遺伝子組み換え食品の表示があいまいな理由!その種類や商品一覧と日本の現状について

 

遺伝子組み換え食品(GMO)の危険性やメリット・デメリットについて多くの議論がかわされています。

専門家の間でも賛否両論の意見がありますが、日本では厚生労働省が遺伝子組換え食品は安全性を確認し問題はないとしています。

ではなぜ「遺伝子組み換えではない」という表示があるのでしょうか?

やはりある程度の問題があると認めているからす。

日本では「遺伝子組み換えかどうか確認してから買うようにしている」という人も多いですが、そのような人でも知らないうちに多くの遺伝子組み換え食品を食べています。

それは日本の遺伝子組み換え食品表示があいまいだからです。

今回は

  • 品種改良と遺伝子組み換えの違い
  • 遺伝子組み換え食品の種類
  • 日本のわかりにくい遺伝子組み換え食品の表示
  • どのような食品に遺伝子組み換え食品が含まれているのか?

などを中心に遺伝子組み換えについて詳しく紹介します。

ただできるだけ遺伝子組み換え食品を避けたいという人は、この記事を読むと「食べられる物が少なくなる!」と思うかもしれません。

遺伝子組み換え食品(GMO)とは?品種改良との違いについて

遺伝子組み換えとは、ある生物に他の生物の遺伝子を入れて、その生物が持っていなかった性質を作り出す技術です。

よく品種改良と間違う人もいますが、

品種改良とは、農作物をより美味しくしたり、効率よく収穫したりするために、意図的に遺伝子の組み合わせを変えることです。

よくお米が品種改良されますが、その例を挙げると

あきたこまち」は

  • 味がおいしい「コシヒカリ」
  • 病害や冷害に強い「奥羽292号」

この2つの掛け合わせです。

つまり品種改良は同じ種類の食べ物の品種が違うもの同士の遺伝子を組み合わせてできたものです。

ですが、このやり方は簡単に成功させるのはとても難しく長い年月を要する場合がほとんどです。

一方で遺伝子組み換え食品はある生物に他の生物の遺伝子を入れて、その生物が持っていなかった性質を作り出す技術です。

例えば「寒さに弱いお米」に、「寒さに強いヒラメ」の「寒さに強い遺伝子」を探し出して、その遺伝子をお米に導入して作りだします。

遺伝子組み換えのほうが効率よく新しい作物を作ることができるわけです。

日本では現在遺伝子組み換えの研究が進められていますが、現時点で国内で遺伝子組み換え作物の商業用に栽培されているのは「バラ」のみです。

それ以外はほぼ100%海外から輸入したものです。

遺伝子組み換え作物の種類と表示義務のある食品

日本が承認 している遺伝子組み換え作物
トウモロコシ、大豆、菜種、綿、パパイヤ、 アルファルファ、てん菜、バラ、カーネーション

バラ・カーネーション以外の8種類の農産物と、これを原材料とする33種類の加工食品には表示義務の対象となっています。

ですが、このうち現在日本で流通しているのは

  • 大豆
  • トウモロコシ
  • 菜種
  • 綿

この4つがほとんどです。

この4種類ならば、納豆や豆腐などを買う時にパッケージの裏の「遺伝子組み換えではない」という表記を見て買っているので大丈夫だと思っていませんか?

表示義務のある食品一覧

納豆

大豆食品
豆腐、油揚げ類、凍豆腐、おから、ゆば、納豆、豆乳類、みそ、大豆煮豆、 大豆缶詰、瓶詰、きな粉、大豆炒り豆、以上の大豆食品を主な原料とするもの

大豆(調理用、粉、たんぱく)、枝豆、大豆もやしを主な原料にするもの

トウモロコシ食品
コーンスナック菓子、コーンスターチ、ポップコーン、冷凍トウモロコシ、トウモロコシ缶詰・瓶詰、

コーンフラワーを主な原料にするもの

コーングリッツを主な原料にするもの(コーンフレークを除く)

トウモロコシ(調理用)を主な原料にするもの

以上のトウモロコシ食品を主な原料とするもの

となっています。

ですが、ここで疑問に思うのが、「これら以外にも大豆やトウモロコシを原料として使っている食品があるのに、それには遺伝子組み換えの表示義務がないの?」ではないでしょうか?

実は遺伝子組み換え食品の表示義務にはからくりがあり、知らないうちにどんどん食べてしまっている可能性が高いのです。

知らないうちに食べている遺伝子組み換え食品の表示のからくり

パッケージを見て遺伝子組み換え食品と書いてなければ安心と思うかもしれません。

ですが日本の遺伝子組み換え食品の表記に関するルールがあいまいのために多くの加工食品に遺伝子組み換え作物が使用されています。

まず日本に流通している遺伝子組み換え作物の

  • 大豆
  • トウモロコシ
  • 菜種
  • 綿

これらを原料にしている共通の加工食品をご存知ですか?

