塩麴

塩麹(こうじ)は魚や肉などを柔らかくしたり美味しくしたりするだけでなく、とても栄養が豊富で健康や美容におすすめの食べ物です。最近は腸活ブームにより、塩麴が発酵食品として注目されていますね。

どのような効果や効能があるのか、またおすすめの食べ方などについても紹介します。

塩麹とは?塩分の摂りすぎの心配は?

塩麴

塩麹」とは名前の通り「」と「麹」からできている調味料です。米の麹を加え発酵させて作ります。

そして麹菌から発生する酵素タンパク質でんぷんを分解することによって「アミノ酸」が生じます。そこから「甘み」や「うまみ」が生まれて美味しくなり、食材も柔らかくなるだけではなく、健康や美容に良い栄養成分がたくさん含まれているので多くの効果や効能が期待できます。

最近では「塩麴が腸内環境を改善する」と知られるようになって人気も高まり、昔から食べれていた塩麹が近年見直されています。

塩麴で塩分の摂りすぎは注意が必要?

塩麴の塩分量は商品により多少違いますが調味料として塩の代わりに使用する場合、「塩麴は塩の倍の量が必要」です。ですが、全体の量が倍になっても、含まれる塩分は塩の4分の1ですみます。

つまり小さじ1杯必要の場合、塩麴小さじ2杯必要ですが、そこに含まれる塩分の量は塩の4分の1で済むのです。

味が一緒で塩分が4分の1になるので、塩分を控えるように言われている人におすすめなのが塩麴です。

塩麴の栄養成分と効果効能

 

塩麹に含まれる代表的な栄養成分を紹介します。

①【麹菌の働きや効果効能

米麹 麹菌

麹(コウジ)菌を培養して作られる成分で実はカビの一種です。この麹菌を顕微鏡で見ると花が咲いているように見えるため「糀(こうじ)」という字を使われることもあります。

麹菌の働きは

  1. 栄養素を消化・吸収しやすく分解する
  2. 旨味を感じるアミノ酸を生み出す
  3. 食物を軟らかくする

などがあります。

そして麹菌やその他の微生物、酵素の働きで食品が分解されて発酵が進みます。

麹菌の美肌効果

を使って日本酒を醸造する杜氏(とうじ:酒作りの最高責任者)の手が白く、きめ細やかでキレイなのは有名は話です。

これは麹菌の発酵過程で生成される「コウジ酸」メラニンの生成を抑制するためで、その美白効果から、現在では化粧品などにも配合されています。

メラニンは日焼けやシミ、そばかすなどの原因となるので紫外線が特に強い時期には積極的に摂りたい成分です。さらに麹菌は自身の代謝の過程で肌の代謝にかかわるビタミンB群を精製します。

②植物性乳酸菌の効果や効能

腸内環境を改善する(いわゆる腸活)

人の体の免疫システム全体の70%腸に集中してると言われていて、腸内の免疫腸内細菌は密接な関係をもっています。

腸内細菌を健常な状態に維持することは、健康を維持していく上でも、病気の予防やアンチエイジングなどに役立つ上でも大変重要です。その為には腸内の善玉菌をできるだけ多くし、日々腸内細菌のバランスを整えてあげる必要があります。

最近は「腸内フローラ」という言葉が注目され、「健康や美容には腸内環境を整えるのが重要である」とテレビ番組などでも紹介されていますが、有効とされているのが乳酸菌です。

塩麴などの植物性乳酸菌が動物性乳酸菌よりおすすめの理由

ヨーグルト(動物性乳酸菌)

乳酸菌が多く含まれる食べ物といえば「ヨーグルト」を思い出すのではないでしょうか?ただし、「ヨーグルトを毎日食べているのに、あまり効果を感じられない」という人が多いかもしれません。

その場合はもしかすると、ヨーグルトの乳酸菌が自分の体に合っていない可能性があり、効果を実感できません。

ヨーグルトナチュラルチーズに含まれている乳酸菌は元は牛の乳を発酵したものなので「動物性乳酸菌」と呼ばれています。一方、塩麴やぬか漬け、みそ、キムチなど原料が植物の場合は「植物性乳酸菌」と言います。

それぞれ、

  • 動物性乳酸菌:単独で生きる乳酸菌。胆汁や胃酸などに弱くほとんどが腸まで届かず分解されてしまう
  • 植物性乳酸菌:他の細菌と共存する。胆汁や胃酸などの影響を受けにくいため、小腸だけでなく大腸まで届きやすい

