スピルリナは人気のスーパーフードのひとつですね。
「理想的な栄養食品」としてアメリカのFDA(食品医薬品局)で正式な栄養食品として認められ、NASAでは宇宙食としての開発も進められているほどの食材で「奇跡のスーパフード」とも言われています。
そのスピルリナにはどのような栄養成分が含まれていて多くの健康や美容の効果や効能があるのか、また、取り方(食べ方や飲み方)や摂取量について詳しく紹介します。
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スピルリナとは?その特徴について
スピルリナという名前はラテン語の「らせん」という言葉に由来し、名前のとおりらせん形の形をしていますが肉眼では確かめることはできないほど小さいです。
スピルリナは今から30億年以上も昔に地球上に誕生した最古の植物と言われる藍藻類の一種で、主にアフリカや中南米の熱帯地方の塩水湖に自生していて現地の人々は古来から食糧として利用していました。
またあらゆる「動植物の起源」と言われ、「動物と植物の両方の特徴を持ち合わせています。」
通常藻類は日光を浴びて光合成を行いでんぷんを作り出しますが、スピルリナはグリコーゲンという動物性の炭水化物を作る珍しい生き物で、ビタミンB12が含まれています。ビタミンB12は動物性の食品にしか含まれないビタミンです。
(例外:一部のりなどには含まれています)
肉や魚をほとんど、あるいは全く食べないベジタリアンの人はビタミンB12が不足している可能性が高いのでスピルリナで補うことをおすすめします。
さらにけん怠感やめまい、息切れが起り、神経の働きが低下して気分がふさぎがちに なる可能性があります。
大きさは0.3~0.5mmと非常に小さいのですが、想像できないほどの生命力の強さがあります。
昔は栄養学の知識はなかったものの、経験に基づいた知恵によってスピルリナが優れた栄養食品であることを知っていたのでしょう。
そして近年スピルリナがバランスのとれた栄養食品として病気の予防・改善や美容に効果があると期待されています。特にアメリカでは「タンパク質の女王」としてスーパーフードのトップクラスの地位を得ています。
そしてこの栄養成分が豊富なスピルリナの特徴として挙げられるのが優れた消化効率です。いくら栄養素が豊富な食べ物を摂っても体内で消化して吸収されないと体外に出てしまうので意味がありません。
特に細胞壁が厚い野菜の吸収率は40%前後と言われていますが、スピルリナは細胞壁が薄くてこわれやすいため食べてからたった2時間で消化率が95%とかなり高いです。
スピルリナの注目の栄養成分について
スピルリナには60種類以上の栄養成分が含まれていると言われていますが、人が必要とする五大栄養素をバランスよく摂れるのが特徴です。
②脂質
③炭水化物
④ビタミン
⑤ミネラル
これら5つの栄養素のことを指し、タンパク質、脂質、炭水化物を三大栄養素と言います。
注目される栄養成分といえばタンパク質です。
さすが「タンパク質の女王」と言われるだけあってその含有量が半端ないです!
良質なタンパク質がたくさん摂れる食べ物の代表といえば肉、魚、卵、大豆などですが、それらよりもはるかに多いタンパク質が含まれています。
またタンパク質が多いと言われるスーパーフードののチアシードよりもかなりの量が含まれているのは驚きです。
大豆: 34.3%
牛肉: 19.3%
卵: 12.7%
魚: 20.0%
ヘンプシード:32.0%
チアシード 16.0%
タンパク質とは必須栄養素の1つで人の体は10万種類以上のタンパク質が存在しています。
筋肉、臓器、皮膚、毛髪、ホルモンや酵素、免疫物質、血液など人体の大部分はタンパク質で構成されていて体内で常に合成と分解を繰り返しています。
「タンパク質が不足」すると
- 筋力量が減って体力が落ちる
- 疲れやすくなる
- 免疫力も下がる
という状況になりやすく病気にもかかりやすくなります。
さらにそれだけではなく
- 記憶力の低下
- 肌荒れや髪が傷む
- 太りやすく、やせにくい体質
といったマイナス面もあります。
タンパク質というと筋肉を付けるために必要な成分と思われがちですが、美肌に関してもビタミンだけでなくタンパク質をしっかりと摂る必要があります。
肉や魚などの動物性タンパク質をたくさん食べることで補うこともできますが、同時に脂質も多く吸収したりカロリーも高いので、大豆やチアシード、スピルリナなどの植物性タンパク質からもしっかり摂るようにしましょう。
