最近は健康油がブームですね。えごま油アマニ油といったオメガ3系オイルオメガ9系オリーブオイル、そして少し前はココナッツオイルも流行りました。

一方でサラダ油について一昔前は植物性の油だから動物性の油であるバターなどと比べて安心だという話がありました。ですが最近はサラダ油は危険性が高いとも言われています。

以前食品会社の品質管理にいた経験も含めてサラダ油の危険性や正しい食用油の選び方について調べてみました。

サラダ油とは?その製造方法について

サラダ油

現在日本で一番売れている油はサラダ油です。

実はこのサラダ油日本独自の名称で大正時代に日清製油(現・日清オイリオ)がサラダに使用できるようにと透明度が高く、冷やしても白濁しにくい油として販売されました。

サラダ油は大豆、コーン、菜種、紅花、綿実など2種類以上の原料を調合させて作る油で、現在は大豆油とキャノーラ油(菜種)の混合油がサラダ油として主流です。

製造方法は大豆などの原料を溶剤を使用して油を溶かした後で高温で溶剤を気化させる「溶媒抽出法」という製法です。この製法により原料を効率良く抽出することが可能になりますが、使用する溶剤が問題とされています。

サラダ油の原料で多いのは大豆ですが、ただ大豆を搾った(圧搾した)だけでは原料の20%程度しか油になりません。

そこで大豆を搾った後の残りかす(油粕)に溶剤を使用することによって油脂を抽出することが可能になり、原料を捨てることなくほぼ100%使用することができます。

ではこの製造法に何か問題はあるのでしょうか?

【関連記事】

食用油の種類ごとのおすすめ品と正しい選び方!オメガ3・6・9や中鎖脂肪酸などを理解して購入しよう

サラダ油の「化学溶剤」の使用

溶剤を使うことによって原料を無駄なく使用できる点では効率が良いのですが、主に使用される化学溶剤「ヘキサン」「ヘプタン」はその毒性が指摘されていて、実際に体の中に入るとさまざまな悪影響を及ぼすと言われています。

ただこれらの溶剤は高温に弱く、メーカー側に問い合わせても「ヘキサンは69℃が沸点でそれ以上の高温で加熱すれば蒸発するので残留はなくなり安心です。」などと説明すると思われます。

また食品衛生法でもヘキサンがサラダ油の完成時に残らないように義務つけられるので問題ないという専門家も多いです。ですが、「完全に溶剤が取り除けずに一部残る場合もあるのではないか?」という一部の意見もあります。

これに関しては出荷時に溶剤が完全に取り除かれているのか、それぞれのメーカーによるのでわかりませんが、本当に100%完全に取り除かれているのか不安です。

サラダ油のトランス脂肪酸の危険性

マーガリン
マーガリン

仮にヘキサンなどの溶剤が完全に取り除かれたとしても高温で処理する製造方法に問題があると指摘をする人がいます。一番の問題はトランス脂肪酸が発生することです。

海外のトランス脂肪酸の対策・規制

WHO(世界保健機関)は2023年までに世界中のすべての食べ物から人工のトランス脂肪酸を取り除くことを目標としていて、これを受けて海外ではトランス脂肪酸への規制が義務付けられている国が多いです。

 

アメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州、カナダ、台湾、タイ:トランス脂肪酸使用禁止

EU加盟国、シンガポール:トランス脂肪酸濃度の上限値を設定したうえ表示を義務付け

韓国、中国、香港:食品中のトランス脂肪酸濃度の表示の義務付け

ニューヨーク州やカルフォルニア州では飲食店の揚げ物や調理での使用も禁止されています。2019年1月にはタイ政府がマーガリンやショートニング、それらを使った食品の製造、販売、輸入を禁止しています。

このように海外ではトランス脂肪酸が含まれている食品に対してかなり規制がされていますが、日本の対応はどうでしょうか?

日本のトランス脂肪酸の規制は?

トランス脂肪酸の使用は、日本の政府はのんびりと構えていて、「日本人はトランス脂肪酸の摂取量が少ないから問題ない」と静観しています。そのため禁止はもちろんのこと、使用制限表示義務さえもありません。

先程も紹介しましたが、WHOはマーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を2023年までに世界の食品から一掃することを目指しています。

この内容はCNNなどでも紹介されています。参照:食品のトランス脂肪酸、23年までの根絶を呼びかけ WHO

一方で日本の農林水産省のホームページでは同じ内容を「WHOは2023年までに、加工食品を製造するときにできるトランス脂肪酸を減らすよう呼びかけています。

WHOは全世界に同じ内容でトランス脂肪酸を根絶しようと呼びかけているのに、日本では2023年までにトランス脂肪酸を減らしましょうと内容を変えて紹介しているのです。

トランス脂肪酸目標摂取量と日本人の摂取量は?

