スクラロースは特保コーラなどのダイエット飲料やガムなどのお菓子、デザートなどに含まれている人工甘味料です。そのスクラロースは危険性が高い食品添加物として本やネットでも騒がれていますね。
ですが一方で「スクラロースが危険というのは嘘(ウソ)だ!」と主張している人もいます。
実際に厚生労働省が添加物として認めていますし、特保飲料にも含まれているのですから一般的には安全性が高いと認められています。
食品会社に長年勤めていて、品質管理の部門の責任者であった私としてもスクラロースの危険性や安全性について当時からいろいろと調べていました。
スクラロースの危険性については「騒ぎすぎ」のような気もしますし、「まだ承認されてから間もない成分を安全だと本当に認めてよいのか?」と疑問に思うこともあります。
要するに危険も安全もメーカー側の思惑があるためなのか主張が極端過ぎると感じることがあります。
今回は
- スクラロースとは?
- 危険と言われる理由
- 危険は嘘、安全だと主張する理由
- 血糖値を上げないって本当?
などスクラロースについて詳しく知ってから飲む、飲まないを判断してください。
人工甘味料のスクラロースとは?その特徴と原材料について
スクラロースは1999年に認可された比較的新しい食品添加物です。サトウキビに含まれる天然の甘味料のスクロース(別名:ショ糖=つまり砂糖のこと)の600倍の甘さを持ちます。
スクラロースとスクロース(ショ糖)は名前が似ていますが、スクロース(ショ糖)のように体内で炭水化物として消化・吸収さらないため、スクラロースの代謝エネルギーはゼロです。
つまりスクラロースは
- 砂糖より600倍の甘さを持つから使用量が少なくてすむ
- 体内で消化・吸収されずカロリーゼロ
という特徴を持ち、さらに
- 水に溶けやすい
- 安定性に優れている
- 砂糖に近いまろやかな甘味で、苦み、渋みもほとんど感じられない
といった理由からダイエット甘味料として
- 清涼飲料水
- サプリ飲料
- ドレッシング
- デザート
- お菓子
など多くの食品に使用されています。
また、血糖値やインスリン値に影響を与えないため糖尿病の方にも適している、さらに虫歯にもなりにくいと言われています。このスクラロースの原料はスクロース(ショ糖)、つまり砂糖をもとにして作られています。
そして日本(厚生労働省)だけでなく
- 米国食品医薬品局(FDA)
- 欧州食品安全機関(EFSA)
- 国連食糧農業機関(FAO)
- 世界保健機構(WHO)
- 合同食品添加物専門家会議(JECFA)
といった世界の主要な規制当局、専門機関が使用を許可している添加物です。
このようにスクラロースは
- 砂糖より甘さが強く、その分少量で済む
- カロリーがゼロ
- 糖尿病の人にもやさしい
- 虫歯にもなりにくい
- 日本だけでなく、世界の主要な機関で認めている添加物
と良いことだらけのような気がしますが、実際にYahoo!などで「スクラロース」と検索すると一番上に「スクラロース 危険」と表示されます。
それだけ多くの人が「スクラロース 危険」で検索するために表示されるのですが、なぜ危険と言われるのでしょうか?
「スクラロースが危険!」と言われる理由
スクラロースが危険と言われる理由はいくつかあります。
①塩化有機物としての化学構造の危険性
先ほどスクラロースの原料は砂糖(ショ糖)ショ糖)と紹介しましたが、スクラロースにするには原料のショ糖の3つの水酸基(̠-OH)を塩素(Cl)に置き換えて作ります。
ショ糖は有機化合物で、それに塩素が結合しているので、スクラロースは有機塩素化合物(オルガノクロライド)となります。
ではなぜ危険だと言われているのかというと、スクラロースの分子構造内に人体に有害な塩素分子が3つも含まれているということと、同じ有機塩素化合物に危険性の高いものが多いという点です。
有機塩素化合物の代表的なものとして
- 農薬のDDT(毒性が強い農薬)
- 環境ホルモンのPCB(ポリ塩化ビフェニル)
- 猛毒のダイオキシン
などがあり、これらと同じ有機塩素化合物であるスクラロースを添加物として使用してよいのかという指摘があります。
私のように化学が苦手な人にはスクラロースとDDTなどの有毒なものの分子構造を見てもよくわかりませんが、専門家からすると見ただけで危険と思ってしまうようです。
特に「有機塩素化合物は化学構造が変わることで毒性が強まる可能性があり、製造方法によっては粗悪品になり、不純物が毒性を持つかもしれない」という心配があります。
また、スクラロースの他には有機塩素化合物として認可している食品添加物がないのと、まだ使用が許可されて20年くらいと他の添加物と比べると新しいために「安全性の確認がまだまだ不十分だ!」と主張している人もいます。
②スクラロースを使用した動物実験での悪影響
スクラロースの実験は今のところラット(うさぎ)の動物実験のデータがほとんどです。その実験で指摘された悪影響は下記の通りです。
- 成長の遅れ
- 赤血球の減少
- 甲状腺の働きの衰え
- マグネシウムとリンの欠乏
- 肝臓・脳の肥大
- 卵巣収縮
- 脳腫瘍の増加
- リンパ腫を起こす
- 白血病を起こす
- 白内障を起こす
また妊娠したウサギに体重1kgあたり0.7gのスクラロースを強制的に食べさせた実験では親ウサギが下痢を起こしそれにともなう体重減少があり死亡や流産が一部で見られたという結果もあります。
また、スクラロースは非常に分解されにくい化学物質で人間の体内にとりこまれた場合全身に回ってホルモンや免疫システムを乱す心配があるとも指摘されています。
このような理由で危険性を主張する人が多いのですが、一方で安全性を主張する人はどのような理由なのでしょうか?
