チアシード 種

チアシードは栄養豊富で健康や美容に良い食べ物である「スーパーフード」として人気がありますが

  • カロリーはどれくらいあるのか?
  • 1日の目標の摂取量や上限はあるのか?

などが気になる人も多いのではないでしょうか?

また、いくら体によい食べ物でも副作用など悪影響はあるのでしょうか?

今回はチアシードの食べる目安量と注意点について紹介します。

チアシードのカロリーは高い?

 

チアシード植物性のタンパク質アミノ酸食物繊維、必須脂肪酸でオメガ3脂肪酸の一種であるαリノレン酸の含有量があらゆる食べ物の中でもトップクラスを誇ります。

特に食物繊維αリノレン酸は現代の日本では不足気味の人が多いと言われているので、このような人にはチアシードを継続的に摂ることをおすすめします。

ではチアシードはどれくらい1日にどれくらい食べて良いのでしょうか?

色々な本やサイトなどを見ると、

チアシードは大さじ1杯程度(10~12g)にしましょう。」と紹介されているのがほとんどです。

たくさん食べてキレイになりたいのに大さじ3~4杯と食べてはどうしてダメなの?」と思うかもしれません。

カロリーが高いから?」と思うかもしれませんが、チアシードのカロリーは大さじ1杯10gでは約50kcalです。

ご飯は100gで168kcalなので、単純に比べるとチアシードはカロリーが高めです。

ただチアシードはご飯ようについつい食べてしまうという食べ物ではないので、知らないうちに食べ過ぎてしまうということはありません。

 

成人の1日の摂取カロリーは体格や1日の活動内容で変わりますが、平均1800から2200kcalと言われています。

仮に2,000kcalとするとチアシード大さじ1杯50kcalであれば20分の1なので、「大さじ2,3杯(100~150kcal)程度であれば問題ないのでは?」と思うかもしれませんね。

ですがサイトや書籍でも「大さじ1杯にしてください」と書いてあるのがほとんどです。

ただ大さじ1杯の根拠が書いていないのが多いですね。

実際に人によって栄養をしっかり摂れている人とそうでない人がいるので、全ての人が大さじ1杯というわけではなく、2杯以上摂って良い人もいます。

ですが、色々考慮すると多くの人が大さじ1杯が適量となります。

それはナゼでしょうか?

チアシードのαリノレン酸の摂取量について

その理由の一つは「αリノレン酸」にあります。

チアシードにはαリノレン酸が多く含まれていることで注目されたスーパフードです。

αリノレン酸は健康や美容など多くの効果や効能をもたらしてくれます。

詳しくはチアシードとは?その主な栄養成分の効果や効能をご覧ください。

αリノレン酸オメガ3脂肪酸の一種で、厚生労働省ではオメガ3脂肪酸を生活習慣病の1次予防のため1日の摂取基準を

  • 成人男性:2.1~2.4g
  • 成人女性:1.8~2.1g

と推奨してますが、現状では多くの日本人が摂取基準に達していません。

それは普段食べている食べ物にαリノレン酸DHAEPAといったオメガ3脂肪酸を多く含む食べ物が少ないからです。

αリノレン酸が豊富に含まれている食べ物はえごま油アマニ油グリーンナッツオイルサチャインチオイル)、チアシードオイルなどの食用油くるみヘンプシードなどのスーパフードのごく一部の食べ物だけです。

このチアシード大さじ一杯(約10~12g)摂ると2.14g程度αリノレン酸の摂取基準に届きます。

そのため「チアシードの1日の摂取量は大さじ1杯程度にしましょう。」と紹介していることが多いのではないかと思います。

ですが
チアシードを2杯、3杯と食べて良いのか?

αリノレン酸は健康に良い脂肪酸ということは知っているけど上限はあるのか?