そして最近注目されているのがスピルリナの主要タンパク質で天然色素の「フィコシアニン」です。
まだまだ研究段階ではありますがいろいろな研究結果が発表されています。フィコシアニンが含まれる食べ物はスピルリナ以外では紅藻類のアサクサノリにわずかに含まれている程度なのでスピルリナ独特の成分と言っても良いでしょう。
フィコシアニンの期待される効果は強い抗酸化作用やデトックス作用、アレルギー抑制作用ですが、これから多くの効果が期待されている成分です。
そしてタンパク質を構成しているのは20種類のアミノ酸でそのうちスピルリナには18種類含まれています。
アミノ酸には体内で合成することができないものを「必須アミノ酸」と言って全部で9種類ありますがスピルリナには9種類全て含まれています。
植物系の食べ物でこれだけアミノ酸が豊富なものは大豆やスーパフードでいえばチアシードやゴジベリーといったほんの一部の食べ物だけです。
ただ、必須アミノ酸といってもどのような種類があり、その働きについても詳しくない人が多いようなので紹介します。
必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
イソロイシン | ●成長を促進して肝臓や神経の働きを助ける ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 |
ロイシン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●肝臓の機能を高める |
リジン | ●疲労回復・集中力を高める●髪の健康(育毛効果) ●肝機能や不妊の改善効果 |
メチオニン | ●かゆみやアレルギーの原因となるヒスタミンの 血中濃度を下げたり、抑うつ効果もある |
フェニルアラニン | ●興奮作用のあるドーパミンなどの神経伝達物質の もとになる。鎮痛作用や抗うつ効果も |
スレオニン | ●成長を促進する作用 ●肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ➡脂肪肝予防 |
トリプトファン | ●脳や神経の働きを安定させるセロトニンのもとの 成分。鎮痛・催眠効果がある |
バリン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●体の成長を促し、血液中の窒素のバランスを整える |
ヒスチジン | ●子どもの成長に欠かせない成分 ●神経の働きを助ける、ストレスを軽減する |
必須アミノ酸の中で最近注目されているのは
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
といった3つの成分です。
これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており、運動中のエネルギー源となります。
最近は「BCAA」の入りのサプリメントがアスリートの間でも人気がありますね。
さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。
このように必須アミノ酸は成長や精神を安定させるために欠かせない成分です。
そして必須アミノ酸も豊富に含まれています。非必須は必要ないということではなく「体内で合成できる」という意味です。体の中で作られるからといって摂取しなくて良いのではなく、しっかりと摂る必要があります。
一方でスピルリナに含まれている非必須アミノ酸は
非必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
アルギニン | ●筋肉の増強、免疫機能の強化、生殖機能の改善 |
グルタミン酸 | ●うま味成分。集中力アップややる気を高める |
アスパラギン酸 | ●疲労回復、アンモニア解毒、スキンケア |
プロリン | ●美肌・関節痛改善・脂肪燃焼 |
アラニン | ●スキンケア・肝機能改善(二日酔い予防) |
グリシン | ●美肌・睡眠の質を上げる |
セリン | ●美肌・認知症予防・睡眠の質を上げる |
といった効果が期待されて、コラーゲンの元のなる成分(プロリン、アラニン、グリシン)もあります。
その他の注目の成分は
- γ(ガンマ)リノレン酸
- β-カロテン
- ゼアキサンチン
- クロロフィル(葉緑素)
- 核酸
などが挙げられ、
さらにビタミンB群を中心としたビタミン類やカルシウムや鉄などのミネラルも豊富に含まれています。
それでは具体的にはどんな効果があるのでしょうか?