スクラロースが安全だと主張する理由
①動物実験の方法が間違えている
まず動物実験によりスクラロースを摂取することで、さまざまな悪影響が出るという結果がでましたが、それらの実験が過剰摂取した結果だと主張しています。
実際に厚生労働省のホームページにはスクラロースによる動物実験の結果が載っていました。「載っていました」というのは、現在は削除されているからです。
別に厚生労働省に不利な情報でもないのに、なぜ削除されたのでしょうか?
現在はそれを見ることができないので、先ほど紹介した「妊娠したウサギに体重1kgあたり0.7gのスクラロースを強制的に食べさせた実験」とありますが、これを人間に置き換えてみると、
体重が
- 10㎏の子どもであれば7g
- 50㎏の大人の女性であれば35g
- 80㎏の大人の男性であれば56g
スクラロースを摂取した場合と同じです。この摂取量はかなり過剰です。
塩と比較するとわかるのですが、
厚生労働省の1日あたり塩分摂取量の目標値は
- 成人男性:8g
- 成人女性:7g
となっています。ただ実際にはもっと摂取しているのが現状ですが、塩を1日35g摂取したら、間違いなく病気になります。
もともと動物実験というのはどんどん摂取量を増やして、どの時点で病気になるのかを試すものです。
人の体に欠かせない塩分が過剰摂取すると毒になるように、スクラロースを過剰摂取すれば悪影響が出るのは当然で、決められた量を守れば問題ないと主張しています。
ではスクラロースは1日どれくらい摂取しても問題ないのでしょうか?
②スクラロースの無毒性量とADI値(1日摂取許容量)以内なら安全
スクラロースには安全な摂取量が定めされています。ひとつは「無毒性量」です。無毒性量とは有害な影響が認められなかった最大の投与量のことです
スクラロースの無毒性量は「1,500㎎(1.5g)/㎏体重/日」と定められています。
これは体重が
- 10㎏の子どもであれば15g
- 50㎏の大人の女性であれば75g
- 80㎏の大人の男性であれば120g
「これらの量までならば摂取しても安全ですよ」という意味です。つまり体重50㎏の場合、毎日スクラロースを75gまでの摂取量であれば体に悪影響は及ぼさないということです。
ただしこの無毒性量は動物実験により算出した数字なので、ヒトに適用するために、無毒性量に通常100倍の安全係数を用いて算出します。
これは、
- 実験動物とヒトの間で感受性の違いによる安全性を10倍
- ヒトの性別、年令、健康状態などの違いによる安全性を10倍
と見込んで、かけ合わせて100倍としたものです。この無毒性量に安全係数100で割ったものを「ADI値(一日摂取許容量)」と言います。
つまり無毒性量で定めた数量でも安全と思われますが、さらに安全性を考えてその100分の1程度なら一生毎日摂取しても大丈夫だろうという数量です。
「無毒性量÷安全係数=ADI値」となりますが、スクラロースのADI値は1500㎎(無毒性量)÷100(安全係数)=15㎎/㎏体重/日(ADI値)です。
これは体重が
- 10㎏の子どもであれば150㎎(0.15g)
- 50㎏の大人の女性であれば750㎎(0.75g)
- 80㎏の大人の男性であれば1,200㎎(1.2g)
この数量の範囲内であれば毎日摂取しても問題ないということです。
だだし、1g前後となると「毎日もっと多くスクラロースをとっているのでは?」と心配になってしまいますね。
では実際に加工食品にはどれくらいスクラロースが含まれているのでしょうか?
