サラダ油がトランス脂肪酸やリノール酸の摂りすぎの原因と書籍や雑誌などで取り上げられるようになりました。
そして最近は健康油の特集がテレビ番組でも紹介されて、少しずつ認知が高まってきました。
ですが食用油も種類が多すぎて何がどう良いのか、それぞれの油の特徴を把握するのが難しいですね。
今回は
- 食用油の理想的な摂取の割合
- 食用油の正しい選び方
- 食用油の種類
などを中心に食用油について詳しく紹介します。
食用油の種類と特徴を学んで、サラダ油にサヨナラしてくださいね。
食用油の理想的な摂取量と割合!バランスよくとるには?
1日のオイルの摂取目安量
油は「身体に悪い!」とイメージを持っている人も多いです。
ですが脂質は3大栄養素のひとつであり、身体に必要な成分です。
確かに過剰摂取はダメですが、では1日にどれくらいの脂質をとって良いのでしょうか?
これは性別や年齢、身体活動レベルで脂質の摂取量が変わってきます。
そこで参考になるのがあなたの脂質の目標量を計算してもらえるサイトがあります。
参考サイト:キューピー「油と健康」
私の場合は脂質目標量が74g/日でした。
となると大さじ1杯が約12gですから、およそ6杯分まで食用油を食べて良いのかというと、そうではありません。
見える油と見えない油とは?
実は油には「見える油」と「見えない油」があります。
- 見える油:食用油やバターなどの調理で使う油
- 見えない油:もともと食べ物にふくまれている油
ではこの見えない油というのは1日にどれくらい摂取しているのでしょうか?
厚生労働省 平成26年国民健康・栄養調査報告によると
日本人の脂質摂取量は
全体のおよそ8割を「見えない油」、残りの2割を「見える油」から摂取しています。
となると私の1日の脂質目標量が74gですが
見える油(つまり食用油)は2割となると14.8gとなり、「大さじ1杯とちょっと」といった量になります。
ではこの大さじ1杯の食用油であればなんでも良いのかというとそうではありません。
脂肪酸の種類と摂取量
食用油の脂質を構成しているのが「脂肪酸」です。
この脂肪酸にはいくつか種類があり、大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分かれます。
飽和脂肪酸は常温では固体で、酸化しにくい特徴があります。
バターやココナッツオイル、MTCオイルなどがあります。
一方で不飽和脂肪酸は常温で液体で、酸化しやすいです。
そして不飽和脂肪酸は「多価不飽和脂肪酸」と「一価不飽和脂肪酸」に分かれます。
多価不飽和脂肪酸は体内では作れない必須脂肪酸で非常に酸化しやすい特徴があります。
この多価不飽和脂肪酸にも種類があり、主にオメガ3系とオメガ6系に分けることができます。
オメガ3系の脂肪酸が主成分のオイルは
- えごま油
- アマニ油
- グリーンナッツオイル
など
オメガ6系の主成分のオイルは
- グレープシードオイル
- ごま油
- サラダ油
などがあります。
一価不飽和脂肪酸は体内で作ることができる脂肪酸で主にオメガ9系オイルと言われます。
オメガ9系の脂肪酸が主成分のオイルは
- オリーブオイル
- アボカドオイル
- 米油
などがあります。
ではどれくらいの脂質の摂取が理想的な割合かというと
- 飽和脂肪酸:3(バター、ココナッツオイルなど)
- 多価不飽和脂肪酸:4(えごま油、ごま油など)
- 一価不飽和脂肪酸:3(オリーブオイルなど)
と言われています。
そして一番割合が高い多価不飽和脂肪酸は先ほど紹介したように「オメガ3」と「オメガ6」に分けられますが、その理想的な割合は一般的に
- オメガ3系脂肪酸:1
- オメガ6系脂肪酸:4
と言われています。
※最近ではオメガ3が1、オメガ6が2でも良いという説もある
ではなぜこのようにバランスが悪くオメガ6系脂肪酸に偏っているのでしょうか?
実はありとあらゆる加工食品にサラダ油が「植物油脂」と名前を変えて含まれているのです。
そのため知らないうちに過剰摂取になってしまいます。
このサラダ油の主な脂質がオメガ6系脂肪酸で、特にリノール酸が多く含まれています。
このオメガ6系のリノール酸は適量であれば健康効果や美肌効果もある成分です。
ですがリノール酸は、植物油脂として
- お菓子やアイス類
- カップ麺や冷凍食品
- カレーやシチューのルウ
- マヨネーズやドレッシング、
- マーガリンなど
多くの加工食品に含まれています。
さらにサラダ油で揚げたフライドポテトや唐揚げなどの揚げ物のお惣菜などにもたくさん含まれています。
となるとオメガ6系のリノール酸は無理に摂る必要がありません。
そこでさらに家庭でもサラダ油を使用するとリノール酸をさらに過剰に摂ってしまいます。
今すぐにやめましょう。
サラダ油はそれだけでなく、トランス脂肪酸の指摘もされています。
さらに高温で加熱処理してから製造をするので、脂質以外のビタミンなどの栄養素はほとんど含まれていません。
反対にオメガ3系は不足ぎみです。
オメガ3系の脂肪酸には「α‐リノレン酸」や「DHA、EPA」といった種類があります。
ですがこの成分が含まれている食べ物は少ないので、必然的に摂取量が少なくなります。
そしてオメガ9系の脂肪酸は体内で生成されるので、無理に摂る必要がありません。
ただしオメガ9主要の成分のオレイン酸は健康によく、不飽和脂肪酸の中でも酸化しにくいので加熱調理に向いています。
食用油の正しい選び方!サラダ油の代わりになるのは?
