日本ではお茶というと緑茶をイメージする人が多いですね。ですが世界的には紅茶が一般的で120か国以上で愛飲されているほど人気がある飲み物です。
また最近では紅茶の健康効果や美容の研究も進んでいます。今回は紅茶の栄養成分や効果効能とや緑茶、ウーロン茶との違いについても紹介します。
紅茶と緑茶、ウーロン茶の違いは何?
お茶でよく飲まれ、市販でも手に入りやすいのは紅茶と緑茶、ウーロン茶ですね。ではこの違いは何かおわかりですか?もしかすると、どれも茶葉が違うからと思っているかもしれません。
ですが、これらの3つのお茶は同じ「ツバキ科のカメリア・シネンシスの葉」から作られます。ではその違いは何かというと「製造工程の発酵の有無」によります。
- 緑茶は初めに火にかけるため不発酵茶
- 紅茶は火に通さず最終段階まで発酵させる(完全発酵茶)
- ウーロン茶は紅茶よりも発酵時間が短い(半発酵茶)
このように原料が同じではありますが発酵の有無や時間によって、全く違うお茶になります。
紅茶に含まれる栄養成分と効果や効能について
紅茶に含まれる主な成分は3つあります。
①紅茶ポリフェノール(主にテアフラビンやテアブラビジン)
紅茶ポリフェノールは紅茶を製造する発酵過程で茶葉に含まれるカテキンの一部が変化することで発生します。紅茶特有の赤い色をつくるテアフラビンやテアフラビジンなどの成分を総称して「紅茶ポリフェノール」と言います。
この紅茶ポリフェノールにはさまざまな効果や効能が期待されています。
ポリフェノールといえば抗酸化作用で、「抗酸化=老化を防ぐ」という意味ですが、老化を促進する活性酸素の増加を抑えることで細胞や血管の老化を防ぎ多くの病気の予防につながります。
活性酸素は適量であれば身体に良いものの、過剰に増えると老化を促進し、シミやしわなどが増えて老化が加速したり、動脈硬化や生活習慣病などを引き起こしやすくなると言われています。
この活性酸素の発生する原因は
- ストレス
- 加齢
- 紫外線
- 喫煙
- 運動不足
- 不規則な生活(寝不足・暴飲暴食)
などが挙げられます。ただ、中には加齢やストレスなど避けられない条件もあり、年をとるにつれて過剰に活性酸素が増える傾向があります。その時に効果的なのがポリフェノールなど強い抗酸化成分が含まれている紅茶を飲むことです。
紅茶と緑茶どちらが抗酸化作用が強い?
ポリフェノールは何百、または何千種類があると言われていますが、日本人になじみの緑茶のポリフェノールは「カテキン」ですね。
では「紅茶のポリフェノール」と「緑茶のカテキン」どちらが抗酸化作用強いのでしょうか?
種類や産地によっても違いがありますが、活性酸素の酸化防止能力に関しては紅茶ポリフェノールの一種であるテアフラビンのほうがカテキンよりも強いという論文もあります。
以前は茶カテキンが酸化して紅茶ポリフェノールができるので抗酸化力が無いと言われていたこともあったようですが、これは完全な誤解です。紅茶ポリフェノールには健康や美容、ダエイットなどさまざまな効果があります。
紅茶ポリフェノールの効果や効能
美容効果
紅茶ポリフェノールの抗酸化力がシミやしわの予防になると紹介しましたが、美容効果はこれだけではありません。
肌組織のコラーゲンは糖と結びつく(糖化)と性質が変わり老化を促進しますが、紅茶ポリフェノールはこの「糖化」を抑制する(老化を抑える)と言われています。
健康効果
食事中、食後の血糖値上昇を抑制する
紅茶ポリフェノールには糖の分解を促進する酵素の働きを抑制します。それによって腸管に吸収される糖の量が減り血糖値の上昇が抑えられると考えられています。
紅茶とパンを一緒に摂ると水とパンの時と比べて30分後、60分後に有意に血糖値上昇が抑制されたという実験データもあります。
高血圧の抑制
イタリアの臨床試験では高血圧の患者が1日2回の紅茶(フラボノイド129g含有)を飲んだグループと飲まないグループで実験したところ飲んだグループは高血圧が下がり正常に近づいたという報告があります。
テアフラビン類にノロウイルスを消毒する作用
紅茶ポリフェノールの一種である「テアフラビン類」が抗ウイルス作用を持つことを世界で初めて発見したと静岡県の環境衛生科学研究所により2016年の10月に発表しました。
ネコの細胞を使った実験ではテアフラビン類がウイルスの感染力が約1000分の1になるなど、ノロウイルスの代替ウイルスである3種類のウイルスに効果がありました。
今後はテアフラビン類が含まれている手洗いの消毒薬への利用を目指しています。今のところは紅茶を飲むことでノロウイルスの予防に効果があるかどうかはわかっていません。
ですが、「紅茶を5~10倍に薄めたものでうがいをするとウイルス感染の予防に役立つ」と言われているので飲んでも効果が期待できそうですね。
この他にもテアフラビン類はインフルエンザウイルスの不活性化効果があると期待されています。
※不活性化とは活性できない状態にする、つまりウイルスを活動できない状態にしたり、死滅した状態にすることです。
紅茶がインフルエンザに効果がある理由
三井農林の研究では、
「紅茶はインフルエンザウイルスを無力化する能力が高い」ことが分かりました。なんと、わずか15秒ほどでインフルエンザウイルスを無力化することできます。
紅茶をティーバッグで飲む方が多いと思いますが、「2杯目や3杯目でも十分にインフルエンザウイルスを無力化する力が残っています。」今までは1杯で捨てていた方も2杯目以降も効果があるので飲みましょう。味が薄くて嫌な場合はうがい用で使ってみてはいかがでしょうか?