実は各メーカーの加工食品に含まれるスクラロースの量は公開されていないのでわかりませんが、食品の種類によって使用限度が決めれれています。
食品の種類別によるスクラロースの使用限度
最近では何百種類もの加工食品にスクラロースが使用されています。
もともとはダイエット食品や飲料が中心でしたが、最近ではカレーのルーなど、一見入っていなさそうな食品にまでスクラロースが含まれているので、知らないうちにかなり摂取している可能性があります。
どの商品にどれくらいというのはわからないのですが、目安となるのが食品衛生法による添加物使用基準リストです。それによると
- 砂糖代替食品:12g/kg
- チューインガム:2.6g/kg
- 生製菓び菓子:1.8g/kg
- ジャム:1.0g/kg
- 酒、清涼飲料水、乳飲料は0.4g/kg
- その他の食品は0.58g/kg
※砂糖代替食品とはコーヒー、紅茶等に直接加え砂糖の代替として用いられるもの
ただこの数字を見てもよくわからないのではないでしょうか。
メーカーが使用限度ギリギリいっぱいに使用しているとは限りませんが、一応、限度いっぱいにスクラロースを使用していると仮定してみると体重が50kgの人のADI値は750mgなので、お菓子であれば1日400g食べるとスクラロースが720㎎です。
また500㎖の特保のコーラが使用限度いっぱいまでスクラロースを使用しているとすると、0.2g(200㎎)なので、3本飲んでも大丈夫ということになります。(あくまでスクラロースの危険性だけを考えての話です)
ただお菓子の場合400g食べるとなるとスクラロースの危険性よりも糖分やカロリーの方が心配です。ですが10㎏の子どものADI値は0.15gなので、そうなると500㎖の特保のコーラは全部飲まないほうが良いということになります。
実際は特保のコーラにスクラロースは0.2gも入っていないと思いますが、他の人工甘味料でスクラロースと同様に危険性が指摘されているアスパルテームやアセスルファムKも一緒に含まれています。
これらの添加物が合計して0.2g以上入っていた場合でも大丈夫なのかはハッキリとしていません。
③厚生労働省や海外では許可している
さらにいろいろな加工食品を食べて「知らないうちにADI値を超えて摂取しているかも」と心配される人もいるのではないでしょうか。
ただし、先ほども紹介したようにADI値は「これ以上摂取しなければ大丈夫という無毒性量」のさらに100分1の安全係数をかけて出した数量です。
そしてADIは一生毎日摂取しても大丈夫な数量で、「数日間連続でADI値を上回っても体に影響はありません。」という指標です。
スクラロースの摂取で悪影響が出たという動物実験については過剰にウサギに投与した結果で「許容範囲内で投与した動物実験では危険性は出なかった」として、米国食品医薬品局(FDA)や厚生労働省などが許可をしています。
このように実際にスクラロースは
- 過剰摂取しなければ問題ない
- スクラロースには使用限度がある
- 各メーカーは使用限度を守って製造している
という理由で安全な添加物であるという考え方が今のところ一般的です。
ではトクホのコーラは普通のコーラと比べても安全性が高いのでしょうか?
普通のコーラとスクラロース入りのコーラはどちらが安心?
スクラロースなどの人工甘味料が含まれている「トクホコーラやコーラゼロ」と「通常のコーラ」はどちらが危険度が高いのでしょうか?
通常のコーラの添加物はトクホのコーラよりも少ないですが糖分の量に問題があります。2015年にフリーシュガーに関するWHOがガイドラインを発表しています。
※フリーシュガーとは加工食品や料理で加える甘みのこと(砂糖やハチミツ、シロップ、果汁など)
それによると大人も子どもも総エネルギー摂取量の10%未満に抑えるよう強く推奨しています。5%未満にするとさらに健康効果があると勧めています。
日本人の活動量の少ない
- 成人女性は1400~2000kcal
- 成人男性は2200±200kcal
程度が1日の総エネルギーの目安と言われています。
仮に1日に2,000kcalを消費すると仮定した場合、砂糖の摂取カロリーは200kcalが目安で、100kcalが理想となります。砂糖は5gで約19kcalですので、約50gが目安で、約25gが理想の摂取量となります。
ではコカ・コーラ500㎖1本にはどれくらい砂糖が含まれているのかというと
日本コカ・コーラのホームページでは「コカ・コーラには、100mlあたり11.3g 含まれています」と紹介しています。
つまり500㎖1本に換算すると56.5gとなります。
目安が50gですから、コーラ1本でその数量を超えてしまいます。
同じコカ・コーラから販売されているコカ・コーラ プラスはカロリーゼロ、糖質もゼロです。
このように、
「普通のコーラの糖分のほうが体に悪影響を及ぼすのに、スクラロースなどの人工甘味料が体に悪いばかりに目がいっている」とスクラロース賛成派の人は主張するわけです。
スクラロースは、砂糖のように体内で分解され、エネルギーとして吸収されることはなく、ほとんどそのまま排出されます。
このため、スクラロースを摂取しても血糖値やインスリン値に影響はなく、糖尿病の方にも適しているのだから安全な添加物と評価している人も多いです。
ここまで読むと動物実験は過剰摂取が原因だし、ADI値を守って飲めば問題ないし、糖尿病の人でも安心して摂取できるのであれば「スクラロースは安全だ!」と思う人が多いのではないでしょうか?
