お店には多くの種類のヨーグルトが並んでいますが、どれを選んだら良いのか悩むことはありませんか?

どれを選んでも効果が変わらないのであれば、安い商品を選べばよいですが、多くの効果や効能を期待するのであれば、おすすめのヨーグルトは「カスピ海ヨーグルト」です。

カスピ海ヨーグルトは20年ほど前にブームになり、その後一度は見かけなくなりましたが、最近は研究が進むにつれて、さまざまな効果や効能がわかるようになり再び注目を集めています。

今回は

  • カスピ海ヨーグルトとは?注目の乳酸菌について
  • 期待される効果・効能
  • 作り方や種菌の増やし方

などを詳しく紹介します。

カスピ海ヨーグルトとは?その特徴と注目の乳酸菌について

カスピ海ヨーグルトのルーツはヨーロッパ東部のカスピ海と黒海に囲まれたコーカサス地方のジョージア(旧グルジア)です。

この地域は100歳を超える多くのお年寄りが元気に暮らしていて世界でも屈指の長寿地域として有名です。

コーカサス地方ではヨーグルトをそのまま食べるだけでなく、さまざまな料理に利用しますが、このように乳酸菌を多く摂るのが長寿の理由のひとつとも言われています。

日本では「腸活」や「腸内フローラ」という言葉が広まっていなかった20年ほど前に、「健康に良い!」、「ダイエット効果がある!」などとテレビや雑誌などでカスピ海ヨーグルトが紹介されて、かなりのブームになりました。

この時にカスピ海ヨーグルトの種菌を近所の人からもらったりして、多くの人が手作りでヨーグルトを食べていましたが、しばらくすると「お腹が痛くなった!」、「下痢をした」といった悪評が広まるようになりました。

お腹が痛くなった主な原因はヨーグルトの種菌を何回も繰り返し使用していくうちに、古い種菌雑菌が入りやすくなって、その増えた雑菌をヨーグルトと一緒に摂ってしまったためと言われています。

決してカスピ海ヨーグルトが原因ではなく、きちんと管理できなかっただけなのですが、悪いうわさはすぐに広まり、次第に食べる人も少なくなって、あっという間にブームが去りました。

ブーム後数年間は話題にものぼらなかったのですが、10年ほど前からカスピ海ヨーグルトに含まれる乳酸菌の「クレモリス菌FC株」の働きに注目が集まり、再びスポットが当たるようになりました。

ではこのクレモリス菌FC株にはどのような特徴があるのでしょうか?

注目の栄養成分「クレモリス菌FC株」の特徴について

カスピ海ヨーグルトの乳酸菌であるクレモリス菌FC株の一番の特徴といえば「生きて大腸まで届くことが明らかにされたプロバイオティクス乳酸菌です。

※プロバイオティクスとは人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)、または、それらを含む製品、食品のこと。

多くの乳酸菌は小腸で消化・吸収され、ほとんど大腸まで届きません。クレモリス菌FC株のように大腸まで届くことにより、大腸がん潰瘍性大腸炎などの病気の予防にもなると期待されています。

また、腸内環境を改善するには大腸に多く存在する善玉菌の最大勢力ある「ビフィズス菌」を活性化させる必要があります。

クレモリス菌FC株は大腸まで届きビフィズス菌を活性化させ増やす効果もあるので、他の乳酸菌と比べて腸内環境がより改善できると期待されています。

そしてクレモリス菌FC株のもう一つの特徴は「ねばり成分EPS」を産生することです。EPSとはExopolysaccharide(エキソ ポリ サッカライド)の略で、乳酸菌ヨーグルトの発酵中に産生する物質のひとつです。

カスピ海ヨーグルトは他のヨーグルトと比べると粘り気がありますが、それはこのESPによるものです。年をとるにつれて、一般的に食べ物をうまく飲み込む「嚥下(えんか)機能」が低下してしまいます。

ですがカスピ海ヨーグルトは粘りが強くて口の中に入れてもバラバラになりにくいので、嚥下機能が衰えた人でも食べやすく、誤嚥(ごえん)が起きにくいと言われています。

誤嚥=誤って食べ物が器官に入る

EPSもクレモリス菌FC株と同じでヒトの消化液で分解されないことがわかっているので、大腸まで届いて働くと考えられています。ではクレモリス菌FC株やEPSにはどのような効果が期待されているのでしょうか?

