が販売されていますが、それらのほとんどが果実の中にある種から抽出されたオイルを使用します。
一方でアボカドオイルは種ではなく、果実からオイルを抽出します。豊富な脂質が果実に含まれているわけですが、これは食用油の中では珍しく、他に果実からオイルを抽出しているのはオリーブオイルなどわずかです。
アボカドオイルの味やニオイは?
オリーブオイルはオリーブの種類や産地、製造方法などで味が変わり、辛味やすっきりとした味わいがあるものなど差があるので、商品によっては苦手という人も多いです。
一方、アボカドオイルはとてもマイルドで、くせが無く和食にも良く合います。ドレッシングの材料としても最適です。
ニオイも若干アボカドのニオイを感じますが、他のオイルと比べるとほぼ無臭と言ってよいほどなので、ニオイが嫌で食べる気がしないということはありません。
また、アボカドオイルは様々なオイルの中で最もアレルギーのないオイルなので多くの方におすすめできる健康オイルです。
アボカドオイルは加熱OK?
食用油の中には加熱がおすすめできないものもありますが、アボカドオイルは発煙点が約250℃と食用油の中でもトップクラスの高さです。
※発煙点が高いほど加熱料理に向いています
炒め料理にはもちろん、揚げ物に使用しても問題ありません。このようにアボカドオイルは味がマイルドでクセがなく加熱もOKの万能オイルです。
またアボカドオイルは食べるだけではありません。美容オイルとしても注目されています。スキンケアやボディケア、ヘアケアなどに使用されています。
アボカドオイルは何系のオイル?
最近流行りの健康オイルには
- 中鎖脂肪酸のココナッツオイルやMCTオイル
- オメガ3系脂肪酸のえごま油や亜麻仁油など
- オメガ6系脂肪酸のグレープシードオイル
- オメガ9系脂肪酸のオリーブオイル
などに分けられますが、アボカドオイルはオリーブオイルと同じオメガ9系のオイルです。
アボカドオイルの脂肪酸の割合
種類 | 含有量 |
---|---|
オレイン酸 | 60~70% |
リノール酸 | 10~15% |
α‐リノレン酸 | 約2% |
飽和脂肪酸 | 10~15% |
このようにオメガ9系のオイルなので、オレイン酸が一番多く含まれています。もし健康のために2種類のオイルを用意するというのであれば、同じオメガ9系オイルのオリーブオイルはおすすめできません。
アボカドオイルはオメガ3系脂肪酸(α‐リノレン酸など)が少ないため、オメガ3が豊富なえごま油や亜麻仁油を選ぶようにしましょう。
アボカドオイルに期待される効果や効能
オレイン酸の健康効果
オレイン酸には
- 血液をサラサラにする
- 悪玉(LDL)コレステロールを減少させる
- 動脈硬化・心筋梗塞を予防する
- 便秘解消
などの健康の効果や効能が期待されています。
オレイン酸の美容効果
またオレイン酸が多いオイルは塗ることで美肌効果も期待されています。実は肌の皮脂を構成している脂肪酸の中で、一番多く含まれているのがオレイン酸です。
オレイン酸は皮膚を柔らかくする効果があるので、角質のゴワツキや小じわなどを改善することができ、また年齢を重ねた肌を若返らせる効果があります。
さらに、さまざまなスキンケアアイテムに利用されているので、オレイン酸が約7割を占めるアボカドオイルは肌にヌルことで美肌効果が期待できるわけです。
アボカドオイルの脂質以外の栄養成分は?