またWHOでは現在、トランス脂肪の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧告をしています。

1%未満がどのくらいの数量かというと、日本人が一日に消費するエネルギーは平均で約1,900 kcalなので平均的な活動量の場合には一人一日当たり約2グラム未満に相当します。

では現在の日本人が一日当たりどれくらいのトランス脂肪酸を摂取しているのかというと、日本の食品安全委員会は平均1.56gと発表しています。ですが、これは本当の数字でしょうか?

実はマクドナルドのフライドポテトMサイズ(135g)には4.55gのトランス脂肪酸が含まれています。これはポテトにトランス脂肪酸が含まれているのではなく、トランス脂肪酸が多く含まれているサラダ油で揚げるため、ポテトが油を吸い取るからです。

ということはマクドナルドのポテトだけでなく、他のお店のポテトもトランス脂肪酸がたくさん含まれていますし、同じような揚げ物の

  • とんかつ
  • メンチカツ
  • コロッケ
  • 唐揚げ
  • 天ぷらなどの揚げ物

などサラダ油で揚げる食べ物にはかなりのトランス脂肪酸が含まれているはずです。もちろん炒め物にも使用しますし、多くの加工品にも含まれているので、戦後ならまだしも現在の日本人が平均1.56gしかトランス脂肪酸を摂取しているとは到底思えません。

トランス脂肪酸の危険性

トランス脂肪酸の過剰摂取は

  • 動脈硬化や心疾患のリスクを高める
  • ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー反応を引き起こす
  • 認知症やガンになる可能性を高める
  • 妊娠中や授乳期に摂り過ぎると赤ちゃんの成長が遅れる
  • 不妊になりやすくなる

などとさまざまな悪影響が指摘されています。

このような問題があるためWHOは警鐘を鳴らしているのですが、日本の政府はのんびりしているというか、税金をたくさん納めてくれる大手メーカーを守るために都合の悪いことにフタをする傾向があります。

おそらく何か規制をかけるとメーカー側にかなりのコストの負担を強いられて混乱するので厚生労働省や農林水産省は今後も当分何も言わないでしょう。

規制ができないならば、せめて商品にトランス脂肪酸の含有量を義務つければ消費者が選択できるのですが、当分そのようなことはないでしょう。

ただ一部では商品にトランス脂肪酸の含有量を載せている企業もあります。このような企業が増えることを望みます。

サラダ油の高温加熱処理による影響!危険物質が発生?

製造過程で何度も高温処理されると、トランス脂肪酸の問題だけではありません。

最近では金沢大学の山嶋哲盛先生が脳や細胞を破壊する有害物質であるヒドロキシノネナールが発生してアルツハイマー病の原因になっていると国際ジャーナルや世界の学会で発表されています。

さらに高温加熱処理での製造はサラダ油の原料の栄養成分が失われてしまいます。

大豆にはたんぱく質やビタミン、ミネラル、そして大豆イソフラボンなど多くの栄養素が含まれていますが高温加熱処理により脂肪酸以外のほとんどの栄養成分が失われます。

サラダ油の原料はほぼ100%が遺伝子組み換え作物

遺伝子組み換え

商品のパッケージを見ると大豆を加工した食品には「遺伝子組み換えではない」という表記を見かけることがあると思います。

サラダ油の主要原料であるトウモロコシ(コーン油)や大豆(大豆油)、菜種(キャノーラ油)は輸入許可されている遺伝子組み換え作物の8種類に含まれているため、遺伝子組み換え大豆を使用している場合は表示義務がありますが、サラダ油では見かけたことがありません。

そのため「サラダ油に使われる大豆などは遺伝子組み換えではないものが使われているので安心」と思うかもしれません。ですが実はそうではありません。

サラダ油はほぼ100%遺伝子組み換え作物を使用しています。実はサラダ油は掲載の対象外なのです。

遺伝子組み換え作物の表示義務がある商品と無い商品は?