スピルリナの効果や効能について
①生活習慣病の予防
スピルリナには月見草などごく一部の植物にしか含まれない脂肪酸のγ(ガンマ)リノレン酸が含まれています。
リノレン酸というとチアシードやえごま油に含まれるオメガ3系脂肪酸のα(アルファ)リノレン酸が有名ですが、γリノレン酸はオメガ3系ではなくリノール酸などと同じオメガ6系の脂肪酸で、別名「ビタミンF」とも言われます。
γリノレン酸の効果や効能には
- 血糖値を下げる効果
- コレステロール値を下げる効果
- 血圧を下げる効果
などが期待されていて、これらの効果により生活習慣病を予防してくれます。
またスピルリナに含まれるクロロフィル(葉緑素)もコレステロールを下げる効果が期待されています。
②アトピー性皮膚炎を抑制する効果
イギリスやドイツ、フランスなどヨーロッパではγリノレン酸は医薬品として扱われていてアトピー性皮膚炎の治療に使用されています。特に「かゆみ」に対して有効であると期待されています。
また注目の成分フィコシアニンにもアレルギー抑制の効果が期待されていて実験結果も報告されています。
③貧血予防や改善
スピルリナにはクロロフィル(葉緑素)が豊富に含まれています。クロロフィルは「緑の血液」と呼ばれている色素で血液のヘモグロビンに構造が良く似ていることから、造血作用があると言われています。
さらにスピルリナには鉄分も豊富に含まれています。野菜で鉄分が豊富といえば「ほうれん草」ですがスピルリナにはほうれん草の数十倍も多く鉄分が含まれています。
さらに葉酸とビタミンB12もスピルリナには多く含まれていますが、この2つの成分は協力して赤血球のヘモグロビンの合成を助ける働きがあります。
このようにスピルリナには多くの貧血の予防や改善に欠かせない成分が含まれています。
④便秘の改善(デトックス作用)・消臭予防
スピルリナは整腸作用がある食物繊維を多く含むだけでなくクロロフィル(葉緑素)にも整腸作用があり、胃腸の中に付着した老廃物を吸着して体外に排出する働きがあります。
デトックス作用として注目されるのはチェルノブイリ原発事故被害者を対象にした調査結果で、1日に5グラムのスピルリナを与えられた、子供の尿中の「セシウム137」の量が50%も減ったという結果報告もあります。
また、クロロフィルは悪玉菌が生み出した悪臭分子を分解して消臭してくれる働きがあり、クロロフィルのサプリメントは口臭・体臭・加齢臭・便臭・汗などの臭い対策として販売されています。
⑤美肌・美白効果
スピルリナには美肌に影響するビタミンB群が多く含まれていますが、それだけではなく非必須アミノ酸のプロリン、アラニン、グリシンはコラーゲンの主成分となり、それぞれ美肌効果が期待されています。
またスピルリナの特徴として
- フィコシアニン
- β-カロテン
- ゼアキサンチン
- ビタミンE
- 核酸
など抗酸化成分が多いことが挙げられます。抗酸化=老化防止という意味ですからシミやしわ、そばかすといった肌トラブルを予防してくれます。
特に細胞の分裂と再生をつかさどる核酸には新陳代謝を促進し老化を防ぐ働きがあると言われていて美肌効果が期待されています。
さらに最近ではγリノレン酸にも美肌や美容効果が注目されているなどスピルリナには美肌・美白効果が期待できる栄養成分がたくさん含まれています。
⑥白髪予防
タンパク質は髪の毛の材料になりますがスピルリナは食べ物でトップクラスの含有量であることと、また核酸が白髪を予防する働きがあると期待されていて、実際に「スピルリナを食べて白髪が減った」という報告があります。
⑦目の健康・眼病予防
スピルリナに含まれる天然色素のカロテノイドの一種であるβ-カロテンは一部ビタミンAに変わります。ビタミンAは「目のビタミン」と呼ばれますがこれは目の網膜にある「ロドプシン」という物質の主成分であるためです。
「ロドプシン」を活性化させることで眼精疲労や視力の回復も期待できます。
そしてこちらもカロテノイドの一種であり強い抗酸化力を持つ「ゼアキサンチン」はともに目の黄斑部や水晶体に存在していて
- 黄斑変性症に対する予防・改善
- 紫外線やスマホなどのブルーライトなどで発生する活性酸素による酸化を防ぎ、視力低下や白内障、緑内障の予防につながる
といった効果が期待されています。
また実験では老人性白内障の進行阻止、および改善といった結果が出ています。
⑧免疫力アップ
免疫力がアップすると風邪やインフルエンザだけでなく多くの病気にかかりにくい身体になります。
