スピルリナとミドリムシ、クロレラの製品を見ると緑の錠剤(または粉末タイプ)で販売されていて、どれも似ています。
実際にどの食べ物も「健康や美容に良いです!」と宣伝されていますが違いがあるのか?
それともあまり違いはないので、どれを選んでもそれほど変わらないのか、栄養成分やその効果・効能の違いについて紹介します。
スピルリナやミドリムシ、クロレラの栄養成分の違いについて
スピルリナやミドリムシ、クロレラは同じ藻由来のスーパーフードです。
どれもタンパク質やアミノ酸、ビタミン、ミネラルと豊富に含まれているので、健康や美容に多くの効果や効能をもたらしてくれます。
スピルリナとミドリムシの詳しい効果や効能は
をご覧くだい。
各成分の比較表
アミノ酸 | ビタミン | ミネラル | 脂肪酸 | |
スピルリナ | 18種類 | 13種類 | 15種類 | 9種類 |
ミドリムシ | 18種類 | 14種類 | 9種類 | 11種類 |
クロレラ | 18種類 | 14種類 | 8種類 | 0種類 |
この表を見るとアミノ酸の種類は同じですが、ビタミンはスピルリナが1種類少ないのはビタミンCが含まれていないからです。
ミネラルはスピルリナが一番多く脂肪酸はクロレラが全く入っていません。
「脂肪酸って油だからダイエットしたい人は入っていない方が良いのでは?」と思うかもしれませんが、脂質は三大栄養素のひとつなので脂肪酸は身体に必要な成分ですし、健康や美容、そしてダイエットにも良い成分もあります。
またオメガ6系脂肪酸の一種であるリノール酸は現代人は摂り過ぎの傾向がありますが、オメガ3系脂肪酸(αリノレン酸やDHA、EPA)は不足しているので、身体に良い脂肪酸は取る必要があります。
ただこの成分表だけではスピルリナとミドリムシの違いはあまりわかりません。
注目の成分と含有量が多い成分
それでは次にそれぞれにしか含まれない注目の成分や含有量が多い成分を紹介します。
●スピルリナの注目の成分
スピルリナしか含まれない成分は主要タンパク質で天然色素のフィコシアニンです。
この成分はまだまだ研究段階ではありますが
- 強力な抗酸化作用
- デトックス効果
- アレルギー抑制作用
などが期待されています。
またミドリムシやクロレラに含まれていない成分はγ(ガンマ)リノレン酸です。
この成分はスピルリナには月見草などごく一部の植物にしか含まれない貴重な脂肪酸で
- 血糖値を下げる効果
- コレステロール値を下げる効果
- 血圧を下げる効果
- アレルギー抑制効果
などが期待されていて、生活習慣病の予防やアトピー性皮膚炎などへの効果が期待されています。
※ヨーロッパではγリノレン酸は医薬品として扱われていてアトピー性皮膚炎の治療に使用されています。
ミドリムシ(ユーグレナ)の注目の成分
ミドリムシだけに存在する成分は『パラミロン』です。
「パラミロン」は、β(ベータ)グルカンという大麦などに多く含まれている水溶性食物繊維の一種でミドリムシにのみ存在している成分です。
βグルカンは日本や世界各国の公的機関が機能性の表示を認めている注目の成分です。
効果 | 認めている国 |
---|---|
食後の血糖値を抑える | 日本、欧州(EFSA) |
正常な腸機能の維持 | 日本、韓国 |
排便促進効果 | 欧州(EFSA) |
心疾患のリスクが減る | 米国、カナダ、欧州(EFSA)) |
コレステロール値が低下 | 日本、欧州(EFSA) |
これらの効果をパッケージに表示して良いわけです。
次にスピルリナやクロレラに含まれていない成分を紹介します。
まずはオメガ3系脂肪酸のDHAとEPAです。
これらの脂肪酸は青魚に多く含まれていてその他の食品に含まれているのは珍しいです。
DHAは「子どもの学力向上」に効果があるとして注目された成分で、EPAは血栓を防止する成分が多く含まれて
いるのが特徴です。
これらの効果や効能は
1.血流改善➡動脈硬化の予防➡生活習慣病の予防
2.アレルギー抑制➡花粉症やアトピー性皮膚炎の抑制
3.精神の安定➡うつの軽減
