最近和食が見直されていて野菜類を中心とした食生活が推奨されていますね。逆に「肉はおいしいけど健康に悪い」というイメージもありますが、豚肉などの肉類にも栄養がたっぷり入って、健康や美容に多くの効果や効能があるのをご存知ですか?

今回は

  • 豚肉に含まれる栄養成分
  • 脂身は食べて良いのか?
  • 効果効能
  • 部位ごとの特徴
  • 豚肉の調理のポイント

など詳しく紹介します。

豚肉の豊富な栄養成分と期待される効果効能

【タンパク質】

豚肉の100gのうち約15g(部位によって多少差があり)がたんぱく質です。たんぱく質は筋肉や内臓、骨、皮膚、髪、血液をはじめホルモンや酵素、免疫物質などの材料となります。

アミノ酸

タンパク質を構成するアミノ酸も豊富ですが、豚肉が優れているのは、体内で合成することができない9種類のアミノ酸である「必須アミノ酸」が全て含まれているところです。

必須アミノ酸全9種類の働き

必須アミノ酸 働き・効果・効能
イソロイシン ●成長を促進して肝臓や神経の働きを助ける
●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化
ロイシン ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化
●肝臓の機能を高める
リジン ●疲労回復・集中力を高める●髪の健康(育毛効果)
●肝機能や不妊の改善効果
メチオニン ●かゆみやアレルギーの原因となるヒスタミンの
血中濃度を下げたり、抑うつ効果もある
フェニルアラニン ●興奮作用のあるドーパミンなどの神経伝達物質の
もとになる。鎮痛作用や抗うつ効果も
スレオニン ●成長を促進する作用
●肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ➡脂肪肝予防
トリプトファン ●脳や神経の働きを安定させるセロトニンのもとの
成分。鎮痛・催眠効果がある
バリン ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化
●体の成長を促し、血液中の窒素のバランスを整える
ヒスチジン ●子どもの成長に欠かせない成分
●神経の働きを助けたり、ストレスを軽減する

このように必須アミノ酸は成長や精神安定などに欠かせない重要な成分です。特に

 

  • イソロイシン
  • ロイシン
  • バリン

この3つの必須アミノ酸は「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれ、運動中のパフォーマンスが向上すると期待されています。

豚肉はアミノ酸スコアが100

豚肉が優れているのは必須アミノ酸が全て含まれているだけでなく、そのバランスです。タンパク質の栄養価を示す指標を「アミノ酸スコア」と呼びますが、豚肉はスコアが100です。

アミノ酸スコアとは?
9種類の必須アミノ酸はそれぞれ必要量が提唱されています。食品に含まれている必須アミノ酸がどれくらい満たされているかでアミノ酸スコアは算出されます。100に近い数値であるほど理想的です。スコアが100の食べ物は他に肉類、魚類、卵、牛乳など

【ビタミンB1】

豚肉にはビタミンB群が豊富に含まれていますが、その中でも牛肉や鶏肉の約10倍多く含まれているのがビタミンB1」です。ビタミンB1は糖質の分解に欠かせない栄養素です。

最近は糖質抜きダイエットが流行っていますが近年はご飯やおやつなどの糖質を摂り過ぎる傾向にあり、反対に代謝物質のビタミンB1の摂取量が不足している人が多いです。

糖質抜きダイエット」ではご飯やパンの量を減らして、肉類を食べますが、同じ量を食べても糖質が少ないほうが太りにくいからです。(ただし完全に糖質を抜くのは健康面からいってもおすすめできません)

このように豚肉ビタミンB1が糖質を分解するのでダイエットをする人には向いている食材です。

また、ビタミンB1は「疲労回復のビタミン」と言われていて疲労回復精神安定作用もあります。仕事や勉強で疲れた時に豚肉を食べることで疲労回復イライラも抑えてくれますよ。

ビタミンB2とB6

ビタミンB2には皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあり美肌効果も期待できます。肌荒れや口内炎などが現れたらビタミンB2が不足している可能性が高いので豚肉などのビタミンB2が多い食べ物を摂りましょう。

さらにビタミンB2は動物性や植物性の脂質を脂肪酸に分解してエネルギー源に変化させます。ビタミン6は皮ふ炎を予防することから発見されたビタミンで皮膚や粘膜の健康維持にも役立っています。

また、ビタミンB2とビタミンB6を一緒に摂ることで美肌効果がアップすると言われています。さらにビタミンB6はたんぱく質をアミノ酸に分解して、筋肉や骨、血液、神経物質、酵素などになります。

このようにビタミンB1、B2、B6 はそれぞれ

  • ビタミンB1:糖質(炭水化物)の代謝(ブドウ糖に分解)
  • ビタミンB2:脂質の代謝(脂肪酸に分解)
  • ビタミンB6:タンパク質の代謝(アミノ酸に分解)

