私達の日々の暮らしにおいて、食品ラップは無くてはならないものになっていますね。

特に、現代の慌ただしい生活スタイルの中で、電子レンジと食品ラップを使った時短レシピは、忙しいお母さん達の強い味方となりました。

しかし今、その食品ラップの危険性が指摘されはじめています。

実は、海外では随分前から指摘され、すでに食品ラップの使用を控えようとの動きが高まっています。

直接、口にする食品に触れるものなので、危険性があるといわれるととても気になりますね。

いったいどんな危険性が隠れているのか、そして安全なラップの正しい選び方について紹介します。

食品ラップの種類

食品ラップを販売しているメーカーはいくつかありますが見た目が似ていますし、価格もほとんど変わらないので原料は全て同じだと思っていませんか?

実は食品ラップには、素材によっていくつかの種類があります。

ポリ塩化ビニリデン

よれずにしっかりしているため切れ味もよく、使い勝手は一番良いといっていいでしょう。

また、機能的に優れ、耐熱性が高く、酸素・水分を通しにくい(保存に優れている)というラップにとって必要な要素を全て兼ね備えています。

そのため、臭いが強いキムチやチーズといった発酵食品や、肉類・魚類の保存にも適しており、臭い移りの心配もありません

長期保管にも適していて冷蔵庫での保存においては大活躍します。

価格は他の素材よりも高めです。

塩化ビニル樹脂

業務用のラップに多く見られる素材です。

スーパーで売られているお肉やお魚に使われていることが多いです。

また、伸縮性とそれに伴う耐久性の高さから、飲食店などでもよく利用されています。

ポリエチレン

酸素を通し通気性があるため、呼吸をする果物や野菜の保存に適しているといわれています。

ポリ塩化ビニリデンと比べると、切れ味が悪く、密着力・耐久性の面で劣りますが、価格的に安いというメリットがあります。

また、添加物不使用で塩素系の原料から作られていないので、ダイオキシンの発生の心配がなく環境に優しく体への安全性も高いとされています。

危険な素材のラップとは?

実は、ラップの材質によって安全性が違います。

危険な素材のラップは、塩素系ラップ、または塩ビ系ラップとも呼ばれ、石油から摂れるエチレンと塩素からできています。

ポリ塩化ビニリデン塩化ビニル樹脂がこれにあたります。

危険な添加剤

ポリ塩化ビニリデン塩化ビニル製のラップは、使いやすいよう、やわらかさを出すために可塑剤という添加剤が使用されています。

また、ピタッと吸着するよう脂肪酸も添加されています。

焼却するとダイオキシンを発生

塩素を含むポリ塩化ビニリデンや塩化ビニル製ラップは焼却によってダイオキシンを発生するという問題があります。

ダイオキシンの他にも、アジピン酸エステル、ノニルフェノールといった環境ホルモンを発生させる可能性も含まれています。

油性の強い食品(肉、魚、天ぷら、コロッケ等)を直接包んで電子レンジで加熱する場合、食品が高温になってPVDC(ポリ塩化ビニリデン)製ラップフィルムの耐熱温度である140℃を超えることがある。
油性の強い食品を電子レンジで加熱する場合は、ラップフィルムで直接包まず、食品を深めの耐熱容器に入れ、ラップフィルムは食品に直接触れないように容器にかぶせて使用する。
PE(ポリエチレン)ラップフィルムの耐熱温度は110℃と低く、熱に弱いので油性の強い食品を電子レンジで加熱する場合は、底の深い器に入れて食品にラップフィルムが直接触れないようにカバーとして使用する。内閣府・食品安全委員会「ラップから溶出する物質について」

内閣府・食品安全委員会の「ラップから溶出する物質について」の資料では上記のように記載されています。

ですが、実際は冷めたチャーハンや焼きそば、野菜炒めなどを直接ポリ塩化ビニリデン塩化ビニル製ラップで覆って温めたり、冷凍のご飯をラップで包んで温めてはいませんか?