ほぼ100%遺伝子組み換え作物を使用している食品

それは食用油です。

  • コーン油
  • 菜種油
  • 綿実油
  • サラダ油

などになっています。

サラダ油は大豆で作られている商品がほとんどですが、スーパーで売られているサラダ油のほぼ100%が遺伝子組み換えの大豆から作られています。

実際にサラダ油のパッケージの裏の原材料表示を見ても大豆のところに「遺伝子組み換えではない」という表記はありません。



遺伝子組み換え表示の例外

でも大豆は表示義務があるので、表示されていなければ遺伝子組み換えではないのでは?」と思うかもしれません。

ですが実は表示には例外があり、

組み換えDNAやそれによって生成したたんぱく質が含まれない食品には表示義務がありません。」という規則があります。

ちょっとこの説明ではよくわからないですね。

遺伝子組換え食品」かどうかをチェックするには「DNAが作るたんぱく質」がポイントです。

遺伝子とは生物の遺伝情報を伝えるDNAが集まったものでDNAにはたんぱく質を作る働きがあります。

豆腐や納豆などは加工した後もたんぱく質が含まれています。

そのたんぱく質から遺伝子組換えかどうか判断ができるので表示義務があります。

ですが主に大豆が原料のサラダ油は製造過程でたんぱく質が分解されて無くなってしまうので、表示義務がないのです。

またしょう油も同じ理由で遺伝子組み換え作物の表示義務はありません。

ですがしょう油の場合は国産大豆を原料にしている商品が多いので、表示義務がなくても「国産大豆を使用」と商品に記載されていたり、「遺伝子組み換えではない」という表記をしている商品があります。

逆にしょう油に「国産大豆」や「遺伝子組み換えではない」という表記がなければ、遺伝子組み換えの大豆を使用していることになります。

さらにサラダ油は「植物性油脂」と名前を変えてマーガリンマヨネーズ、カップラーメン、レトルト食品、チョコレート菓子、クッキー、アイスクリームなどありとあらゆる食べ物に含まれています。

さらに大豆からできる「たん白加水分解物」はカップ麺などに、植物たんぱはハムなどに使用されています。

またトウモロコシはコーン油からショートニングやマーガリンの原料となったり、水あめやお菓子の原料のコーンスターチなどにもなります。

食品添加物にも遺伝子組み換え作物

食品添加物も表示義務がありません。

これも大豆やトウモロコシから多くの添加物が作れています。

遺伝子組み換え作物が原料の食品添加物
  • 果糖ブドウ糖液糖:清涼飲料水、アイス類など
  • トレハロース:カップ麺、シュークリームなど
  • カラメル色素:カップ麺、焼きおにぎりなど
  • キシリトール:ガム、グミなど
  • アスパルテーム:炭酸飲料、スポーツ飲料
  • 乳化剤:スナック菓子、アイス類など
  • ビタミンC
  • ビタミンB2

