ナチュラルチーズ

最近は世界のさまざまなチーズをお店でも見かけるようになりました。

テレビ番組などでも「チーズに含まれている乳酸菌は腸内環境を改善する」と栄養価の高い食べ物として紹介され人気も高まっていますが、全てのチーズに当てはまるものなのでしょうか?

実は乳酸菌が含まれていないチーズもあり、それを食べても腸内環境に全く効果はありません。

大きく分けるとチーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2種類ありますが、乳酸菌が含まれているのはどちらのチーズなのかおわかりですか?

わかりやすく説明しますので、この機会に「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の違いをしっかり覚えましょう。

ナチュラルチーズとプロセスチーズの見分け方

お店にはたくさんのチーズが並んでいますが、すぐにナチュラルチーズプロセスチーズを見分けることができますか?商品名には「〇〇ナチュラルチーズ」とは表示されていません。

実際に「とろけるチーズ」にはナチュラルチーズプロセスチーズの両方の種類があるので、見た目と商品名だけではわかりにくいですが、見分けるのはとても簡単です。

種類別 ナチュラルチーズ

商品パッケージの裏面の「名称」または「種類別」のところに、

  • ナチュラルチーズ
  • プロセスチーズ

どちらかが記載されているので、すぐにわかります。

ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは何?

ナチュラルチーズとは?その特徴や種類について

ナチュラルチーズ

ナチュラルチーズは牛乳やヤギ、水牛などの乳を乳酸菌レンネットという凝固剤を加えて発酵・熟成させて作ります。時間が経つにつれて乳酸菌が生きたまま発酵・熟成するので、その時々で味が変わります。

そして乳酸菌だけでなく酵素も含まれているので、まさに「生きているチーズ」と言えるでしょう。

また、熟成期間製法によって種類が別れ、一般的に熟成期間が長いほど水分が抜けるので固いチーズになります。

ナチュラルチーズチーズの種類
  • フレッシュチーズモッツァレラ、マスカルポーネなど
  • 白カビチーズカマンベール、クロミエなど
  • ウォッシュチーズエポワス、ショームなど
  • シェーブルチーズクロタン・ド・シャヴィニョル、バランセなど
  • 青カビチーズゴルゴンゾーラ、カンボゾラなど
  • セミハードチーズゴーダ、チェダーなど

ナチュラルチーズの原材料は基本、生乳食塩だけで食品添加物も極力使用していないため、安全で健康に良いチーズです。

ナチュラルチーズの乳酸菌以外の栄養成分

乳酸菌以外の栄養成分はタンパク質ミネラルが豊富で、ミネラルの中ではカルシウムが特に多く含まれています。(チーズの種類によって含まれる量が違います)

またビタミン類ビタミンC以外の種類は含まれています。

乳酸菌はナチュラルチーズのみにしか含まれていないので、「乳酸菌を摂り入れたい」というのであればナチュラルチーズを選んでください。

私が今おすすめなのがラクレットです。

ラクレットチーズ

加熱するとトローリと溶けて絶品です。「アルプスの少女ハイジ」に登場するとろ~りとしたチーズもラクレットです。基本じゃジャガイモなどにかけて食べますが、お肉やパスタ、カレーなど多くの料理に相性抜群なので、いろいろと試してみてください。

チーズが苦手な人も食べやすいチーズです。

北海道 お土産 花畑牧場 ラクレットハーフ 2.3kg(楽天市場)

このようにナチュラルチーズの中には加熱して食べるとおいしいチーズがありますが、熱が苦手な乳酸菌は加熱することで死滅してしまうのでしょうか?

たしかに乳酸菌を高温で加熱すると死滅してしまいます。ただ、「以前は乳酸菌は生きていないと効果が無い」と言われていましたが、「現在はその説が覆されていて、品質は変わらず、整腸作用がある」と言われています。

具体的には腸内の悪玉菌を体外に排出し、善玉菌の餌となってその増殖を促進するという食物繊維のような働きをすると言われています。そして免疫細胞を活性化させて腸内環境を健康に保つため、加熱して食べても効果を得ることはできます。

関連記事

大人気のラクレットチーズとは?食べ方やおすすめ品とオーブンを紹介!ハイジのチーズって本当?