食用油なのでオレイン酸などの脂質がほとんどを占めていますが、それ以外の栄養成分は
- ビタミンE(オリーブオイルの2倍以上)
- β‐シトステロール(植物ステロールの一種)
- ルテイン(カロテノイドの一種)
といった成分が含まれています。
「アボカドは世界一栄養価が高い食べ物ならば、もっと栄養成分が入っているのでは?」と思うかもしれません。たしかに原料のアボカドにはビタミンE以外にもビタミンB群やビタミンCが含まれていますし、ミネラルも豊富です。
ですが脂溶性のビタミンEとは違い、水溶性のビタミンは熱や水などに弱いため、製造過程でほとんどなくなってしまいます。
そのため他のオイルの場合も一緒ですが、原料の植物にビタミンB群やC、ミネラルが豊富に含まれていても、オイル本来の製造方法である低温圧搾製法(またはコールドプレス製法)でも製品(オイル)になるとこれらの成分は含まれていません。
もちろんサラダ油や大量生産で作る安い油のように低温圧搾製法ではなく化学溶剤を使用して原料を溶かし、高温加熱で処理した場合はビタミンEもポリフェノールなどの成分も製造過程で無くなってしまいます。
ビタミンEの効果
ビタミンEは「若返りのビタミン」といわれるほど抗酸化力が強く、老化防止が期待されている成分です。
老化防止というとシミやしわの予防といった美肌効果が期待されていますが、それだけではなく、細胞や血管の老化なども防ぐ働きがあるので、健康効果も期待できます。
またビタミンEはドロドロとなった血液をサラサラにする効果があります。血液がドロドロとなると、多くの病気をもたらしますが、それを予防してくれるわけです。
β‐シトステロールの効果
β‐シトステロールとは植物ステロールの一種で、その効果や効能は
- 悪玉コレステロールを減少➡心筋梗塞を予防
- 血糖値を下げる➡糖尿病を予防
- 女性ホルモンに似た効果➡更年期障害の予防
- 肌に潤いを与える➡アンチエイジングなどの美容効果
などが期待されています。
実際にアボカドに含まれているβ‐シトステロールでの実験では血液中のコレステロールを下げる働きについては、医薬品と違い、正常値の範囲以下には下げないという報告もあります。
ルテインの効果や効能
ルテインはカロテノイドの一種で眼の疲れや眼病予防に効果があると期待されています。
網膜の中心部である黄斑の構成成分にルテインが含まれていますが強い抗酸化作用があり、黄斑部で発生した活性酸素によるダメージを抑制します。
また、紫外線やブルーライトを吸収する働きや加齢黄斑変性症の予防も期待されている成分です。さらに白内障や緑内障に対する効果も期待されています。
実際に目の疲れや眼病予防に効果が期待されているサプリメントにも含まれている成分です。
ただしアボカドオイルに含まれているルテインの量で目の疲れなどに効果があるのかはわかっていないので、実際にアボカドオイルで予防できるというわけではありません。
「眼に良い成分がアボカドオイルに含まれている」という程度に考えましょう。
美容オイルとしての使い方
【スキンケア】
肌に必要な栄養を補給し、優れた保湿力で乾燥肌や敏感肌、夜更かしで栄養不足の肌の修復をおこなったり、ニキビなどの軽い炎症を鎮める働きもあります。
また紫外線による日焼けした肌のダメージをカバーするだけではなく紫外線から肌を保護する役割もあります。特に乾燥しやすい口もとやシワが気になる目の周りなどに数滴アボカドオイルを塗ると効果が現れます。
【ボディケア】
カサカサしやすい手足やひじ、かかとなどには優れた保湿力をもつアボカドオイルがうるおいをもたらします。
また肌を柔らかくする作用もあり肌の表皮である角質層への浸透力も高いため、固くなりやすい”かかと”や“ひじ”へのマッサージにも最適です。
【頭皮ケア】
頭皮の血行をよくしてくれる頭皮マッサージですが、アボカドオイルを使用することにより、地肌と髪に栄養が届けられるだけでなく頭皮の乾燥対策にも効果的です。
頭皮が健やかに保たれることで抜け毛や薄毛対策に最適です。
【やり方】