などですが、これはほんの一部です。

※ビタミン類に関しては天然成分ではなく、防止剤などの目的として人工的に合成されたもの

こうなると、もうほとんどの加工食品には使用されていると思って間違いありません。

家畜のエサにも遺伝子組み換え作物

ニワトリのエサ(飼料)にも遺伝子組み換え作物が使われていることが多いです。

もちろんエサに遺伝子組み換え作物を使用しているかの表示義務はありません。

牛は牧草を食べるのが本来の姿ですが、トウモロコシなどの穀物をエサにすることで、牧草だけを食べるよりも早く大きくなり、肉付きもよくなります。

そこで海外から大量にトウモロコシなどの遺伝子組み換え作物を仕入れて安く購入します。

大豆や菜種の場合は食用油で使った絞りカスをエサとして利用しています。

このように関節的にも遺伝子組み換え作物を食べていることになるのです。

遺伝子組み換え作物を使用していも表示しなくてよい条件

この他にも遺伝子組み換えの表示義務が必要ない場合があります。

遺伝子組み換え原材料が混入していても5%以下であれば表示義務はない

遺伝子組み換え作物が主な原材料(原材料の上位3位以内、かつ、全重量の5%以上を占めるもの)でない場合は表示義務はない

ですが本当に食品メーカーがこの条件を守っているのか疑わしいですね。

実際に「遺伝子組み換えではない」と表示された商品のほとんどに遺伝子組み換え作物の混入があるのが現状で問題となっています。

そこで2018年の3月に遺伝子組み換え(GM)食品の表示制度を見直す消費者庁の有識者検討会が開かれ、

商品に「遺伝子組み換えでない」と表示できる要件を、

現行の「混入率5%以下」から「不検出」に厳格化する報告書をまとめました。

早ければ2019年度中に食品表示基準が改正される予定です。

つまり、今までは5%以下の混入ならば「遺伝子組み換えではない」と表記できたものを

新基準が施行されると少しでも検出されれば「遺伝子組み換えではない」と表示ができなくなります。

ただしこれまで通り混入が5%以下なら、業者の判断で「できる限り遺伝子組み換え作物の混入を減らしています」などと表示できるようです。

ほとんどを輸入に頼る大豆やトウモロコシでは生産・流通の過程で遺伝子組み換え作物を完全に取り除くことは難しいです。

新基準が施行後は「遺伝子組み換えでない」との表示は大幅に減るとみられています。

このように直接的にも間接的にも多くの遺伝子組み換え食品を日本人は食べていることなります。

また、遺伝子組み換え食品の食べている量は日本人が世界一とも言われています。


遺伝子組み換え食品使用企業売上ランキング

これは2009年の情報なので少し古いですが遺伝子組み換え食品を使用している企業を売上ランキング順に紹介します。

  1. 明治ホールディングス(明治乳業・明治製菓)
  2. 味の素グループ(味の素、J-オイルミルズ)
  3. 山崎製パン
  4. 森永グループ(森永製菓、森永乳業)
  5. サントリーフーズ
  6. キューピー
  7. サッポロ飲料
  8. 日清オイリオグループ
  9. キリンビバレッジ
  10. ロッテ

売上金額や商品名はこちらから

別にこれらの企業を非難しているのではなく、安く仕入れることができる遺伝子組み換え食品を大量に購入することで、価格が安く設定できるので、少しでも安く食品を手に入れたいという消費者にはありがたいと思う人もいるわけです。

ですが一方で、できるだけ遺伝子組み換え食品を食べたくないという人もいるので、そのような人向けにきちんと使用していると説明する義務があると思っています。

もしかすると原材料や食品添加物の全てに「遺伝子組み換え作物」の使用を表示するとパッケージに書ききれない商品もあると思うので、ホームページでも良いですから、ぜひ遺伝子組み換え食品をどれだけ使用しているのか表記してほしいですね。

まとめ

日本人は世界一遺伝子組み換え食品を食べていると言われていますが、全く食べていない人でも知らないうちに食べたているというのがおわかりいただけたでしょうか?

現在、遺伝子組み換え食品の危険性についてはさまざまな議論がかわされています。

  • がん白血病の発生
  • 臓器障害(とくに肝臓や腎臓)
  • 寿命の短縮
  • 不妊

などの動物実験での結果、これらの病気や症状の危険性を訴えるグループがあります。

参考サイト:サルでもわかる遺伝子組み換え

一方で遺伝子組み換え食品は安全で、「動物実験の実験設計や分析手法に複数の不備があり、何の科学的な結論も導き出すことはできない」と反論しています。

参考サイト:バイテク情報普及会

これらのサイトを読むとどちらの主張が正しいのかわからなくなりますが、もしかすると危険性の高いものもあれば、安全性の高いものもあるという結論が出る可能性もあるかもしれません。

2019年以降表示義務が厳しくなりますが、年々販売する側も遺伝子組み換え食品に対する意識が高くなっています。

私が食品会社の品質管理部門で働いていた時は新商品ができると卸先に商品規格書を提出します。

その規格書には原材料がどこから仕入れたのかなど詳しく書いて、資料とともに提出するのですが、特に遺伝子組み換え作物を使用しているかどうかについては生協の調査が年々厳しくなってきました。

このようにこだわりがある販売先が増えると良いですね。

一方でテレビ番組では遺伝子組み換え食品が危険か安全かについての議論はやりません。

安全だいう結論がでれば問題ないのですが、食品の表示に遺伝子組み換えの表示の義務がある以上、大スポンサーの食品メーカーが不利になる可能性があるので、健康番組などでも取り扱うことはありません。

海外と比べると日本の表示義務に関しては、本当にあいまいで抜け道がいろいろありすぎです。

商品が安く買えるなら遺伝子組み換えで構わない」という人もいますが、「できるだけ遺伝子組み換え食品は食べたくない」という消費者もいるわけです。

少しずつでも良いですから、遺伝子組み換え食品の表示義務についてもう少し厳格化してほしいものです。