「食品に直接触れてはいけない。」

この内容をきちんと把握して食品ラップを利用している方が全国に何人いるのでしょうか。

ダイオキシンと環境ホルモンの恐ろしさ

ダイオキシン

ダイオキシンは、ベトナム戦争で使われた枯葉剤で有名になった物質です。

微量でも長期間に渡って体内に取り込まれると、以下のような影響が引き起こされる恐れがあるとの研究結果も出ています。

  • 免疫機能の低下
  • 発育異常
  • 胎児の奇形
  • ガン

焼却によって空中に放出されたダイオキシンは、雨によって土壌や海に降り注がれ、野菜や果物などの農作物が吸収し、プランクトンもダイオキシンを体内に取り込みます。

それらを食料にする生物の体内にダイオキシンは連鎖的に取り込まれることとなります。

ダイオキシンは、塩素化合物を含んだ物質を300℃~500℃程度の低温で焼却した場合に発生するといわれ、800℃以上で燃やせば問題はないとされており、近年では日本のゴミ焼却炉技術が向上したことでダイオキシンが発生してしまうことはないといわれています。

環境ホルモン

塩ビ系ラップの場合、成分が食品の油脂に触れて溶け出すと人体に影響が及んでしまうことがあると危惧されています。

つまりダイオキシン以外の以下のような環境ホルモンまで発生してしまうのです。

  • アジピン酸エステル
  • フタル酸エステル
  • ノニルフェノール
  • エチルヘキシルアジペート

環境ホルモンは、別名、「内分泌かく乱物質」と呼ばれ、生体の代謝や成長、生殖といった方面に障害をもたらすと言われており、下記のような疾患のリスクがあるといいます。

  • 乳がん
  • 子宮内膜症
  • 不妊
  • 催奇形性
  • 発達障害
  • アレルギー

 

まさに現代人に多い疾患といえますね。

環境ホルモンは、1兆分の1という超低濃度でも、体内に悪影響を与える恐れがあると指摘されています。

塩素系ラップ温めると

実際に、塩素系ラップで食品を包み温めたところ、環境ホルモンの一つであるノニルフェノールが検出されたとの報告もされています。

ノニルフェノール

ノニルフェノールは家庭用合成洗剤としても使われていますが、すでにヨーロッパなどでは、家庭用合成洗剤には使用が規制されています。
日本でも徐々に大手メーカーなどを中心に使用の規制が行われるようになっています。

フタル酸エステル

フタル酸エステルという物質は、動脈の壁にダメージを与えて長期的には心臓細胞にまで影響を及ぼすのではと考えられています。

ポリ塩化ビニリデン

ポリ塩化ビニリデンを溶出させた培養液で乳がん細胞を培養した結果、通常の2倍近く増殖したという研究結果も報告されています。

安全度の高いラップとは

どのようにしたら安全に食品ラップを利用することができるのでしょう。

無添加ラップを選ぶ

塩素を含むポリ塩化ビニリデンや塩化ビニル製ラップとは反対に、ポリエチレンのラップは、危険な添加剤が無添加なので安全です。

そのため、「無添加ラップ」ともいわれています。

また、ポリエチレンは、水素と炭素しか含まれていない為、ダイオキシンは発生しません。

燃やすと二酸化炭素と水が発生するだけです。

また熱で溶けても体への影響は少ないと考えられています。

ですから、食品ラップを購入する際には、素材を確認しポリエチレン製を選ぶようにしましょう。

安全度の高いラップの使用方法

ポリエチレン製のラップを選んだら、下記のような点に注意して使用するようにしてください。

  • 油分の多い食品は深めの器に入れてラップをし、食品にラップが触れないように温める。
  • おかず・ご飯を温める程度ならラップをせず温める。
  • おにぎりは冷ましてからポリエチレンラップに包む
  • ラップで包んだ冷凍ご飯・お肉は、ラップを外して器にのせて解凍or温める。
  • 野菜の切り口のラップはポリエチレンラップを使う。
  • 買ってきたお惣菜はラップのままではなく器に分けてから温める。

ポリエチレンラップポリ塩化ビニリデン塩化ビニル製ラップよりも安全性は高いのですが熱で溶けて食べ物に入ってしまいますし、味も落ちます。

そのため、ラップを直接食べ物に触れて温めるのはおすすめできません。

実際にポリエチレンラップの商品パッケージにもそのように書かれています。

 