という特徴があり、

特に植物性乳酸菌は大腸まで届くことで腸内環境が改善されて体に良い効果が得られます。

ただし、分解されて死滅してしまった動物性乳酸菌も効果はあり、食物繊維と同じような働きをするため、摂取しても意味がないわけではありません。

 

ですがヨーグルトなどを食べても腸内環境の変化が感じられない場合は、動物性乳酸菌が体に合わない可能性もあるので、代わりに植物性乳酸菌をとることで劇的に変わるという人もいます。

やはり昔の日本人は牛乳を飲む習慣がなかったので、動物性乳酸菌が合わない可能性がありますが、植物性乳酸菌は和食に多く含まれているので、効果を実感する可能性が高いかもしれません。

また、どちらの乳酸菌を摂るかではなく、植物性と動物性乳酸菌両方摂ることで、さらに腸内環境が改善されることもあるので積極的に摂るようにしましょう。

塩麴が腸内環境改善におすすめの理由

オリゴ糖

塩麴で腸内環境が良くなるのは植物性乳酸菌だけの働きではありません。麹の酵素によって生み出される「オリゴ糖」や「食物繊維」は、善玉菌エサになります。

これらを食べることで善玉菌が繁殖し、とくにビフィズス菌を増やします。ビフィズス菌は腸内の善玉菌の最大勢力です。(乳酸菌ではありません)

このビフィズス菌菌のおかげで数が増えることで、悪玉菌を抑えて腸内細菌のバランスが良くなります。

すると腸内環境が改善し

  • 免疫力のアップ(病気にかかりにくくなる)
  • 便秘解消(老廃物を出す⇒美肌や健康効果)

などにつながります。

③酵素

発酵食品は、酵素の力により食べ物がより身体に負担のかからないかたちで胃や腸で消化・吸収されやすく、体内の消化酵素も無駄に使わないで済むという大きな利点があります。

塩麴に含まれる酵素のうち、

  • アミラーゼデンプンからブドウ糖
  • プロテアーゼタンパク質からアミノ酸

へと分解する働きがあります。

体内に元から含まれる消化酵素代謝酵素は年齢とともに減少してしまいますが、それとともに、

  • 肥満
  • 体の疲れ
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 慢性頭痛
  • 目の下のクマ
  • 目の充血
  • 便秘や下痢
  • 寝つきがわるい
  • 白髪が増える

など悪影響を及ぼす可能性があります。特に急に白髪が増えたりした場合は酵素不足の可能性が高いので注意しましょう。

これらを防ぐには酵素が含まれている塩麴のような食べ物を摂るのがおすすめです。

④ビタミンB群(ビタミンB1、B2、B6、葉酸など)

ビタミンB群は美容効果が高い成分が多いです。

ビタミンB1は疲労回復の効果がある成分であり、また、神経機能を正常に保つ効果もあります。最近イライラしがちだなと思ったらビタミンB1不足かもしれません。

ビタミンB2は細胞の再生を助けて成長を促し健康な髪や肌をつくり、口や目のなどの粘膜を保護してくれます。またビタミンB6と一緒に摂ると肌の再生力がアップして美肌効果が高まります。

ビタミンB2とB6が両方豊富に含んでいて、美肌効果がある麹菌も含まれている塩麹を食べると相乗効果で肌の状態が良くなりますよ。特にニキビや口内炎はビタミンB2不足のサインなので症状のある人は意識して食べるようにしましょう。

葉酸は妊婦さんが摂取しなくてはならない必須の成分です。

⑤GABA(γ-アミノ酪酸)

GABAは天然のアミノ酸のひとつであるγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)のことです。

GABAの効果や効能は

  • リラックスや快眠
  • ストレス抑制
  • 血圧を下げる
  • 認知症予防
  • コレステロールや中性脂肪を抑える
    などが挙げられます。

GABAには興奮作用を抑える効果があり、脳内にGABAが増えるとリラックスできて快眠ができると言われています。最近は「GABA入りのチョコレート」などが人気がり、直接GABAを取ろうとする動きがありますね。

ですが、GABAそのものを摂取しても神経細胞に伝達されなく脳内では増えないため、実はほとんど意味がありません。「じゃあ、塩麴を食べてもGABAの効果は期待できないの?」と思うかもしれませんね。

