最近は腸内環境を改善する、いわゆる「腸活」がブームになって発酵食品が注目されています。発酵食品の中では動物性乳酸菌が含まれているヨーグルトやチーズが人気ありますが、実はあまり効果を実感しない人も多いのではないでしょうか?
そこでおすすめなのが植物性乳酸菌が含まれている「ぬか漬け」です。ぬか漬けは健康に良いのはもちろん、美容・美肌にも効果があるのをご存知でしょうか?
ぬか漬けにはどのような栄養成分が含まれていて、なぜ健康や美容に良いのか?そしてヨーグルトよりもおすすめなのか。この機会に、私たち日本人もあらためてぬか漬けがもつパワーについて学んでおきましょう。
ぬか漬けの「ぬか」は何でできている?
「ぬか漬け」とは?
ぬか漬けを広辞苑で調べると、「ぬかに塩、水などを混ぜて野菜類を漬けること。また、そのようにした漬物」と書いてあります。
では「ぬか」とは何かわかりますか?
「ぬか」は玄米から白米に精米するときに取り除かれる胚芽や表皮の部分のこと(米ぬか)を指し、そこには米のビタミン、ミネラルのおよそ95%が含まれているといわれています。
この「ぬか漬け」の主な材料である「ぬか」に栄養バランスの秘密があります。
最近はぬかの効果や効能が注目されて食生活に取り入れる人も多いようです。
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ぬか漬けの栄養成分と効果や効能
「ぬか」を発酵させて作る「ぬか床」は、たんぱく質、脂質、食物繊維、ビタミンA、B1、B2、B6、E、ナイアシン、カルシウム、リン、鉄などの栄養素の宝庫でもあります。
唯一含まれないビタミンCも、ぬか漬けにする野菜から摂取することができます。
ここでポイントになるのが、熱に弱いビタミン類(特にビタミンB群)ですが野菜をそのまま食べられるぬか漬けは、一品でほとんどの栄養素が偏りなく摂れるバランス栄養食なのです。
ぬか床で野菜の栄養価がアップ
さらにうれしいことに、ぬか漬けの効果により野菜に含まれる栄養も倍増するのです。野菜をぬか床にいれると、浸透圧で野菜の水分が抜け、“ぬか”に含まれる栄養分を吸収します。
そのため、生野菜よりビタミン含有量が増えるのです!
特に大根は栄養素の吸収が良く、ぬか漬けの大根は生の大根と比べると
- ビタミンB1:16倍
- ビタミンB2: 4倍
- ビタミンB6: 6倍
- カルシウム: 2倍
になるというデータもあります。
その他の野菜でも、水に溶けやすいという性質のビタミンB1の含有量は3~10倍に増えると言われています。代謝を助け、皮膚と粘膜の保護に欠かせないビタミンB群が増えるのはとても魅力的ですね。
特にビタミンB2はビタミンB6と一緒に摂るとこで肌の再生力がアップし美肌効果が高まります。
植物性乳酸菌
ぬか漬けで注目されている成分は乳酸菌です。ただし、乳酸菌や酵母菌などの微生物は米ぬかに含まれていたものではなく、もともとは野菜に含まれていたものです。
米ぬかは乳酸菌のエサになるので、野菜を漬けることでどんどん繁殖していきます。
近年、乳酸菌ががん予防、アンチエイジング、虫歯予防などいろいろな分野で注目されています。ではなぜ、乳酸菌がよいと言われるのでしょう。
そのカギは、腸にありました!
腸と脳の関係
腸は「第二の脳」と呼ばれていて、腸内に入ってきた物質を良いか悪いか判断してそれをパターン化して記憶します。
また、さまざまなホルモン(ペプチド性ホルモン=脳内ペプチド)を生産し、多くの血管や神経が集まっている腸の状態は全身に影響します。
多くの人が経験があると思いますが、子供のころ試験前や発表会などの前に緊張のあまり、急な腹痛や下痢に襲われたりしたことが。(大人になってもあるかもしれませんね)
このように「頭で考えることと腸の活動は密接につながっているのです。」
腸は最大の免疫器官
人の体の免疫システム全体の70%が腸に集中してると言われています。
腸内の免疫の主な働きは3つ
- 腸内に入ってきたものを免疫細胞が認識
- 免疫細胞が腸内に入ってきたものの無害、有害を判断
- 無害なものは受け入れ、有害な場合は免疫細胞が攻撃
正常な人でも毎日3,000~4,000個発生すると言われているがん細胞が生じる場所もほとんどが腸内の粘膜からといわれています。
このような病原菌や有害菌などの外敵を素早く感知して攻撃したり、排除をするため免疫細胞が24時間365日、常に腸を守り続けなければなりません。
つまり腸が人の体で最大の免疫器官である理由がここにあるわけです。そしてこの腸内の免疫と腸内細菌は密接な関係をもっています。
腸内細菌を健常な状態に維持することは、健康を維持していく上でも、病気の予防やアンチエイジングなどに役立つ上でも大変重要な問題です。
その為には善玉菌である乳酸菌をできるだけ多くし、日々腸内細菌のバランスを整えてあげる必要があるのです。つまり、乳酸菌をたっぷり摂れるぬか漬けは、もってこいの食材といえますね。
植物性乳酸菌と動物性乳酸菌との違い
ぬか漬けの乳酸菌はヨーグルトやチーズなどの動物性の乳酸菌と違い「植物性の乳酸菌」です。
植物性乳酸菌の特徴は他の細菌と共存することにより胆汁や胃酸などの影響を受けにくいため、小腸だけでなく大腸まで届きやすくなると言われています。
大腸まで届くことで腸内環境が改善されて体に良い効果が得られるわけです。
一方の動物性乳酸菌の特徴は他の細菌とは共存せず、単独で生きる乳酸菌なので胆汁や胃酸などに弱くほとんどが腸まで届かず分解されてしまうのです。