という3大栄養素を分解する働きがあります。3大栄養素はただ摂取するだけで良いのではなく、それぞれを分解する働きがあるビタミンB群の働きによってエネルギーなどに変化します。

逆にビタミンB群が不足すると分解ができないために、脂肪となり体内に蓄えられてしまいます。

【ナイアシン】

ナイアシンも豚肉にたくさん含まれているビタミンB群の一種です。(別名ビタミンB3)3大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)を代謝する際に補酵素として酵素の働きを助けます。

その他にも血行促進作用があるため

  • 冷え性の改善
  • 血行不良による頭痛

などにも効果的です。さらにアルコールを分解したり、二日酔いのもととなるアセトアルデヒドの分解にも働きます。

豚肉に多く含まれるビタミンB1ナイアシンを一緒に摂ることで相乗効果が起こり、糖質の代謝がさらに高まるだけでなく、体が疲れにくくなり、筋肉痛の予防にも効果的です。

またナイアシンとこれも豚肉に比較的多いビタミンB6を一緒に摂ることで免疫力がアップします。

【トリプトファン】

ナイアシンは先程紹介した必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成されるので、豚肉にナイアシンが多いということは当然トリプトファンも多く含まれています。

トリプトファンは脳や神経の働きを安定させる「セロトニン」のもとになる成分で

  • 安眠
  • 頭痛の鎮静作用
    などの効果が期待されています。

【ロイシン】

ロイシントリプトファン同様に必須アミノ酸の一種で、豚肉に多く含まれていて筋肉組織の主成分になり、太りにくい体を作ります。

豚肉の脂身は健康に良くて栄養価は高いのか?

 

豚肉の脂身を見ると「体に悪そうだな~」と思う人も多いのではないでしょうか?豚肉で一番脂質が多いのは「バラ肉」で100gの脂肪酸は31.82gです。

そのうち

  • 飽和脂肪酸が12.95g
  • 不飽和脂肪酸が18.87g

という割合になっています。

飽和脂肪酸はさらに細かく分けると豚の脂は長鎖脂肪酸と言い、体内で固まりやすい特徴を持ち、摂り過ぎると血液中の中性脂肪やコレステロールを増やして血液をドロドロにしてしまう傾向にあります。

ですが、必ずしも飽和脂肪酸の全てが悪いわけではありません。

豚脂に含まれる飽和脂肪酸の中で約15%を占めるステアリン酸は、善玉コレステロールを増やして血管の内側にこびりついたコレステロールを取り除いてくれる働きがあり、動脈硬化を予防する効果や肌を保湿する効果もあります。

そしてもう一方の不飽和脂肪酸は豚の脂肪酸うち約6割を占めて、その約8割オレイン酸がす。

このオレイン酸には

  • 血液をサラサラにする
  • 悪玉(LDL)コレステロールを減少させる
  • 動脈硬化・心筋梗塞を予防する
  • 便秘解消

などの効果があり、飽和脂肪酸とは全く逆の働きをします。

またその他にも

  • 摂り過ぎは注意ですが血中コレステロール値を下げるリノール酸
  • えごま油などで注目されたオメガ3脂肪酸の一種のαリノレン酸

なども含まれていますが、最近注目されているのが脂肪酸の一種であるアラキドン酸です。

注目のアラキドン酸!

アラキドン酸は乳幼児の脳の発達に不可欠な成分だけでなく、記憶力や認知症が改善され、統合失調症の症状緩和に効果のあることがわかっています。

東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授はアラキドン酸が神経新生促進と精神疾患予防に役立つ可能性を発見し、発表しています。

このように豚肉約6割は不飽和脂肪酸ですし、今までは体に悪いと言われていた飽和脂肪酸の中にもステアリン酸やアラキドン酸のように体に良い影響を与える脂肪酸があることもわかっています。

そのため豚脂は体に悪いとは言えず、むしろ健康に良い脂なのです。

ただ塩も体に必要ですが摂り過ぎには注意しなければならないように、豚の脂も体に良いものの、摂り過ぎは肥満や血液がドロドロになり生活習慣病などになる可能性もあります。