という疑問がわいてきますね。

実は厚生労働省の研究資料があります。

それによると日本人の高齢者を対象した研究ではαリノレン酸の1日の摂取量を10か月間4.8g約大さじ2杯分)摂取したところ

  • LDL(悪玉)コレステロール、酸化LDLの増加が認められない
  • 主要な血液検査での異常も認められていない

という結果が出ています。

ですが欧米ではα‒リノレン酸摂取量の 増加が「前立腺がんのリスク」になることを示す研究報告があります。

ただ前立腺がんのリスクが高くなるという研究がある一方で、関連しない(リスクがない)とする研究もあります。

最近のα‒リノレン酸の摂取量と前立腺がんの罹患リスクを調べた観察研究では

  • リスクとなる報告が95
  • リスクとならない報告が97

とほぼ同じ数ですが、日本(厚生労働省)では摂取量の上限は定めていません。

この報告のどちらを信用すれば良いかまだハッキリしていないので、大さじ2杯程度とっても問題ないと思うかもしれません。

ただし、前立腺がんは男性のみかかる病気なのでもし大さじ2杯以上摂りたいという男性はリスクがあることを知ってチアシードを食べる必要があります。

チアシードのリノール酸や脂質の摂取量について

 

チアシードの脂肪酸はαリノレン酸オメガ3脂肪酸だけでなく、リノール酸というオメガ6脂肪酸も含まれています。

リノール酸は必須脂肪酸で適量であれば健康や美容に多くの効能をもたらしますが、過剰摂取すると逆に病気やアレルギー症状など悪影響をもたらす可能性があります。

αリノレン酸は意識して摂る必要がありますが、リノール酸は普段の食事の中に多く含まれるので日本人は過剰摂取の傾向にあります。

※リノール酸は加工食品のほとんどに、
またコンビニやスーパー、ファーストフードで
油を使った惣菜(から揚げ、メンチカツ、コロッケなどの
肉類やフライドポテトなど)に
含まれています。

厚生労働省はオメガ6脂肪酸の1日の摂取目安量は

  • 成人男性:11g
  • 成人女性: 9g

を推奨していますが、多くの人が目安量以上摂っているだけでなく、中には何十倍も多く摂りすぎているひともかなりいるようです。

チアシード大さじ1杯に含まれるオメガ6脂肪酸約550gmでそれほど多くありませんが、α‐リノレン酸だけでなく、同時にリノール酸も摂ってしまうので、「健康に自信がある」、「健康診断で悪い数値が無かった」という人以外は1杯までにしておきましょう。

リノール酸を多く摂り過ぎていないかどうかは

  • 加工食品(お菓子やカップ麺・冷凍食品など)
  • コンビニ、スーパーなどのお弁当やお惣菜(唐揚げ、コロッケ、メンチカツなど)
  • ファーストフードやファミレスでハンバーガーやフライドポテト
  • お昼にラーメンやチャーハン、餃子などの油の多い食べ物
  • 家ではリノール酸が多いサラダ油で炒め物や揚げ物

このような食べ物を極力食べず、和食中心の食生活という人であれば問題ありません。

チアシード大さじ2杯で1g以上のリノール酸(オメガ6脂肪酸)が含まれているので注意しましょう。

チアシードの脂質の量に注意

チアシードは脂質の量が多い食べ物でオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸に加えてオメガ9脂肪も少量ですが含まれています。

このオメガ3、6、9脂肪酸を不飽和脂肪酸といいますが、チアシードには飽和脂肪酸も含まれていて、これらの脂肪酸の含有量を合計すると大さじ1杯(約10g)には約3.5gの脂質が含まれているので大さじ2杯では約7gになります。

脂質は成人で1日に必要なエネルギーの20~30%ほど摂るのが良いと言われていますが、これは1日2,000kcal必要な人の脂質量は約55gになります。

チアシードたった大さじ2杯で必要脂質量の12%を占めるわけですから他で脂質を減らさないといけません。

脂質というとお肉や魚に含まれる脂だけでなく多くの食べ物に含まれています。

スーパーフードと言われているアーモンドやくるみなども脂質が多い食べ物です。

国民健康・栄養調査報告によると20歳以上で脂質のエネルギー比率が30%を超えてとり過ぎている人は、男性で約2割、女性で約3割もいるそうです。(実際はもっと多いような気がしますが)