実際に組み換えDNAやそれによって生成したたんぱく質が含まれない食品には表示義務がありません。ただ、これではよくわからないと思います。

できるだけわかりやすく説明すると、遺伝子とは生物の遺伝情報を伝えるDNAが集まったもので、このDNAにはたんぱく質を作る働きがあります。

豆腐納豆などは加工した後もたんぱく質が含まれています。そのたんぱく質を調べると原料が遺伝子組換えかどうか判断ができるので表示義務があります。

一方サラダ油は高温処理での製造過程でたんぱく質が分解されて無くなってしまうので、遺伝子組み換えかどうか判断できないために表示義務がないのです。

つまりサラダ油は溶剤を使って高温で製造する際に脂肪酸以外の栄養成分が無くなるため、遺伝子組み換え作物かどうか判断する際に必要なたんぱく質も無くなってしまうのです。

「調べることができない」=「遺伝子組み換えかどうかわからない」=「表示義務がない」というわけです。

遺伝子組み換えの原料にはプラスの面もありますがそれを上回るマイナスの面もあります。遺伝子組み換えに関する詳細はは下記の記事がおすすめです。

遺伝子組み換え作物の危険性!メリットとデメリットをわかりやすく説明します。

サラダ油に含まれるオメガ6系脂肪酸(リノール酸)の過剰摂取の危険性

サラダ油の危険性はまだあります。サラダ油はオメガ6オイルと言われていてどの原料でも脂肪酸であるリノール酸が多く含まれています。リノール酸は体内で生成できない必須脂肪酸で食品から摂る必要があり、リノール酸が適量の摂取であれば健康に良い脂肪酸です。

ですが多くの日本人はこのリノール酸を過剰摂取している傾向になります。それは家庭で使用するサラダ油だけではなく、

  • 多くの加工食品(お菓子、冷凍食品、カップ麺など)
  • コンビニやスーパーの惣菜(から揚げ、ポテトなど)
  • ファーストフードやファミレス、ラーメン屋などで提供されるメニュー

といった多くの食べ物にサラダ油が含まれていて(または植物油脂と名前を変えて)リノール酸を過剰摂取している傾向にあります。

適量では健康に良いリノール酸も過剰摂取により生活習慣病やアレルギーを引き起こす危険性があります。

普段知らないうちに大量のオメガ6系脂肪酸(リノール酸)を摂取している可能性が高いうえに、家でサラダ油を使用したらリノール酸の過剰摂取だけでなくトランス脂肪酸の過剰摂取にもなるわけです。

サラダ油の危険性について多くの日本人が知らない理由

このようにサラダ油にはいくつもの危険性があるにもかかわらず、その危険性についてはまだまだ知らない人が多いのでしょうか?それはテレビや新聞などで発表しないからです。

今はテレビのバラエティー番組でもえごま油やココナッツオイル、オリーブオイルなど健康に良い食用油を紹介していたりしますね。ですが「今日はサラダ油の危険性について勉強します」という番組の企画はありません。

それはサラダ油を大量に生産している大手メーカーがスポンサーだからです。

油の摂り過ぎはカロリーが高くなる、または動脈硬化になりやすくなる」という程度は紹介しますが、これはどの食用油も過剰摂取すればカロリーがオーバーしますし、病気にかかる恐れがあります。

ですが今回紹介したようなサラダ油の危険性は番組では取り扱いしません。

それはサラダ油の危険性を訴えて、「サラダ油の使用を控えましょう!」などと番組で言ってしまったら、スポンサー(テレビ局にお金を出している)の大手食品メーカーの商品を否定することになるからです。

自分に置き換えるとわかりますが大手取引先の悪口を外部に広めたら、最悪取引停止になります。これと同じようにテレビ局も大口の取引先の食品メーカーの商品を悪く言うわけがないのです。

本来であればNHKはスポンサーは関係ないのでもっとサラダ油の危険性を訴えて欲しいのですがやはり裏ではNHKも関係があるのかな疑ってしまいます。

もちろん政府も多額の法人税を納めてくれる企業を陥れるようなことはしません。ですから自分で情報を集めてそれが本物かどうか見極めて判断しなければなりません。

 

食用油の正しい選び方

エキストラバージンオリーブオイル

ではテレビで「えごま油が良い」とか「オリーブオイルが良い」とか聞いたので、すぐにそれらの商品を買えば良いというわけではありません。

最近の健康オイルのブームに便乗して質の悪い商品も出回っています。本来の食用油は溶剤を使用せず低温で時間をかけてゆっくりと原材料を搾(しぼ)って作られます。

この製法を「低温圧搾製法」または「コールドプレス製法」と呼びますが、原料から油を効率よく抽出できず製造に時間がかかるのと大量生産ができないため、どうしても価格が高くなってしまいます。