4.記憶力や判断力の向上
5.視力の回復
6.アルツハイマー・認知症への効果
7.善玉(HDL)コレステロールを増やし悪玉(LDL)を減らす
8.中性脂肪の減らす
などが期待されています。
次はこちらも脂肪酸のパルミトレイン酸です。
パルミトレイン酸は食用油ではマカダミアナッツオイルに含まれていますがその他のオイルにはほとんど入っていない貴重な脂肪酸です。
このパルミトレイン酸の効果は老化肌や乾燥肌に効果がある成分で肌の弾力や再生、修復などが期待されています。
また皮脂や角質層の働きを正常に保つことによりシワやたるみも改善する効果もありアンチエイジングには欠かせない成分です。
GABA(ギャバ)と呼ばれるγ‐アミノ酪酸という天然のアミノ酸で
- リラックス効果
- 快眠効果
- 血圧を下げる効果
- 認知症予防効果
- コレステロールや中性脂肪を抑える効果
などが期待されています。
特にGABAは興奮作用を抑える働きがあり、リラックスして快眠ができると言われていて、ベストパフォーマンスが求められるトップアスリートのストレス対策にも用いられている成分です。
最近はGABA含有食品が多く登場し、日常的なストレスの軽減に役立っています。
クロレラの注目の成分
クロレラだけにしか存在しない成分はクロレラグロスファクター(C.G.F)です。
まだまだ研究段階でですがC.G.Fは成長因子で、赤血球を回復させて血液を増やし、貧血を改善する働きをしたり、細胞分裂を促進してアンチエイジング効果を実現すると言われています。
そして他の2つよりもクロレラの方がかなり含有量の多い成分があります。
まずはクロロフィル(葉緑素)です。
クロロフィルは「緑の血液」と呼ばれている色素で体の中で血液の原料となります。
二日酔いの防止
アレルギー対策
(アトピー性皮膚炎、花粉症など)
疲労回復
口臭や体臭の予防や改善
便秘の予防や改善
しもやけを抑制
コレステロールの低下
このように様々な効果があります。
そして葉酸も他の2つと比べると多く含まれています。
葉酸は母子手帳にも摂取が必要と書かれている妊婦さんには欠かせない成分ですが、ビタミン12と協力して赤血球を作るのでC.G.Fやクロロフィル同様に貧血の予防効果が期待されています。
※ちなみにビタミンB12は主に肉や魚に含まれている成分ですが、スピルリナやミドリムシ、クロレラは動物と植物どちらの特徴もある貴重な食品でビタミンB12が豊富に含まれています。
このように比べてみるとスピルリナとミドリムシは独自の成分や他の2つにはない成分がありますね。
次に3つのプラスとマイナスのポイントを紹介します。
スピルリナやミドリムシ、クロレラのプラス・マイナスポイント
◎スピルリナのプラスポイント
①バランスの取れた栄養素
スピルリナは五大栄養素である
(1)タンパク質
(2)脂質
(3)炭水化物
(4)ビタミン
(5)ミネラル
これらの成分に加え
(6)食物繊維
(7)ファイトケミカル(ポリフェノールやカロテンなど)
といった栄養素がバランスよく含まれています。
※(1)~(7)を七大栄養素と言います。
また栄養素の種類も70種類以上ありミドリムシ59種類、クロレラ41種類と比べるとかなり種類が多いです。
②消化効率が良い
いくら栄養素が豊富な食べ物を摂っても体内で消化して吸収されないと体外に出てしまうので意味がありません。
特に細胞壁が厚い野菜の吸収率は40%前後と言われていますが、スピルリナは細胞壁が薄くてこわれやすいため食べてからたった2時間で消化率が95%とかなり高いです。
③強いアルカリ性食品
さらにスピルリナは強いアルカリ性の食品です。
人の身体は弱アルカリ性を保つ働きがありますが肉やインスタント食品、甘い食べ物など酸性食品ばかり食べると体は細胞や骨などからミネラルを出してアルカリ性に戻ろうとします。
酸性体質は万病の元と言われています。
自分の体が酸性体質だと実感している方はアルカリ性の強いスピルリナを摂ることをおすすめします。
④価格を安く抑えられる