プロセスチーズとは?その特徴について

プロセスチーズ とろけるチーズ

プロセスチーズナチュラルチーズを1種類、または数種類を高温で加熱殺菌して溶かし、再び型に入れて固めて作ります。この時に加熱殺菌してしまうので乳酸菌酵素は含まれていません。

プロセスチーズの特徴は

  • 殺菌処理によりカビが生えにくくなる
  • 熟成しないので味が安定している
  • ナチュラルチーズよりも賞味期限が長い=長期保存が可能

というメリットがあります。

日本で作られているプロセスチーズの原料はゴーダチェダーチーズが多く、どちらもクセが比較的少なくて食べやすいです。スライスチーズや6Pチーズなどに加工されます。

プロセスチーズに含まれる栄養成分は?

プロセスチーズナチュラルチーズと違って乳酸菌や酵素は含まれていませんが、タンパク質ミネラルは同じように含まれています。ただし加熱によって無くなる成分もあるので、乳酸菌を除いても栄養価はナチュラルチーズの方が高いです。

チーズに含まれる添加物の危険性は?

栄養価が高いチーズですが、含まれる添加物に危険性はないのでしょうか?

ナチュラルチーズに含まれる添加物

ナチュラルチーズ とろけるチーズ

ナチュラルチーズの原料は基本生乳食塩です。ですが細切りの「とろけるチーズ」はそのままだと、くっつきやすく、しばらくすると大きな塊になってバラバラにするのが難しくなる場合があります。

このくっつきやすくなるのを防ぐために「セルロース」という食品添加物を使います。

セルロースはきのこ類や海藻、豆類に多く含まれている食物繊維で消化・吸収されず便から体の外へ排出されるので比較的安全性が高い添加物です。

ただセルロースは食べ物以外は紙や綿から作り出すことができるため、チーズのセルロースが何から作られているのかは、原材料の表記だけではわかりません。

そのため「原材料が不明のセルロースは危険だ~!」と主張されている人もいます。確かにセルロースが含まれていないナチュラルチーズよりは危険性があるかもしれません。

ですが、「セルロース入りのナチュラルチーズが危険だから食べない」と決めた場合、それよりも危険性が高い加工食品の方が圧倒的に多いので、ほとんどの食品を食べることができなくなってしまいます。

そのため食べ物全体で比べて見ると、セルロース入りのナチュラルチーズの危険性は低いと言えます。

どうしてもセルロースを避けたい場合は、セルロース不使用のとろけるチーズやスライスチーズなどを選んでください。(お店によっては扱っていない場合もあります)

プロセスチーズに含まれる添加物

プロセスチーズ

プロセスチーズを製造する際に原材料のナチュラルチーズを単純に熱を加えて溶かすだけだと、それぞれのチーズの成分が分離してしまい、うまく混ぜ合わせることができません。

そこで混ざりやすくするために「乳化剤」を使用してチーズを均一化しています。

この乳化剤はある一つの添加物を指すのではなく「総称「」で、実際にどの添加物を使用しているのかはパッケージを見ただけではわかりません。

ですが一般的にプロセスチーズ乳化剤にはリン酸塩が使われています。このリン酸塩が体に悪影響を及ぼすと言われていて、

週刊現代(2017年11月22日号)に、特集記事「危ない食品添加物『リン酸塩』が入っている食べ物はこれだ」が掲載されました。

内容は「血管を詰まらせ、骨が脆(もろ)くなり、腎臓にダメージが!」とリン酸塩の危険性を訴えたものでした。また以前ヤフーのトップニュースでも「チーズに含まれる添加物リン酸塩の危険性」についての記事が出たこともあります。

リン酸塩は危険な添加物?

