脂身が少なく、高タンパク低カロリーな鶏肉は、身体に気を配る多くの方が取り入れている食材ですね。ヘルシーなイメージがある鶏肉ですが、それぞれの部位の違いによって栄養価や向いているお料理などが変わってきます。
ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンK、パントテン酸などの栄養素も豊富です。この機会に、鶏肉について詳しく知り、美味しくヘルシーに取り入れましょう。
鶏肉の主な栄養成分
タンパク質
タンパク質は筋肉を作り代謝を上げるのに欠かせない栄養素です。筋肉量が増えると、脂肪を燃焼しやすい身体になります。それ以外にも臓器、皮膚、毛髪、ホルモンや酵素、免疫物質、血液など人体の大部分はタンパク質で構成されていて体内で常に合成と分解を繰り返しています。
そのため、タンパク質が不足すると
- 筋力量が減って体力が落ちる
- 疲れやすくなる
- 免疫力も下がる
- 記憶力の低下
- 肌荒れや髪が傷む
- 太りやすく、やせにくい体質
このようにタンパク質が不足すると筋肉量が減るだけでなく、美肌や美髪に影響が出る場合があり病気にもかかりやすくなるので注意が必要です。
セレン
抗酸化酵素の構成成分、そして甲状腺ホルモンを活性化する酵素の構成成分として重要なミネラルです。
【不足の場合】:関節症、筋肉痛、皮膚の乾燥、生殖能力の低下など
【過剰摂取の場合】:爪の変形、脱毛、胃腸障害、下痢、疲労、神経障害、肌荒れなど
これらの症状が出る可能性があります。
特に食事よりもサプリで過剰摂取する可能性があるので注意が必要です。
ナイアシン
水溶性ビタミンB群の一つです。身体のエネルギーを作り出すとともに、脂質や糖質の分解を促し皮膚や粘膜の炎症を防いでくれる効果があります。
そのため、栄養不足による肌や髪の乾燥やパサつきを防いでくれる働きがあります。
パントテン酸
脂質や糖質を代謝し、エネルギー産生に必要な酵素を補助する重要な役割を持つビタミンB群の一種です。また、善玉コレステロールを増やす働きがあるといわれ、動脈硬化の予防が期待されています。
ビタミンB6
ビタミンB6は食品のタンパク質からエネルギーを作り出します。アミノ酸の代謝や、心を落ち着かせる働きのある神経伝達物質のセロトニンやギャバ、ドーパミン、アドレナリンなどの生成にも関わっています。
不足すると体の疲れや口内炎ができるなど注意が必要です。ビタミンB群のナイアシンやパントテン酸、ビタミンB6は水溶性なので過剰摂取の心配はありません。
部位の違いについて
むね肉
文字通り、鶏の胸部分のお肉です。大胸筋と呼ばれる筋肉で、羽根を動かすのに重要な役割を果たしています。そのため、脂肪が少なく締まったお肉でタンパク質が豊富です。
またナイアシンが多いのも特徴です。見た目はやや白っぽい色をしています。
脂肪が少なく、タンパク質が多い胸肉は、味わいも淡白で、もも肉に比べるとかなりあっさりとしていますが、実はうまみ成分であるイノシン酸がもも肉より豊富といわれています。
価格的にも、もも肉よりリーズナブルで、1枚肉で販売されているのをよくみかけますね。鶏むね肉に多く含まれているのはナイアシンとパントテン酸です。
向いている調理法
柔らかくて脂肪が少なく味もあっさりとしているため、基本的にどんな料理にもなじみやすい部位ですが、欧米料理や中華料理に使われることが多く、「足し算の料理」に向いていると言われます。
足し算とは、スープやソースで味を加える調理法です。また、脂肪がなくあっさりしているので、油と組み合わせた調理法や、淡白な味わいを生かした蒸し物が向いています。
むね肉は、肉に厚みがあるため、観音開きや、そぎ切りにすることで食べやすくなり美味しくいただけます。
ビニール袋に水、塩、砂糖(水100cc、塩5g、砂糖5g)を溶かし、あらかじめ肉全体をフォークなどで刺した鶏むね肉を入れてもみ込みます。砂糖には保水効果があり、鶏肉の水分を逃さない働きがあります。このひと手間で、加熱後もしっとりした食感になりますのでぜひお試しください。