ただし、分解されて死滅してしまった乳酸菌は以前は何の効果もないと言われていましたが、最近では効果があるというのが一般的です。死滅した乳酸菌は、食物繊維と同じような働きをします。
その働きは「善玉菌が退治してくれた悪玉菌を吸着し外へ排出する役割」があります。そのため動物性乳酸菌はとっても意味がないというわけではありません。
ですがヨーグルトなどを食べても腸内環境が変わらない(お腹の調子が変わらない)という場合は、動物性乳酸菌が体に合わない可能性もあるので、代わりに植物性乳酸菌をとることで劇的に変わるという人もいます。
また、どちらの乳酸菌を摂るかではなく、植物性と動物性乳酸菌両方摂ることで、さらに腸内環境が良くなる可能性が高くなります。動物性乳酸菌の方が手軽に摂りやすいですが、植物性乳酸菌も摂り入れてみましょう。
ぬか漬けの酵素パワー
ぬかには多くの酵素も含まれています。
実は、このような体内で起こる呼吸や脈拍、筋肉を動かすなどあらゆる生命活動の全てを酵素が担っています。
酵素には種類があり
- 「消化酵素」
- 「代謝酵素」
- 「食物酵素」
この3つが存在します。
そのうち、食べ物を分解する役割の「消化酵素」と栄養素を利用して体の修復や再生をする役割の「代謝酵素」の2つが、元々体の中に存在している酵素です。
そして体内には無く、生の食べ物や発酵食品で摂取できるのが「食物酵素」です。
食物酵素は元々消化機能が備わっていて体内での消化や吸収を助けてくれる働きがあるので、体内(消化・代謝)酵素の節約が可能になります。
ですが食物酵素がほとんど含まれていない肉や加工食品ばかり食べていたり、暴飲暴食をすると消化酵素に優先的に振り分けてしまうので、代謝酵素に回らなくなり不足してしまいます。
代謝酵素が不足すると新陳代謝が悪くなるため肥満になりやすいだけでなく
- 体の疲れ
- 肩こり
- 腰痛
- 慢性頭痛
- 目の下のクマ
- 目の充血
- 便秘や下痢
- 寝つきがわるい
といった症状からさまざまな病気の引き金になってしまう可能性もあります。このような理由で酵素がたくさん含まれている食べ物を取る必要があります。
現在も人気がある代表的なものは「酵素ドリンクやサプリ」ですね。ただし、手作りの酵素ドリンクであれば問題ないのですが、市販の酵素ドリンクやサプリはおすすめできません。
実は酵素は100種類以上あると言われていますが48~70℃の高温となると種類によっては酵素としての働きを失ってしまい、活動を停止してしまいます。
市販の酵素はいろいろなタイプの商品が販売されていますが、
- 「酵素ドリンク」は食品衛生法で65℃以上の加熱殺菌が義務付けられている
- 「カプセル・錠剤・粉末タイプ」も製造過程で加熱している場合が多い
このような理由で市販の商品では酵素を摂取することは、ほとんどできないと言われています。
一方、ぬか漬けは生の状態で摂取することができるので体内に酵素を取り込むことができるのです。また、体内で酵素を作り出す能力は、40代の頃から急速に低下すると言われています。
体内の酵素が減少するとともに老化が促進されてしまうため、普段から疲れやすい方は酵素のバランスが悪い可能性があります。
野菜ではレタス・キャベツ・ニンジン・セロリなどに多く酵素が含まれています。ぬけ漬けではキャベツやニンジンで利用できそうですね。「ぬか」と「野菜」の酵素のダブルパワーが期待できます。
酵母のダイエット効果
酵母は身近な存在で、「発酵」という能力を生かし、酒や味噌・しょうゆ・パンなどの発酵食品を作るのに利用されていて、ぬか漬けにも豊富に含まれています。
最近はご飯やパン、パスタなど糖質の多い食べ物を極力食べない「糖質制限ダイエット」が流行っていますが、酵母には糖質を分解する働きがあるため、肥満の予防やダイエット効果も期待できます。
その他にも酵母は
- 便秘改善
- アレルギー症状の改善
- 免疫力のアップ
などの効果も期待されています。
米油の美容効果
ぬか床をまぜると「手がつるつるになる!」と言われています。これは米油と呼ばれる米糠に含まれる油のおかげです。この油は油とは思えないくらいとてもサラサラしています。
実際に米油が含まれているコスメも販売されているほど美容効果があります。保湿効果も高く、手荒れや肌荒れ予防の強い味方にもなります。
もちろんお米由来なので肌にやさしく安心です。このため、ぬか床を混ぜているとハンドクリームが要らなくなるという人もいます。
但し、ぬか床には塩分も含まれていますので、塩分に弱い方はお気をつけください。
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まとめ
ぬか漬けは、ビタミンやミネラルが豊富です。
ビタミンCは含まれていませんが、野菜に含まれているのでバランスが良く、野菜がぬかから栄養を吸収するので生野菜よりも栄養価が高いです。
注目の栄養成分は
- 身体の重要な働きをする腸を活性化させる植物性乳酸菌
- 老化を防ぐ酵素
- 糖質を分解する酵母
などですが、これからを一度にとれるなんとも魅力的な食べ物です!
毎日、ぬか漬けを混ぜて、身体の内側からも外側からも美しく健康になりましょう!
ぬか漬けを作ってみたいと思った方は
「ぬか床・ぬか漬けのおいしくて簡単な作り方!カビや酸っぱい、水っぽい時の対処法は?」
を参照してくださいね。