カスピ海ヨーグルトで期待される効果や効能

①免疫力がアップする

人の体の免疫システム全体の70%が腸に集中してると言われています。腸内の免疫の主な働きは3つあります。

  1. 腸内に入ってきたものを免疫細胞が認識
  2. 免疫細胞が腸内に入ってきたものの無害、有害を判断
  3. 無害なものは受け入れ、有害な場合は免疫細胞が攻撃

正常な人でも毎日3,000~4,000個発生すると言われているがん細胞が生じる場所もほとんどが腸内の粘膜からと言われています。そのような病原菌や有害菌などの外敵を素早く感知し、攻撃し、排除するため免疫細胞が24時間365日、常に腸を守り続けなければなりません。

つまり腸の健康を維持することが免疫力をアップさせることにつながるのです。他の乳酸菌で作ったヨーグルトにはほとんど含まれていない粘り成分のEPSは免疫細胞を活性化することが実験によりわかっています。

参照:Lactococcus lactis subsp. cremoris FC株(クレモリスFC株)および菌体外多糖の免疫調節作用

免疫細胞が活性化できれば、病原菌や有害菌を排除してくれるので病気にかかりにくくなるわけです。実際にカスピ海ヨーグルトをよく食べている人は、発熱やのどの痛みなどのカゼの症状が軽いことがわかっています。

そしてインフルエンザに関しては予防接種の効果を高めると言われています。

さらに、かかりにくくなるだけでなく、もしもカゼやインフルエンザなどの病気ににかかった場合でも症状を緩和することがわかっています。

②美肌効果

シミやしわ、そばかすの増加やたるみなどは紫外線や老化による原因が多いですが、その場合は

  • 紫外線対策をする
  • 抗酸化力が強い食べ物を食べる
  • 規則正しい生活をする

など対策方法があるのですが、やっかいなのはストレスによる肌の老化です。実はストレスは皮膚の血流量や水分量を保つ肌の機能を低下させるので肌機能に悪影響を与えます。

ですが仕事などで毎日忙しい生活を送っている人はストレス解消をするのが難しいですね。そのような人におすすめなのがカスピ海ヨーグルトです。

粘り成分のEPSがストレスによって起きる肌機能の改善効果があることがわかっています。

参照:過密ストレスモデルに対する クレモリスFC株を用いた発酵物の作用

③生活習慣病の予防

糖質の多い食べ物を食べると血糖値が急上昇し、このような食事ばかりが続くと糖質が脂肪として蓄積されてしまい、肥満や糖尿病などにもかかりやすくなります。

ですが「カスピ海ヨーグルトには血糖値の上昇をゆるやかにする働きがある」ことが実験の結果わかっています。

また脂質の取り過ぎはLDL(悪玉)コレステロールを増やして動脈硬化などの原因にもなりますが、カスピ海ヨーグルトには余分なコレステロールを肝臓へ回収するはたらきがあるHDL(善玉)コレステロールを増やして、中性脂肪を低下させる働きがあることもわかっています。

参照:高コレステロール食負荷モデルに対するクレモリスFC株の効果

中性脂肪がつきにくくなるだけでなく、減らす働きがあるのはうれしいですね。

このようにカスピ海ヨーグルトには

  • 血糖値の急激な上昇を抑えて脂肪がつきにくくなる
  • 善玉コレステロールを増やす
  • 中性脂肪を低下させる

といった特徴から糖質や脂質の過剰摂取によりかかりやすい生活習慣病の予防効果があると期待されています。

④アレルギー症状(花粉症・アトピー性皮膚炎)の緩和

アレルギーは身体の免疫反応が、ある特定の物質に対して過剰に起こることをいいます。例えば花粉症は体内でIgE抗体という物質が過剰に作られることによって、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が出てしまいます。

健康な高齢者を対象にした実験ではカスピ海ヨーグルト1日150gずつ1ヶ月間摂取したことにより、摂取前に比べて血液中のIgEレベルが低下することがわかっています。

参照:クレモリスFC株含有発酵乳の健常高齢者の排便状況と糞便内菌叢および免疫系におよぼす影響

さらにアトピー性皮膚炎に関しても動物実験の段階ではありますが、カスピ海ヨーグルトを摂ることでアトピー性皮膚炎の症状が緩和されることもわかっています。

参照:アトピー性皮膚炎モデルに対するクレモリスFC株を用いた牛乳発酵物の作用 その1. 各種乳酸菌による牛乳発酵物の作用について

⑤整腸作用(便秘改善・大腸炎の炎症緩和など)

一般的にヨーグルトの乳酸菌には整腸作用があることが知られていますが、カスピ海ヨーグルトクレモリス菌にも実験の結果、整腸作用があることがわかっています。

腸の中にある善玉菌が増えて活発に動くと腸が健康になり、排便がスムーズになります。では腸の中の善玉菌で一番多いのはわかりますか?それはビフィズス菌です!