ささみ
実は、ささみはむね肉の一部分の事を指していて、胸肉に抱え込まれたような位置に存在する部位です。笹の葉の形に似ていることから、ささみと呼ばれるようになったとか。
一羽から取れる量が少なく希少部位となるため、価格的にはむね肉より高くなります。ほとんど使われる事のない筋肉と言われ、上質で大変柔らかいお肉になります。
また、この部位は豚や牛で言い換えると、ヒレ肉にあたる部位になります。タンパク質が良質で含有率が高い(高蛋白)ので、アスリートやボディービルダーが好んで取り入れる部位といわれています。
ダイエットにも強い味方ですね。
向いている調理法
白い筋があるので丁寧に取り除いてから調理すると縮みも少なく、口当たりも良くなります。スーパーによっては、筋なしのささみも売られている場合もあります。
茹でたり酒蒸しにして、細かく裂いてあえものやサラダに入れるのがおすすめです。また、衣をつけてフリッターやカツにするとボリュームがでてお子さんにもウケが良いですよ。
さっと湯通した、ささみ刺しを山葵醤油でいただくと、お酒のおつまみとしても最高の一品になります。
もも肉
もも肉は、足の付け根や腿の部分で、赤みがあり筋肉質なお肉です。鶏肉の中では鉄分が多く,ビタミンB2が豊富な部位になります。脂肪もたっぷりとついているので、旨味とコクがあり、どんな料理に使ってもジューシーに仕上がります。
鶏肉のなかでは、旨味が一番高い部位であるといってもいいでしょう。スーパーでは、骨つきやぶつ切りで売られていることもありますが、骨なしの1枚肉で売られていることが多いですね。
もも肉には、ビタミンKとセレンも多く含まれているのが特徴です。ビタミンKは出血時に血を凝固してくれる働きがあり、さらに骨の形成を促す働きもあるので骨粗しょう症の予防になります。
向いている調理法
もも肉は、和食に向いているといわれます。和食の基本は「引き算の料理」。素材の持ち味を活かした料理で、煮物や、照り焼き、唐揚げなどにおすすめです。
もも肉を使った唐揚げは、むね肉を使った唐揚げよりもジューシーに仕上がります。皮は焼いたときに縮みやすいので、事前にフォークで刺しておくと縮みを防ぐことができます。
カロリーが気になる方は、皮を取り除いて調理するとよいでしょう。また、黄色い余分な油は、キッチンバサミなどで取り除くと臭みも抑えられ、より美味しくいただくことができます。
鳥肉を食べる際の注意点
鶏は、カンピロバクターという菌を保菌している場合があります。この菌は、腹痛や下痢などを起こす原因となるため、気温が上がる季節は特に注意が必要です。
カンピロバクターは、加熱処理をすることで多くの場合、感染を予防することができるため、中心部が75度以上になるようにし、1分間以上加熱するようにしましょう。
そのほか、生の鶏肉が別の食品と直接触れないように気をつけてください。
まとめ
部位 | 特徴 | 豊富な栄養素 | 向いてる調理法 | |
むね | 鶏の胸部分のお肉 | 脂肪が少なく締まったお肉でタンパク質が豊富 | ナイアシンとパントテン酸が多く含まれる | スープやソースで味を加える調理法 |
ささみ | 胸肉に抱え込まれたような位置にある部位。 | ほとんど使われる事のない筋肉と言われ、上質で大変柔らかいお肉 | タンパク質が良質で含有率が高い(高蛋白) | 白い筋を丁寧に取り除いてから調理すると縮みも少なく、口当たりも良い。 |
もも | 足の付け根や腿の部分 | 筋肉質なお肉で、鶏肉のなかでは、旨味が一番高い部位である | 鉄分、ビタミンB2。 ビタミンK、セレンも多く含まれる | 素材の持ち味を活かした、和食向き。 |
いかがでしたか?
価格的にも取り入れやすく、栄養価の高い鶏肉を上手に調理して、毎日の献立に役立ててみてくださいね。