ただし、GABAを直接摂取して脳内で増やすことはできなくても、GABAをつくる材料であるグルタミン酸を摂取すれば増やすことはできます。グルタミン酸はアミノ酸の一種ですが、麹菌が作り出す旨味がグルタミン酸なので、塩麴を食べるとGABAの効果が期待できるわけです。

逆に「GABA入り〇〇」を食べてもグルタミン酸が入っていなければGABAの効果が期待できないと言われています。

⑥ペプチド

には、必須アミノ酸が発酵することで生成されるペプチドが含まれています。ペプチドはアミノ酸が数個つながった構造を持つ成分で血圧を安定させる役割があります。

また、必須アミノ酸が脂肪を分解し、ドロドロした血液になるのを防ぐ役割があります。これらの効能により動脈硬化や高血圧の予防が期待されています。

ペプチドは身体に活力を与えるのが基本ですが、

  • 疲労回復
  • 血圧を下げる
  • 免疫力を向上させる
  • 美肌や代謝の活性化

などの効果や効能も期待されています。

⑦α‐エチルグルコシド(α‐GC)

従来からには長期使用による肌の保湿効果があることが知られていましたが、2015年に新たに次の2つの保湿機能があることが発見されました。

①短時間で速効性のある水分保持機能(水分蒸発を抑える機能)がある

②真皮内で保湿効果が高いコラーゲンの生産量を増やす

両方ともに美肌に欠かせない機能ですが、それが塩麴に含まれているα‐エチルグルコシド(α‐GC)という成分によるものです。

この発見により、洗顔石鹸やシャンプー、入浴剤などのスキンケア製品、飲用では保湿果の高いコラーゲンを真皮内で増やす美容機能食品などの新しい商品開発がすすめられています。

塩麹の食べ方や作り方

塩麹の最大の特徴であり魅力なのは、タンパク質分解酵素の「プロテアーゼ」の存在です。この「プロテアーゼ」が、お肉、お魚のタンパク質を分解し柔らかくしたり、栄養の吸収を助けたりする働きがあります。

また外部からの細菌やウイルス、伝染病から体を守る生体防御など多くの働きを担っています。ただし、ここで注意しなければならないのが、多くの市販の「塩麹」は熱を加えて殺菌処理がされているという点です。

加熱殺菌処理をすると「塩麹」の魅力である「プロテアーゼ」の働きもなくなってしまっています。そのため、なるべく生の「塩麹」を選ぶようにしましょう!

また、自分で「塩麹」を手作りするのもおすすめです!

塩麴の作り方

発酵食品は神様がもたらした奇跡」と語る発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが、塩麹”の作り方をテレビ番組で教えていました。発酵食品の手作りは面倒くさそうなイメージがありますが、塩麴はとても簡単です!

塩50g・麹100g・水200gをよく混ぜ合わせるだけで仕込みが完成します。あとは1日1回かき混ぜながら常温で発酵させるだけです。

発酵期間の目安は

  • 冬が10~14日間
  • 夏は7日間

市販で購入するよりも安上がりなのがうれしいですね。

そして生の塩麹を食べるのであれば「栄養を吸収する」という観点から熱を加えないサラダ冷奴にかけたりするのがおすすめです。このように「塩麹」は塩やお醤油、味噌と同じようにひとつの調味料として捉えてみてはいかがでしょう。

また「塩麹」は塩分が多く含まれているため、なるべく海藻やキノコ、豆類などを一緒に摂ることがおすすめです。海藻やキノコ、豆類に含まれるカリウムが塩分の排出をうながしてくれます。

もちろん肉や魚を柔らかくしたり、働きがあるので「美味しく食べる」というのであれば焼いて食べても構いません。

まとめ

  • 塩麹は食べ物を柔らかく、美味しくする働きがある
  • 健康・美容・ダイエット効果がある
  • 特の腸活におすすめ
  • 効果を得るのならば生の塩麴

腸活といえばヨーグルトをイメージするかもしれませんが、動物性の乳酸菌は身体に合わない人も多いです。

それよりも植物性の菌である麹菌を使って、善玉菌を増やし腸内環境を改善してみてはいかがでしょうか?

免疫力がアップするだけでなく、便通が良くなると体に害のある老廃物が外に出るので体調や肌の調子まで良くなると言われています。

そして健康や美容だけでなく、なんといってもうま味をアップしてくれるので、塩麴を使った料理は本当においしいです。

ぜひ塩麴を定期的に食べる習慣を見につけてください。