次に腸内のビフィズス菌乳酸菌の数はどれくらい差があるのでしょうか?実はビフィズス菌の数は1兆~10兆個で腸内で生息する善玉菌99.9%を占めます。

一方で乳酸菌の数は1億~1,000億個で善玉菌の0.01%以下の割合です。

こんなにも差があるのです。ですがこれは若い人の数字で年をとるごとにどんどんビフィズス菌の割合が低下し、60歳になると約1%まで減少してしまいます。

腸内のビフィズス菌が減って活発に働けなくなると、腸内環境が悪化し

  • 便秘になりやすくなる
  • 大腸炎などの大腸に関する病気にかかりやすくなる

といった悪影響を及ぼす可能性があります。

つまり腸内環境を改善するにはビフィズス菌を増やす必要があるのですがカスピ海ヨーグルトを食べることでビフィズス菌の数が増えることがわかっています。

カスピ海ヨーグルトを摂取すると、排便量、排便回数、排便日数が増え、便の形状や色、排便後のスッキリ感が改善されたという報告もあります。

参照:クレモリスFC株含有発酵乳の健常高齢者の排便状況と糞便内菌叢および免疫系におよぼす影響

また、動物実験の段階ではありますが、クレモリス菌FC株を投与すると、大腸炎の炎症部位で細胞の損傷が抑制されるなど、大腸炎の症状が緩和されることがわかっています。

このようにカスピ海ヨーグルトを継続的に摂取することで

  1. 免疫力がアップする
  2. ストレスよる肌の機能低下を改善する(美肌効果)
  3. 生活習慣病の予防
  4. アレルギー症状の改善
  5. 整腸作用

といった効果が実験の結果わかっています。ただし、カスピ海ヨーグルトは薬ではないので、即効性はありません。毎日継続して食べるようにしましょう。

カスピ海ヨーグルトは手作りがおすすめの理由

カスピ海ヨーグルトは今ではスーパーでも簡単に手に入れられるようになりました。もちろんそれを食べても良いのですが、カスピ海ヨーグルトの種菌(ヨーグルトの一部)と牛乳があれば、簡単に作ることができますし、経済的にも助かります。

また、市販のカスピ海ヨーグルトのラベルを見ると「本品を種菌としてご使用されますと、菌が弱りうまく出来ない可能性がありますのでおすすめできません。」と書かれています。

これでは「本物のカスピ海ヨーグルトのような効果が期待できるのだろうか?」と疑問に感じてしまいますね。そこでおすすめなのがフジッコの「カスピ海ヨーグルト手づくり用種菌」です。

以前流行した時には種菌をそのまま近所の人などに渡していたので、その種菌が新しいものなのか、または雑菌が入っていないキレイなものなのか、わからないで使用したことで、お腹を壊す人が多ったようです。

ですがフジッコのカスピ海ヨーグルトの手作り用種菌は袋に入った粉末の種菌なので雑菌の心配がなく安心して作れるのが良いですね。

試しに食べてみたいというならば市販のもので十分ですが、

  • 毎日健康のために継続して食べたい
  • 継続すればするほど経済的になるのが良い

という人には手作りがおすすめです。

カスピ海ヨーグルト手作り用種菌購入はこちら

カスピ海ヨーグルトの失敗しない作り方や正しい植え継ぎ方法、保存方法など詳しく知りたい方は「カスピ海ヨーグルトの作り方・増やし方!種菌の植え継ぎ方と冷凍保存を紹介」をご覧ください。

まとめ

ヨーグルトを選ぶ際には含まれている乳酸菌がどのような働きをするかがポイントです。カスピ海ヨーグルトには粘りがあり、嚥下機能が衰えた人でも食べやすいのが特徴です。

さらに

  1. 免疫力がアップする
  2. ストレスよる肌の機能低下を改善する(美肌効果)
  3. 生活習慣病の予防
  4. アレルギー症状の改善
  5. 整腸作用(ビフィズス菌を増やす)

といった効果が期待できます。これらの効果を得るには継続して食べることが必要ですが、市販のものを選ぶと結構お金もかかってしまいます。そんな時には手作り用の種菌を購入して作ればかなり安くすみますね。

また、市販の種菌ではうまく作ることができないと商品に書いているので、効果に関しても本当に同じようにあるのか疑問が残ります。やはりカスピ海ヨーグルトは手作りがおすすめです。

カスピ海ヨーグルト手作り用種菌購入はこちらから

今までヨーグルトを食べてもあまり効果が期待できなかったという方にはぜひ継続してカスピ海ヨーグルトを食べましょう。

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