シャンプーをする前にアボカドオイルを数滴垂らして頭皮をマッサージします。その後シャワーで流しても良いですが、蒸しタオルで髪を包んで10分位放置してからシャワーでオイルを洗い流し、その後シャンプーをするとより効果的です。
【ヘアケア】
毛先を中心にアボカドオイルを塗り込むことにより、トリートメントとして使用可能です。シャンプー後のタオルドライをした髪の毛に毛先を中心にオイルをなじませた後にドライヤーで乾かすだけです。
これだけでまとまりの良い髪になりますが、さらにツヤを出すために乾いた髪の毛の表面に少量をつけても効果があります。
アボカドオイルはアレルギーを起こしにくく低刺激で肌に優しいため自然派ソープの原料としても利用されています。特にアメリカやカナダなどではベビー用ソープにアボカドオイルが使用されておりデリケートな部分や赤ちゃんにも使用可能な万能のオイルです。
アボカドオイルの危険性について
アボカドオイルで検索すると「アボカドオイル 危険」と表示される場合があります。「〇〇オイル 危険」で検索をしてみると、サラダ油に多く含まれている「リノール酸の摂りすぎ」を指摘している場合が多いです。
ですがアボカドオイルはオメガ9系のオイルでオメガ6のリノール酸の割合は少ないので、これには当てはまりません。そしてよく調べてみると、「アボカドオイルに環境ホルモン作用がある」と指摘しているサイトを見かけました。
環境ホルモンとは簡単にいうと「体内のホルモンの働きを邪魔する物質」で、ダイオキシンに似た作用があると指摘されています。
同じように指摘されているのはココナッツオイルやパーム油などです。
というよりも、むしろココナッツオイルの危険性の方がかなり強く批判されていて、アボカドオイルはサラッとしか紹介していないですし、他にはアボカドオイルの危険性を訴えているサイトは今のところ見かけません。(1サイトのみです)
アボカドの果実から抽出して、低温圧搾(コールドプレス)製法で作った油に環境ホルモンの危険性なんてあるのか?という疑問があります。となると「原料のアボカドにも危険性があるのでは?」と考えるのが普通です。
アボカドオイルより危険なサラダ油
もともと食べ物は、肉・野菜・魚・果物など、どれも人間に食べられるために生まれてきたのではありません。その中には人にとって良い成分もあれば、危険性が高い成分が含まれています。
そのため「食事はバランスよく摂りましょう」と言われているわけです。アボカドオイルの危険性が本当であるならば原料の世界一栄養価が高い果物であるアボカドを食べてはいけないとなります。
それよりもアボカドオイルも他の食用油と一緒でカロリーが高く、大さじ1杯で110kcalほどあります。過剰摂取は環境ホルモンの心配というよりはカロリーや脂質の摂りすぎのほうが心配です。
また、アボカドオイルが危険であれば、トランス脂肪や遺伝子組み換えの原料などの問題があるサラダ油の方がかなり危険性が高いです。
良質なアボカドオイルであれば、サラダ油のような危険性もありません。
良質なアボカドオイルの正しい選び方とおすすめ品
アボカドオイルは本来の食用油の製造法である低温圧搾製法(コールドプレス製法)の商品が多いです。ただ一部にはサラダ油と変わらない製法の商品も見られたので、必ず確認してから購入しましょう。
アボカドオイルのおすすめ品
「エキストラ バージン カリフォルニア アボカドオイル 」
低温圧搾(コールドプレス)製法はもちろんのこと、一番搾(しぼ)りだけを使用しているので新鮮なオイルです。ぜひサラダ油の代わりに使用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
アボカドオイルはオレイン酸が約7割を占めるオリーブオイルと同じオメガ9系オイルです。ニオイや味にクセがなく、加熱料理にも使用でき、食用油の中でもアレルギーの心配が最も少ないと言われています。
オリーブオイルですと高級な物はかなり高額ですが、低温圧搾(コールドプレス)製法で作られた良質のアボカドオイルはそれほど高くはないので、ぜひオリーブオイルの代わりに一度使用してみるのもおすすめです。
食べても塗っても効果や効能が期待できるアボカドオイルをぜひ一度お試しください。