ポリエチレンラップは、宇部フィルムというメーカーが製造している無添加ラップがオススメです。

宇部フィルム ポリラップ 22cm×50m ×2本

メーカーのホームページをみてもダイオキシンや環境ホルモンは出しませんと記載されています。

宇部フィルム公式ページはこちら

宇部フィルムポリラップは安全性がかなり高いですが、少し金額が高いです。

100円ショップでもポリエチレンラップは販売していますので、そちらを購入しても問題ありません。

また、口に入れても安全な素材だけで作られた「ミツロウラップ」という選択肢もあります。

SuperBee Beeswax Wraps ミツロウラップ | 再利用可能なフードラップ | オーガニック、エコロジー

繰り返し使えて、抗菌性や保存性、そして安全性が高いオーガニックな素材でできているため、食材の保存にピッタリ。

もちろんこれは安全なポリエチレンラップの話でポリ塩化ビニリデンの場合は電子レンジで加熱はもちろんのこと、冷めたおにぎりを包むのもおすすめできません。

使うとすれば食べ物にゴミがつかないようにするときだけです。

その際は絶対に食べ物にポリ塩化ビニリデンのラップは触れてはいけません。

ミツロウラップの作り方

ミツロウは、みつばちの巣から採れる「ロウ」のことで、抗菌・保湿効果があります。

そんなミツロウを布に染み込ませて作るラップは、食品の鮮度を保ちながら、安心して包むことができます。

性質上、冷蔵庫に入れておくと硬くなりますが、常温では柔らかくなります。

食品を包む際には、手の温もりであたためると、どんな形にもフィットしてくれる優れものです。

そして、水洗いすることで繰り返し使えるエコなラップなのです。

そんな素晴らしいミツロウラップが自宅で簡単に作れて、あなたのお気に入りの柄がラップになるなんて素敵ですよね。

ぜひ、挑戦してキッチンの彩りをプラスしてみてくださいね!

ease みつろう 未精製 100g

材料

  • ミツロウ
  • クッキングシート
  • 新聞紙
  • アイロン
  • アイロン台

作り方

  1. 上から、布、クッキングシート、新聞紙(4~5枚)、アイロン台の順に重ねます。
    ※アイロン台が汚れないように、新聞紙は大きく広げると良いですよ!布は、表・裏どちらが上でも大丈夫です。
  2. 布の上に、ミツロウを広げます。
    ※布の端に置くと外に溶け出す場合があります。
    10×10cmの布で、ミツロウ約3gが目安です。
  3. 広げたミツロウの上にクッキングシートを重ます。
    その上から低温(約80~約120℃)のアイロンで様子を見ながら、ミツロウを溶かします。
    ※布全体に染み込むようにミツロウを溶かしながら伸ばします。
  4. ミツロウが十分溶けて布全体に浸透したら、上のクッキングシートを外します。
    アイロンの熱が冷めるまで待ち、完全に冷めたら下のクッキングシートを外して完成です。
ミツロウは熱に大変弱い性質があります。
直射日光、高温になるところを避けて保管しましょう。

まとめ

いかがでしたか。

今、世界規模でプラスチックゴミが問題になっていますね

この問題は、利便性を追求してきた消費者である私達自身にも責任があることです。

消費者である私達が、どこか他人事として捉えがちな環境問題を自分の身に降りかかる危機的事項として捉え、より安全性に目を向けていくことが、必要なことだと考えます。

今まで当たり前と思っていたことが、すべて正しいとは限りません。

ポリ塩化ビニリデン塩化ビニル製ラップは食べ物が冷めていてもおにぎりなどを包んではいけません。

ポリエチレンラップは安全性は高いですが、熱に溶けやすいので電子レンジで加熱するときは食べ物に触れないようにしてください。

また、おにぎりを包むのには使用しても構いませんが、その際は熱が冷めてから包んでください。

ぜひ、この機会に「食品ラップ」について見直してみてはいかがでしょうか。