どちらも冬に大流行するノロウイルスとインフルエンザですが、予防のために紅茶を飲むことを習慣づけましょう。
死亡率を下げる?
アメリカで5万人以上の中国人を対象とした死亡リスクを調べる調査では一度も喫煙したことがなく、紅茶の摂取量が多いと死亡率が5~18%低くなることがわかっています。
また呼吸関連の死亡リスクやや心臓、血管の病気による死亡リスクも低かったという結果が出ています。
もともとポリフェノールには血流を良くする効果がありますがテアフラビン類には血流改善効果もあるので心筋梗塞など血液がドロドロが原因でかかる病気の予防に最適です。
卵巣がんの発生リスクを抑える
イギリスの調査では1日に2杯以上の紅茶を飲む人は1杯以下しか飲まない人と比べてがんのリスクが3割低いという結果が出ています。
ダイエット効果
紅茶ポリフェノールには内臓脂肪を減らす効果があると言われています。また脂質代謝酵素のリパーゼを阻害することで、腸管からの脂肪吸収を抑制し、体重を減少することができると期待されています。
紅茶は緑茶やウーロン茶よりもリパーゼを阻害する作用があると言われているので、脂肪吸収が抑制され他のお茶よりもダイエット効果が期待されています。
②テアニン
お茶に含まれる特有の成分であるテアニンは紅茶のうまみと甘みを醸し出すアミノ酸の一種です。
テアニンは交感神経に刺激を与えずに副交感神経だけを活性化させる作用があり、紅茶を飲むことで脳を刺激して適度にさえるだけでなく緊張感がやわらいでリラックスを促します。紅茶だけでなく、緑茶やウーロン茶にも含まれている成分です。
③カフェイン
カフェインは摂り過ぎると眠れなくなるとか、以前カフェインが大量に入ったエナジードリンクを飲んで中毒死したという事件もあり「カフェイン=体に悪い」というイメージを持つ人も多いようです。
ですがカフェインには
- 知的作業能力を向上させる覚せい作用
- 脂肪燃焼の促進(ダイエット効果)
- 集中力アップ
- 片頭痛緩和の作用
- 筋肉疲労緩和
- 眠気をなくす
- 脳卒中の危険を減らす
といった効果もあるので取り過ぎなければ体に良い成分なのです。紅茶には種類にもよりますが100ml当たり30㎎カフェインが含まれています。
カフェインの摂取許容量は?
ではカフェインの摂取許容量が気になるところですが現在日本では設定されていません。
WHO(世界保健機関)では1日300mgまでカフェインの摂取を推奨していますが、これを参考にすると紅茶は1日に1リットルは飲んで良い計算になります。
ただ紅茶を1リットル飲む人はほとんどいませんし、仮に1リットル飲んだからといってカフェインによる悪影響が出るかというと必ずしもそうではありません。
実は先程も紹介したリラックス成分のテアニンがカフェイン興奮作用を抑制するという特徴もあるのです。そのためコーラなどのカフェイン入りの飲み物と比べてもカフェインの影響は少ないと言われています。
カフェインが胎児にも影響を与えると言われている妊婦さん以外は紅茶のカフェインの摂取量はそれほど気にせずに効果を期待して紅茶を飲むようにしましょう。
※妊婦さんはノンカフェインの麦茶やルイボスティーなどがおすすめです。
まとめ
以前は緑茶などのお茶に比べると紅茶は効果が低いというイメージがありましたが、最近の研究により多くのことがわかってきました。
特にに3つの成分である紅茶ポリフェノールやテアニン、カフェインが美容や健康、ダイエットなど多くの効果をもたらせます。
効果や効能を得るためには1日に3~4杯飲むことが推奨されていますが、普段はコーヒーばかり飲んでいる人もぜひ1,2杯でも紅茶にしてみてはいかがでしょうか。
また紅茶にはたくさんの種類があり、安いティーバッグタイプでもある程度の効果は期待できるそうです。ぜひ紅茶を飲む習慣をつけて健康的に美しくなりましょう。