ですがサラダ油と違い、ビタミンやミネラルなどの栄養価もきちんと含まれていますし、トランス脂肪酸の心配がありません。

低温圧搾(コールドプレス)製法の食用油は必ずパッケージのどこかに「低温圧搾」「コールドプレス(英語表記はcold press)」と表記されているので確認してから購入してください。

例えばテレビでアマニ油が健康に良いと言ってるからなんでも良いわけではなく、低温圧搾製法と書かれていないアマニ油も人気に便乗して販売しています。

おそらくある程度高温で処理して大量生産をしている可能性のある油なので食用油の名前だけで選んではいけません。また食用油を選ぶ時はその油の特徴を把握するようにしましょう。

サラダ油は炒めたり、揚げ物に使用することが多いと思いますがαリノレン酸が豊富なえごま油アマニ油は熱に弱いのでサラダ油の代わりにはなりません。(炒め物程度であれば使用しても問題ありません)

サラダ油の代わりにおすすめのオイル

では揚げ物にも良い食用油といえばオリーブオイルです。オリーブオイルはオメガ9系の食用油でオレイン酸が多く含まれています。

ただオリーブオイルを選ぶ場合は低温圧搾という基準で選ぶのではなく、エキストラバージンオリーブオイルという最高級のオリーブオイルを購入しましょう。

ですが最近はエキストラバージンオリーブオイルの偽物も出回っているようです。

その見分け方が難しいのでオリーブオイルは偽物が多い理由と本物の正しい選び方!という記事を参考にしてください。

その他同じオメガ6系の食用油でおすすめなのが「グレープシードオイル」です。

 

同じオメガ6系のサラダ油と違い、低温圧搾製法で作られたグレープシードオイルであれば抗酸化成分のポリフェノールやビタミンEが豊富に含まれていて、トランス脂肪酸の心配もなくコレステロールもゼロです。そして炒め物だけでなく揚げ物にも使用できます。ただしリノール酸の過剰摂取には注意が必要です。

チリ・アンデス産 グレープシードオイル 460gコールドプレス製法(アマゾン)

また最近ではMCTオイルも人気があります。

MCTオイルは中鎖脂肪酸100%(ちなみにココナッツオイルは60%)の食用油です。

中鎖脂肪酸は

  • コレステロールが溜まりにくい
  • エネルギー代謝を活発
  • 中性脂肪がつきにくい

という特徴があり、

特に

  • ダイエット
  • 持久力アップ
  • 認知症予防

などの効果が期待できるオイルとして期待されています。

ただMCTオイルもオメガ3系のグリーンナッツオイルと同じように炒め物程度では問題ないですが、揚げ物には向いていないのでその点だけ注意してくだだい。

MCTオイルの中でも一番評判の良いのが仙台勝山館のオイルです。

仙台勝山館 MCTオイル 360g <ココナッツベース100%>アマゾン

まとめ

サラダ油のメリットといえば

  1. 安い
  2. 保存期間が長い

のみです。

デメリット〔危険性)は

  1. 毒性がある化学溶剤の残留の可能性がある
  2. トランス脂肪酸の発生
  3. 高温加熱による有害物質の発生
  4. 栄養価がない
  5. 原材料が遺伝子組み換え作物
  6. リノール酸の過剰摂取の可能性

とできるだけ摂らないように心がけましょう。ただし、サラダ油を廃止したが良いとは思いません。お店などではコストを下げるために、どうしてもサラダ油を使用せざるをえないからです。

また加工食品でもサラダ油(植物油脂)を使用することで原価が抑えられるので、お店や企業の存続のためにはサラダ油の使用は仕方がないと思っています。

その代わりに、せめて家庭で使用するオイルだけでも本物の食用油を使用してほしいのです。本物の食用油は溶剤を使用せず低温でじっくり時間をかけて搾り作られます。(低温圧搾製法、コールドプレス製法)

そのことによりトランス脂肪酸も発生せず、原料の栄養素もそのまま残ります。

サラダ油のイメージで油は健康に悪いと思っている人も多いですが、本物の食用油に関しては摂取することで美容や健康に多くの効果や効能をもたらせます。

もしあなたが今現在サラダ油を使用しているのであればすぐにでもそれを捨てて、低温圧搾製法で作られた新鮮な生きている食用油に買い替えてみてはいかがでしょうか。

【関連記事】

食用油の種類ごとのおすすめ品と正しい選び方!オメガ3・6・9や中鎖脂肪酸などを理解して購入しよう