このリン酸塩プロセスチーズ乳化剤以外に

  • ハムやソーセージの結着剤
  • ph調整剤
  • 酸味料

などに使用され、加工食品の食感や見た目、味を向上させる働きがあります。

ではこのリン酸塩の過剰摂取が体に悪影響を及ぼす点ですが、加工食品の取りすぎはリンの過剰摂取につながり、カルシウムの吸収を阻害するなどの健康影響があるので注意が必要言われています。

実際にチーズ公正取引委員会では次のように説明しています。

リンの最大耐容一日摂取量=ADI値(一日に摂って良い最大の量)は70mg/kg 体重/日と言われています。つまり1日に自分の体重に70㎎をかけた数字です。

 

例えば男性 20 歳以上平均体重66kg(総務省「国民健康・栄養調査」)の最大耐容一日摂取量は、

「70mg(ADI値)×66=4,620mg(約4.6g)」となります。

一方でプロセスチーズに含まれるリンの量は、100gあたり730mgです。ということは1日にプロセスチーズを約633g以上食べるとリンの過剰摂取になります。

ですが日本人のチーズ消費量は一人年間約 2kg ですので、一日当たり約5g ほどです。

つまりプロセスチーズを食べてリンの過剰摂取になることはありません。

またリンはミネラルの一種でハムやウィンナーなどの加工食品だけでなく、魚や豆類、海藻などにも多く含まれる栄養成分です。リン自体は全然危険な成分ではありませんし、プロセスチーズを食べて過剰摂取の心配もありません。

プロセスチーズには乳化剤(リン酸塩)以外の添加物も使用している商品があり、過剰摂取の場合は心配な成分もあるものの、かなりの量を食べない限りはそれほど心配はありません。

ナチュラルチーズの添加物のところでも言ったようにプロセスチーズの添加物が危険で食べないほうが良いとなると、他にも乳化剤を使用している加工食品はたくさんありますし、プロセスチーズよりもさらに身体にわる悪い加工食品も山ほどあります。

その危険性を訴えずに単にリン酸塩が含まれているからという理由で「危険な食べ物だ!」と騒ぐのはどうかと思います。

もしチーズを過剰摂取した場合に心配なのはリン酸塩ではなくカロリーの摂りすぎです。

ただし、どうしても心配であればナチュラルチーズを食べてもらえれば良いわけです。

というわけでチーズに含まれる添加物はナチュラルチーズプロセスチーズも他の商品に比べればそれほど心配する必要はありません。

まとめ

ナチュラルチーズ

  • 乳酸菌や酵素が含まれている
  • 発酵・熟成し続けているので日々味が変わる

プロセスチーズ

  • 熟成しないので味が安定
  • カビが生えにくい
  • 長期保存が可能

という特徴があります。

栄養成分はタンパク質ミネラル(特にカルシウム)が豊富で、ビタミン類はビタミンC以外のビタミンが含まれています。

心配な添加物ですが、

ナチュラルチーズは一部の商品にセルロースが含まれている商品がありますが、安全性の高い添加物なので、それほど心配はありません。

プロセスチーズの代表的な添加物は乳化剤ですが、その乳化剤の一種であるリン酸塩が危険性が高いと一時話題となりました。

ですが、プロセスチーズに含まれるリン酸塩はごくわずかですし、これが危険というのであれば多くの加工食品のほうが危険な添加物を含んでいるので、それほど心配はありません。

ただ少しでも危険性のある添加物は摂りたくないという方は生乳と食塩だけでできているナチュラルチーズを食べましょう。

私はブルーチーズなどの独特の味のチーズは苦手ですが、食べやすいモツァレラチーズやティラミスの原料にもなっているマスカルポーネ、そして加熱してトロトロにして食べるラクレットが大好きです。

北海道 お土産 花畑牧場 ラクレットハーフ 2.3kg(楽天市場)

健康にも良いので、普段チーズを食べない方もぜひ食べてみてくださいね。