特にお肉はたくさん食べ過ぎてしまう傾向があるので1日の摂取量としては200gまでにしましょう。もちろん炭水化物(糖質)の摂りすぎも注意が必要です。

豚の主な部位別の特徴とおすすめ調理法

※カロリー、たんぱく質は100g当たり

【バラ】

ロースバラ肉 チャーシュー

395kcal、たんぱく質14.4g

バラは一番脂身が多い部位。濃厚な味わいでベーコンなどに使われます。赤身脂身が交互に層になっていることから「三枚肉」とも呼ばれます。

角煮チャーシューがおすすめ。

【ロース】

150kcal、たんぱく質22.7g

ロースといえばトンカツですね。きめ細かくなめらかな肉質でうまみの多い脂肪がほどよくついた上質な部位です。カツ以外にはローストポーク、チャーシューがおすすめ。

※バラのチャーシューは脂身が多いので苦手な人はロースにしましょう

【肩ロース】

157kcal、たんぱく質19.7g

肩ロースは赤身の中に脂肪が網状に入り、キメはやや粗く硬めですがコクがあります。筋を切ってから調理すると軟らかく仕上がります。

しょうが焼きやソテーがおすすめ。

【肩】

125kcal、たんぱく質20.9g

はキメがやや粗くやや硬め。薄切りや角切りにしてシチューやポークビーンズなど煮込み料理にするといい味が出ます。

【ヒレ】

130kcal 、たんぱく質22.2g

ヒレはきめ細かく軟らかで、脂肪が少なくビタミンB1が一番多く含まれている部位です。カツなど油を使った料理に向きます。加熱しすぎるとパサつくので注意しましょう。

【もも】

ローストポーク

128kcal 、たんぱく質22.1g

ももはヒレに次いで高たんぱく、低脂肪で、ビタミンB1を多く含みます。キメが細かくローストポークやソテーなど肉そのものの味を楽しむ料理におすすめです。

【そともも】

143kcal ,たんぱく21.4g

比較的どんな料理にも合いますが、中でも赤身の強い部分はキメが粗いので薄切りにして炒めるか、煮込み料理に使うのがおすすめです。

豚肉の調理のコツと簡単レシピ

豚肉は「ゆっくり加熱」がおすすめです。急激に温度を上げると筋線維内の水分が絞り出されて、硬くなってしまいます。

国産の豚肉ならば内部温度が70℃前後まで加熱すれば問題ないですが、どこ産の豚肉かわからない時やお年寄り、子ども向けにはしっかり加熱してから食べるようにしましょう。

それでは豚肉簡単レシピを紹介します。

1⃣簡単絶品チャーシュー

材料(2~3人分)

豚バラ(ブロック):300g
しょう油:100ml
酒:100ml
ショウガ(すりおろし):小さじ1
香菜、白髪ねぎなど:各適量

作り方

①鍋に肉の重量の8~10倍のお湯をわかし、常温に戻した豚バラ肉を塊のまま入れる。

すぐにフタをして火を止めて、そのお湯の状態で常温に冷めるまで置く。

②しょう油、酒、ショウガを混ぜて煮切り、調味液を作る

③ ①の肉を取り出し、②の調味液と一緒に調理用保存袋(ジップロックなど)に入れて空気を抜いて口を閉じる

④ 30分ほど漬けおいたら、肉を取り出し5mm幅に切る。

⑤最後に香菜、白髪ねぎなど好みの野菜をそえる。

2⃣オーブントースターで作る簡単ローストポーク

材料(2~3人分)

豚肩ロース肉(塊):400g
塩:小さじ1
コショウ:適量
タマネギ:1/2個

作り方

①豚肩ロース肉は常温に戻し、塩、コショウをすりこみ、タマネギはスライスしておく

②オーブントースターの受け皿をアルミホイルで覆い、①のタマネギスライスを敷きつめ、その上に肉をのせる

③ ②をオーブントースターで15分焼き、そのまま扉を開けずに15分休ませたら肉の上下をひっくり返してもう15分焼く

④ 焼きあがったらそのまま扉を開けず30分置き、好きなサイズに切って皿に盛る

※塊肉は休ませている間に火が通ります

400gで「焼き15分+休ませ15分」×2回が基本。重量が100g増えるごとに焼き時間を5分増やす。

まとめ

豚肉はタンパク質(アミノ酸)やビタミンB群(特にビタミンB1とナイアシン)が豊富でミネラルも含まれている栄養がたっぷりの食材です。3大栄養素を分解してエネルギーにするのはビタミンB群の役割なので、しっかりと摂るようにしましょう。

また脂身は体に悪いイメージがありますが健康に良い脂肪酸も含まれているので適量であれば食べても問題ありません。

ただ豚肉も与えているエサが遺伝子組み換えの飼料をたくさん与えていたり、抗生物質や成長ホルモンの過剰な使用が問題になっています。

おいしければ良いというのであれば外国産(特にアメリカ)で構いませんが、心配な人は国産の豚肉の方が安心です。(国産でもピンキリではありますが)

ぜひ最近疲れているなあと思ったら疲労回復のビタミンB1がたっぷり入っている豚肉料理を食べてみてはいかがでしょうか。