実際にサイトを見ても「スクラロースの危険性は嘘」というタイトルの記事も見かけるようになりました。では本当に安心してスクラロース入りの加工食品を摂っても問題ないのでしょうか?
スクラロースは本当に安心・安全?
先ほども紹介したようにスクラロースは他の人工甘味料と比べても比較的新しく認可された食品添加物です。日本でも認可されてからようやく20年が経ちます。
数多くの実験を繰り返して安全性が確認されているということですが、同じ人工甘味料のサッカリンは一度禁止になったり、その後再度使用が許可されるなど、その時代によって判断が変わる場合があります。
人工甘味料を数種類同時に摂取して安全なのか?
また特保のコーラなどで使用されている人工甘味料は先程も紹介したようにスクラロースだけではありません。
スクラロースと同じように危険性が疑われている
- アスパムテーム
- アセスルファムK
とった人工甘味料が一緒に含まれています。
それぞれの添加物の安全性は単独では確認されているのですが、3つの添加物を同時に摂取するうえでの安全性も大丈夫なのかはハッキリとしていません。
スクラロースは血糖値が下がりにくくて糖尿病になりやすい?
さらに最近の研究結果では、いろいろとスクラロースの摂取による問題を指摘されています。
ビジネスジャーナルでは
スクラロースについては、「摂取すると、血中のインスリンおよびグルコース反応の増強に関連していることが判明した。このことはⅡ型糖尿病の発症につながる」(米国ワシントン大学医学部研究チーム)との報告がある。カロリーゼロでも、かえって糖尿病を引き起こしかねないのだ
と紹介しています。
また、2017年に翻訳出版された「ダイエットの科学」のP.254では
ラットに飲ませた実験のエビデンスが掲載されています。12週間飲ませて、善い腸内細菌がかなり減り、その変化の一部は3か月間変わらなかったとのことです。ダイエットの科学―「これを食べれば健康になる」のウソを暴く
この他にもイスラエルの研究チームが英科学誌ネイチャー電子版では
「人工甘味料(サッカリンやスクラロース、アスパムテームなど)には、代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩して血糖値が下がりにくい状態にする作用がある」とする研究結果を発表しています。
血糖値が下がりにくいということは「太りやすい」、「糖尿病にかかりやすくなる」ということです。また腸内細菌のバランスを崩すということは便通が悪くなるだけでなく健康に大きく影響を与えます。
実は人の体の免疫システム全体の70%が腸に集中してると言われていて、腸内の免疫と腸内細菌は密接な関係をもっています。免疫力が下がれば病気にかかりやすくなります。
つまりスクラロースなどの人工甘味料を摂取すると腸内細菌のバランスが悪くなって免疫力が下がり、それにより体の不調や病気につながる可能性があると指摘されています。
産経ニュース「人工甘味料で代謝異常に 腸内細菌のバランス崩す」参照
もちろんワシントン大学やダイエットの化学などで紹介されている実験がスクラロースをどれくらいの量を摂取したものであるのかがわかりませんた。また国際機関などがこれらの実験に関して認めているわけではありません。
今後もさまざまな研究により新たな問題が発生する場合があるので、糖尿病の人が安心してスクラロース入りの飲料を毎日のように飲んだり、小さな子どもに普通のコーラより健康的だからと積極的に飲ませるのも避けたほうが良いのではないでしょうか?
まとめ
スクラロースは砂糖(ショ糖)の600倍の甘さを持ち、体内で炭水化物として消化・吸収さらないため、カロリーはゼロということで多くの食品に使用されています。
一応安全性は高いと多くの機関で認められているものの、本当に安全性が高いのかというと疑わしい部分があります。
トクホ飲料にも含まれているということで安全性が高いと思われるかもしれませんが、以前トクホであった「エコナクッキングオイル」は危険性が高いと認知されるようになり、特保を却下されたということがありました。
そのため現時点で安全で健康に良いという食品がのちに危険性が高い食品に変わる可能性もあります。
カロリーゼロで安全と言われていますが、最近の研究では血糖値が下がりにくく、善玉菌の量を減らすという報告もあります。飲み過ぎには気を付けてください。
また最近では多くの加工食品に使用されているため、知らないうちに摂取量オーバーとなる可能性があるため、特に小さなお子さんにあげる際には注意してください。
自分の体は自分で守りましょう!