このように脂質を摂り過ぎ傾向のある人が健康に良いと思ってチアシードを大さじ2杯、3杯と食べてしまうとかえって脂質の摂り過ぎになりなります。

これらを考慮すると

1日大さじ1杯が良いというのは不足気味のαリノレン酸が十分に摂れる量だからという理由もありますが

  • リノール酸を摂り過ぎない
  • 脂質を摂り過ぎない

という理由もあると思われます。

そしてチアシードにはもう一つ、食物繊維の摂取量も気をつけた方が良いです。

 

チアシードに含まれる食物繊維の注意点

チアシードは4割弱食物繊維でできていて含有量は食べ物の中ではトップクラスです。

オメガ3脂肪酸とともに、食物繊維も日本人は不足気味です。

最近は免疫力を上げるには腸内環境を改善する必要があるとよく言われていますが、食物繊維は腸内環境を整える働きがあるので不足すると逆に免疫力が下がったり、便秘になりやすくなる可能性が高くなります。

食物繊維の1日の目標摂取量は

  • 成人男性:20g以上
  • 成人女性:18g以上

が推奨されていますが

チアシード4,5杯で目標摂取量に届くので、女性であれば「前立腺がんの影響はなく、野菜を多く食べているし、リノール酸や脂質の過剰摂取もないから、チアシードを1日4杯程度ならば食べても良いのでは?」と

思うかもしれません。

ですがチアシードの食物繊維は摂り過ぎに注意が必要です。

それはチアシードに含まれる水溶性と不溶性の食物繊維の割合です。

食物繊維は大きくわけると水溶性不溶性に分けられます。

水溶性も不溶性も腸内環境を改善する働きがありともに便秘解消に役立つ成分なのですが、実は食物繊維を目標量を摂取できたとしても、「不溶性食物繊維の摂取割合が多いと逆に便秘になってしまうなど逆効果になる」場合もあります。

理想の水溶性不溶性の摂取割合のは1:2です。

女性の場合1日の目標摂取量が18g以上ですから、水溶性が6g不溶性が12g摂るのが理想です。

実はチアシードに含まれる水溶性と不溶性の食物繊維の割合は水溶性が1に対して不溶性が4.5とバランスが悪いです。

チアシード大さじ4杯(約50g)食べたとすると約20gが食物繊維で目標摂取量に届きますが、水溶性約3.4g不溶性約16.6gととなり、不溶性が摂り過ぎで水溶性が不足という状況になってしまいます。

このようにチシードだけで食物繊維を補うのはお腹がふくらんで苦しくなったり、腸に過剰な刺激が伝わることで、「腸のぜん動運動が抑制されて便がコロコロになる可能性が高い」のでおすすめできません。

またチアシードの摂り過ぎで便秘になる人もいれば、逆に下痢になる人もいます。

美容や健康にすごく気をつけている女性は多いですが、このような女性は食物繊維をしっかりと摂っている傾向にあります。

そのような人が「αリノレン酸が不足しているからチアシードを食べよう!」と思い、1日大さじ2杯食べたとすると食物繊維が過剰摂取になり、下痢などお腹の調子が悪くなる可能性もあります。

このようにチアシードには食物繊維が多いのですが、普段から食物繊維を十分に摂っている人も、そうでない人も両方ともにチアシードを多く摂ることで便通に影響が出る可能性が高いです。

やはり最初はチアシードは1日大さじ1杯を目安にして、何も問題がなければ2杯と増やしていきましょう。

結局1日どれくらいチアシードを食べてよい?