ミドリムシやクロレラと比べると大きいため(ミドリムシの約10倍、クロレラの約100倍以上)収穫がしやすく、ろ過によって簡単に収穫が可能です。
そのため大量生産するのに向いており低価格で提供できます。
◎スピルリナのマイナスポイント
栄養もバランスが取れていて消化効率もよく価格も安く抑えられるとなればマイナスポイントはほとんどないのですが、唯一挙げるとすればビタミンCが含まれていないことです。
ビタミンCは抗酸化作用があるだけでくたんぱく質からコラーゲンを合成する働きがあり、肌にハリやつやが生まれます。
そしてシミのもとであるメラニン色素の合成も抑える働きもビタミンCにはあります。
さらに吸収率の低い鉄分はビタミンCと一緒になることで吸収力が高まります。
これだけ栄養が豊富なのになぜかビタミンCが含まれていないのは不思議ですがスピルリナ100%のものを摂る場合はビタミンCが豊富なものを食べるようにしましょう。
◎ミドリムシ(ユーグレナ)のプラスポイント
①バランスの取れた栄養素
スピルリナと同じように七大栄養素がバランスよく含まれています。
またスピルリナと違いビタミンCもしっかり入っている点もプラスポイントです。
②消化効率が良い
スピルリナの95%には及びませんが消化効率が93.1%と高い消化効率です。
◎ミドリムシのマイナスポイント
①ミドリムシ100%商品がない
スピルリナ100%の商品はありますがミドリムシはないので他の成分や添加物が混ざっているサプリメントで摂らないといけません。
安い価格だったとしてもミドリムシの含有量が少なかったり添加物が多かったりと、きちんと商品を見極める必要があります。
②価格が高い
スピルリナよりも小さく大量生産がしにくいので、どうしてもスピルリナと比べると価格が高くなってしまう。
ですがクロレラよりは安いです。
◎クロレラのプラスポイント
バランスのとれた栄養素
スピルリナやミドリムシに比べると栄養素の種類は少なく、スピルリナのようなγ-リノレン酸やミドリムシのようなDHAやEPAといった脂肪酸は含まれていません。
ただしビタミンB6やB12、葉酸、鉄、クロロフィルなどは他の2つよりも多く含まれているなど十分に栄養豊富な食べ物です。
◎クロレラのマイナスポイント
①消化効率が他の2つよりも低い
消化効率は野菜よりは高い約65%なので全体的に見れば低いというわけではありませんが、スピルリナ95%やミドリムシ93%と比べると低いです。
ただ商品によっては加工により消化効率を高くしているものもあるようです。
②弱酸性食品
スピルリナは強いアルカリ性ですがクロレラは弱酸性なので、偏った食事を摂っている人にはおすすめできません。
③価格が高い
クロレラは他の2つよりも小さいので製品にするのに手間がかかり、そのせいで価格が高くなります。
このように3つを比べるとクロレラはプラスの要素が少なくマイナス要素が多いのでスピルリナやミドリムシの方がおすすめです。
スピルリナとミドリムシに関しては栄養素の種類はスピルリナの方が多いですが、ミドリムシの方がバランスはとれているので、どちらが優れているというのは甲乙つけがたいです。
ただスピルリナの方が手間がかからない分価格を安くできるのと、ミドリムシ100%という商品が今はまだ発売されていないという点を考慮するとスピルリナがおすすめです。
まとめ
クロレラもかなり栄養が豊富なおすすめの健康食品ですがそれを上回るのがスピルリナやミドリムシです。
ただミドリムシはまだ100%商品がないので100%の商品が良いという場合はスピルリナを選んでください。
そしてサプリメントはスピルリナやミドリムシにはない成分や少量しか含まれていない成分を加えているので、栄養的には満点で効果もさらにアップしますが、基本は毎日の食生活の補助食品として足りない分を補うという感覚で摂るようにしましょう。
また最近では同じ藻由来のスーパーフードである「AFAブルーグリーンアルジー」が注目されています。
詳しくは「AFAブルーグリーンアルジーの効果効能がスゴイ!注目の栄養素とスピルリナとの違いについて」をご覧ください。