スピルリナには免疫力を高めて抗酸化作用も持つβ-カロテンや、ビタミンB群、ミネラルを多く含んでいますが研究により、スピルリナを摂取することでリンパ球が活性化し、免疫力を高まることが確認されています。
紹介した効果以外にも
- 疲労回復(ビタミンB1、葉緑素の効果)
- 関節リウマチの予防(γリノレン酸)
- 月経前症候群(PMS)の予防・改善
- 二日酔いの防止(葉緑素)
などが期待されています。
また鉄以外にもマグネシウムやカルシウム、カリウムなどのミネラルの効果も期待できるわけですから、スピルリナが奇跡のスーパーフードと呼ばれる理由がわかりますね。
スピルリナの取り方(食べ方や飲み方)
ご存知の方も多いと思いますがスピルリナは生で食べるというよりもドライパウダーにした粉末とそのまま飲める粒のタイプがあります。
粉末タイプは
- ヨーグルトや牛乳など乳製品に混ぜる
- スムージーなどに混ぜる
- 納豆やとろろなどネバネバ食品に混ぜる
- みそ汁に加える
- おにぎりのトッピングにする
- カレーやハンバーグ、チャーハン・お好み焼きにかけるなどに 加える
など色々な食べ方があります。
加熱も大丈夫ですのでお試しくださいね。
粒の場合はそのまま水と一緒に飲むだけなので簡単に摂りたい方は粒タイプをおすすめします。
スピルリナの摂取量や摂るタイミング
スピルリナの1日の摂取量は2~6gとが理想的と言われています。(粒の場合は20粒で4g程度です)過剰摂取による悪影響は報告されていませんが、やはりどんなに栄養価が高い食べ物でも食べ過ぎはなんらかの影響が出る場合があります。
また初めての方は下痢ぎみ、逆に便秘になる方もいます。
「下痢ぎみの方は腸内環境が良くない」
「便秘ぎみの方は水分量が少ない」
という可能性が高いです。初めてスピルリナを摂る場合は、まずは2g程度からにしましょう。
摂るタイミングですが食事の30分から1時間前に摂ることでダイエット効果も期待できます。スピルリナは水分を含んで膨らむという特徴があり、食事の前に摂取することでお腹の中で水分を吸収して膨らみ満腹感が得られ、食べ過ぎを防止できるといううれしい効果も期待できます。
スピルリナの正しい選び方
スピルリナを選ぶ際には先程も紹介したように粉末・粒・サプリメントのタイプがあります。
そして粉末や粒タイプを選ぶ時は食品添加物などが含まれているものではなくスピルリナが100%の商品を購入しましょう。
「スピルリナ100%」
こちらは粒タイプの商品です。
スピルリナ100% 【2000粒+400粒増量】1粒200mg(約2ヵ月分)
「スピルリナパウダー」
こちらもスピルリナ100%の商品です。
スピルリナ100%【スピルリナパウダー(粉末) 500g】(約2ヵ月分)
ぜひ良質なスピルリナを選んでくださいね。
スピルリナの摂取する際の注意点
スピルリナにはビタミンKが含まれています。ビタミンKは血液を凝固させる成分を合成し出血を止める役割があります。月経による出血が多い(月経過多)女性には症状を軽減する効果があります。
また骨からカルシウムが血液中に放出されるのを抑えたり、カルシウムが骨に沈着するのを助けるという働きもあります。
ですが血液をサラサラにする作用があるワーファリンを飲んでいる方は血液を凝固させる効果があるビタミンKを摂るとワーファリンの効果が弱まる場合があるので注意してください。
妊婦さんや授乳中の方はスピルリナを食べても問題ありません。栄養豊富な食べ物ですし、葉酸も十分に含まれているので継続して食べるようにしましょう。
まとめ
スピルリナには
- 動植物両方の特徴があり、ベジタリアンの人におすすめ
- 栄養価が高いだけでなく消化吸収率も高い
といった特徴があり
食べ続けることで体質がアルカリ性になって身体全体の新陳代謝が活発になり、細胞が活性化されて自然治癒力が高まるので病気知らずの健康体になります。
- 生活習慣病の予防
- アトピー性皮膚炎を抑制する効果
- 貧血予防や改善
- 便秘の改善(デトックス作用)・消臭予防
- 美肌・美白効果
- 白髪予防
- 目の健康・眼病予防
- 免疫力アップ
とこれだけの効果が期待されています。もちろんスピルリナは薬ではないので即効性はありません。継続して飲むことで効果が期待されます。
ぜひスピルリナを飲んで健康的に美しくなりませんか?
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