サラダ油の特徴!プラス面とマイナス面は?
サラダ油のプラス面は酸化しにくく加熱に強いので、炒め物や揚げ物に使用できるという特徴があります。
一方でマイナス面はたくさんあります。
①トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は多くの危険性が指摘されている成分です。
アメリカではトランス脂肪酸が含まれている食品を全面的に禁止する方向で動いています。
このトランス脂肪酸はサラダ油の原料である大豆などを高温で加熱処理をするときに発生します。
ではなぜ高温で加熱するのかというと、製造時間を短縮できるからです。
低温でじっくり加熱するのが従来の油の製造方法です。
ただし、それだと時間がかかってしまうので高温で処理をします。
単に時間短縮だけならば良いのですが、高温加熱によりトランス脂肪酸が発生します。
さらに発がん性の物質が発生するという指摘もあります。
②危険性が疑われている溶剤の使用
原料の大豆からできるだけ油を効率よく搾(しぼ)るために危険性が疑われている溶剤を使用します。
溶剤を使わない従来の油の製法では6~7割程度ですが、溶剤を使用するとほぼ100%オイルを抽出することができます。
※一応溶剤は高温に弱いため商品(サラダ油)には残っていないので安心と言われています(疑わしいのですが)
③原料の栄養素が破壊される
原料の大豆には多くの栄養が含まれています。
ですが高温で処理するため、脂質以外の栄養素は全て失われてしまいます。
油の本来の製法である低温圧搾(またはコールドプレス)製法であれば脂質以外の栄養素も残ります。
この記載がある食用油は溶剤を使用せず、低温でじっくり時間をかけて製造をしています。
大量生産ができないため、価格がどうしても高くなりますが安心して使用することができます。
④原料が遺伝子組み換え作物
サラダ油の原料に大豆やコーンとだけ記載してある商品のほぼ100%が遺伝子組み換作物です。
遺伝子組み換え作物は身体に良い、悪いと議論が交わされていますが、食品に「遺伝子組み換えではない」という表示をさせるところからも、まだ安全であると結論づけられません。
ただし、サラダ油には遺伝子組み換え作物を使用しても記載しなくてよいという決まりがあります。
なぜ記載しなくてよいかは遺伝子組み換え食品の表示があいまいな理由!その種類や商品一覧と日本の現状についてをご覧ください。
つまりサラダ油の代わりに購入してほしい油は
- 炒め物や揚げ物にも使用できる
- オメガ6系(リノール酸)以外の脂
- 低温圧搾(コールドプレス)製法の油
- 原料が遺伝子組み換え作物を使用していないもの
となります。
となると現代人が不足しているオメガ3オイルで1~4の条件を満たしたものと言いたいところですが、
- えごま油
- アマニ油
といったオメガ3系の油は熱に弱いという特徴があります。
そして同じオメガ3系オイルの
- グリーンナッツオイル
- チアシードオイル
こちらはビタミンEなど抗酸化作用が強い成分が含まれているので、炒め物には使用できるものの、揚げ物には使用できません。
1~4の条件すべて満たしているのがオメガ9系オイルです。
ただ米油で低温圧搾の商品というのはなかなか市場には出回っていません。
オリーブオイルやアボカドオイルを使用しましょう。
えごま油などのオメガ3オイルとオリーブオイルなどのオメガ9オイルを選べば問題ありません。
いくつか健康の油を使いたいという場合は
中鎖脂肪酸が多いココナッツオイルやMTCオイル、最近は健康効果が見直されているバターもおすすめです。
バターであれば最近注目されている高品質の「グラスフェッドバター」がおすすめです。
一種類のオイルですと、栄養が偏ってしまうので何種類かを購入してバランスよく使いましょう。
まとめ
脂質の理想的な摂取の割合は
- 飽和脂肪酸:3(バター、ココナッツオイルなど)
- 多価不飽和脂肪酸(オメガ3、6):4(えごま油、ごま油など)
- 一価不飽和脂肪酸(オメガ9):3(オリーブオイルなど)
と言われています。
そして多価不飽和脂肪酸の「オメガ3」と「オメガ6」の、その理想的な割合は
- オメガ3系脂肪酸:1
- オメガ6系脂肪酸:4
と言われています。
ですが現状はオメガ3が1に対して、オメガ6が10~40とも言われています。
その理由は多くの加工品やお惣菜にオメガ6のサラダ油が名前を変えて植物油脂として多くの食べ物に含まれているからです。
そのような状況でサラダ油を家庭で使用するのはおすすめできません。
本来であればオメガ3系のオイルの「えごま油」や「アマニ油」が一番おすすめです。
ですが熱に弱いため、そのまま食べ物にかけたり、手作りドレッシングや、手作りマヨネーズの代わりに使用しましょう。
そしてサラダ油の代わりに炒めたり、揚げたりする場合は
- 飽和脂肪酸のグラスフェッドバターやエキストラバージンココナッツオイル
- オメガ9系オイルのオリーブオイルやアボカドオイル
などを選びましょう。
また加工食品をあまり食べずに健康に気をつけている人は低温圧搾製法で作っているグレープシードオイルはおすすめです。
また最近人気が出ているのはオメガ9系とオメガ3系の脂肪酸が同時に豊富に含まれているカメリナオイルという健康油もあります。
現在サラダ油を使っている人は、ぜひ使い切る前に健康油にすぐに変更することをおすすめします。