チアシードの1日の摂取量はαリノレン酸の前立腺がんのリスクを考えないとすると(厚生労働省も摂取上限を定めていないので)

αリノレン酸の摂取量は気にする必要がなく、

  • リノール酸や脂質
  • 食物繊維

これらの摂取量に気をつけなければなりません。

①チアシード大さじ1杯がおすすめの人

  1. 暴飲暴食気味や偏った食事の傾向がある人
  2. 太り気味の人
  3. 水溶性食物繊維を十分に摂っている

1または2の人は脂質(リノール酸含む)を多く摂っている傾向があり、血液もドロドロの可能性が高いですが、血液をサラサラにしてくれるαリノレン酸は不足しているのでまずは食事の量を減らし、その分チアシード大さじ1杯を摂るようにしましょう。

3の水溶性食物繊維を十分摂っているという人は健康に気を使って加工食品などはあまり食べず野菜や和食をしっかりとっています。

水溶性食物繊維が多く含まれているのはのりやワカメ、昆布、ひじきなどの海藻類が断トツに多く、また果物や穀物では大麦に多く含まれています。

海藻類などをしっかり取っている人は脂質は少ないはずなので、大さじ2杯摂っても良いのですが食物繊維を多く摂り過ぎでお腹の調子が悪くなる可能性があります。

まずはチアシードを大さじ1杯から始めて便通に問題がないようでしたら大さじ2杯に増やしましょう。

②チアシード大さじ2杯摂っても良い人

  1. オメガ3脂肪酸(αリノレン酸、DHA、EPA)を普段あまり摂らない人
  2. 水溶性食物繊維が不足気味の人

なのですが

1と2両方に当てはまる人は太っている人や暴飲暴食気味の人が多いのでそのような人は2杯も摂るのはおすすめできません。

ここでチアシードを大さじ2杯以上食べて良い人はカロリーや健康を気にして、野菜(サラダ)などを多く摂ってはいるが海藻類などをあまり食べないような人です。

「こんな人いるの?」と思うかもしれません。

確かに少ないとは思いますが、ダイエット中で、食べるとしてもサラダなど野菜中心の人には食物繊維やαリノレン酸やリノール酸などの脂質が不足する傾向にあるので、このような人は大さじ2杯でも大丈夫です。

 

③チアシードをあまりおすすめできない人

  1. 太っていたり、暴飲暴食気味の人で食事の量を減らせない人
  2. 健康に気を使っている人でえごま油やアマニ油、くるみなどでしっかりとαリノレン酸を摂っている人

1はカロリーオーバー気味で、脂質を多く摂取している人が多いので、脂質の割合が高いチアシードを食べるのは健康に害を及ぼす可能性があります。

αリノレン酸や食物繊維不足を解消するには良いですが、脂質過剰になる危険性があるので注意してください。

2はスーパーフードが大好きでチアシード以外のαリノレン酸が豊富な食べ物をしっかり摂っている人はチアシードまで摂る必要はありません。

毎日健康のためにえごま油を使用して、くるみを食べるような人が、チアシードまで食べると、脂質過剰になる可能性があります。

ただチアシードを水に戻した時の食感が好き、または食物繊維が足りないかもという人は大さじ1杯ではなく、小さじ1杯など少量から摂り始めるようにしましょう。

まとめ

チアシードは日本人が不足気味のαリノレン酸や食物繊維が摂れるため、多くの人に食べてもらいたい食べ物ですが脂質が多いので注意が必要です。

一般的にはチアシードは大さじ1杯程度と言われていますが、αリノレン酸が大さじ1杯で目標摂取量に届くというだけでなく、脂質や食物繊維を摂り過ぎないようにという理由もあります。

人によっては大さじ2杯以上摂っても問題ない人もいますが、そのような人はまれなので、平均すると「大さじ1杯」で十分という人が多くなるようです。

やはりどんなに健康や美容に効果があってスーパーフードと言われる食べ物でも食べ過ぎには注意しましょう。