カシューナッツはお菓子だけでなく、中華料理など幅広く料理に使われていますね。また、4種類のミックスナッツには必ず入っています。
このカシューナッツにはどのような栄養成分が含まれていて、健康や美容、ダイエットに効果や効能をもたらしてくれるのでしょうか?他のナッツとの違いや1日の摂取量やカロリー、脂質など詳しく紹介します。
カシューナッツの特徴とアレルギーについて
カシューナッツはカシュー(中南米原産のウルシ科の常緑高木)の種子で、日本では他のナッツと比べると人気が今ひとつですが、世界的には「世界三大ナッツ」(残りはアーモンドとヘーゼルナッツ)の一つで人気があります。
カシューナッツのアレルギーの注意点
アレルギー表示の対象は27品目ありますが、「表示の義務があるもの特定原材料7品目」の次のランクの「表示が推奨されているもの特定原材料に準ずるもの20品目」にカシューナッツは含まれてます。
7品目と違い、20品目は商品への表示の義務はありませんが、カシューナッツで急性反応で重い症状になるアナフィラキシーショックの例もあるので注意が必要です。
ナッツ類の中では表示の対象となっているのはカシューナッツのみです。
※落花生(ピーナッツ)は特定原材料の7品目の一つですがナッツ類でなく豆類
カシューナッツの注目の栄養成分と効果効能
栄養成分に関してはナッツ類の中でカシューナッツのみに含まれている、または断トツに含まれているものはありませんが全体的にバランスよく含まれていて栄養価が高いナッツです。
カシューナッツのカロリー及び栄養成分
カシューナッツ可食部100gあたり | ||
エネルギー | 576kcal | |
タンパク質 | 19.8g | |
脂質 | 飽和 | 9.97g |
一価不飽和 | 27.24g | |
多価不飽和 | 8.08g | |
炭水化物 | 26.7g | |
食物繊維 | 6.7g | |
(水溶性) | 0.8g | |
(不溶性) | 5.9g | |
食塩相当量 | 0.6g | |
無機質 (ミネラル) | ナトリウム | 220㎎ |
カリウム | 590㎎ | |
カルシウム | 38㎎ | |
マグネシウム | 240㎎ | |
リン | 490㎎ | |
鉄 | 4.8㎎ | |
亜鉛 | 5.4㎎ | |
銅 | 1.89㎎ | |
マンガン | ー | |
ヨウ素 | 0 | |
セレン | 27㎍ | |
クロム | 1㎍ | |
モリブデン | 30㎍ | |
ビタミン | ビタミンA | 11㎍ |
ビタミンD | 0 | |
ビタミンE | 6.6㎎ | |
ビタミンK | 28㎍ | |
ビタミンB1 | 0.54㎎ | |
ビタミンB2 | 0.18㎎ | |
ナイアシン | 0.9㎎ | |
ビタミンB6 | 0.36㎎ | |
ビタミンB12 | 0 | |
葉酸 | 63㎍ | |
パントテン酸 | 1.32㎎ | |
ビオチン | 19㎍ | |
ビタミンC | 0 |
日本食品成分表2019(七訂)参照
カシューナッツに含まれる脂質
ナッツ類は脂質が多く、マカダミアナッツのように全体の70%以上が脂質、または半分以上は脂質という中で、カシューナッツは48%と一番脂質の量が少ないです。
脂質は「太る」というイメージがありますが「三大栄養素」の一つですし、カシューナッツの脂質の約60%はオレイン酸です。
オレイン酸には
- 血液をサラサラにする
- 悪玉(LDL)コレステロールを減少させる
- 動脈硬化・心筋梗塞を予防する
- 余分な糖や脂肪の消化吸収を防ぐ
- 便秘解消
などの効果や効能が期待されている脂肪酸です。
【ビタミン類】
- アーモンド
- マカダミアナッツ
- ヘーゼルナッツ
- くるみ
- ピスタチオ
- ピーナッツ(これだけ豆類)
といった人気のナッツ類の中でカシューナッツは
- ビタミンB1とビタミンKが1位
- パントテン酸と葉酸が2位
と豊富に含まれています。
ビタミンB1
ナッツ類全体の中でも松の実に次いで多く含まれています。糖質の分解に欠かせない栄養素で疲労回復、精神安定作用もあります。
ビタミンB1はよく「疲労回復のビタミン」と言われていますので、仕事や勉強で疲れた時に食べると疲労回復やイライラも抑えてくれます。
ビタミンK
骨からカルシウムが血液中に放出させるのを抑えたりカルシウムが骨に沈着するのを助けます。また血液を凝固させる成分を合成して、出血を止める役割を担います。
女性で月経による出血量が多い人(月経過多)や鼻血が出やすい人は症状を軽減する効果も期待できます。
葉酸
「造血のビタミン」と言われ、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助けるビタミンです。現在は母子手帳でも葉酸の摂取の必要性が書かれているように、胎児の先天異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができると言われています。
パントテン酸は「至るところに存在する酸」という意味で命名されたように、様々な食品に含まれているため普通に食事をしている場合は不足することはまずありません。
【豊富なミネラル】
先ほど紹介した人気のナッツ類の中でカシューナッツは
- リン、鉄、亜鉛、銅が1位
- マグネシウムが2位
と豊富に含まれています。
鉄と銅
鉄は吸収率が低く、不足すると「鉄欠乏症貧血」を起こしますが、銅はたんぱく質と結合して体内に存在し鉄の利用を高め、赤血球の合成を助けます。
カシューナッツは鉄と銅だけでなく「造血のビタミン」である葉酸も豊富なので、一緒に摂ることで貧血予防の相乗効果が期待できます。また銅は丈夫な骨や皮膚をつくるコラーゲンの生成にも欠かせないミネラルです。
亜鉛
たんぱく質と結合した状態で存在して約200種類以上もの酵素の構成成分となります。特に細胞が新しくつくり替えられるときに不可欠で、傷の治りを早くしたり、血糖値を下げるインスリンの材料になるなどの働きがあります。
また、亜鉛は味覚や嗅覚(きゅうかく)を正常に保つ栄養素でもあります。
欧米ではカゼの治療に昔から亜鉛が使われていて1日に80~207㎎の亜鉛を摂取したところ、完治までの期間が半分近く短くなったというデータもあります。
逆に亜鉛が不足すると免疫が低下します。亜鉛が豊富なカシューナッツを食べましょう。
リン
カルシウム の 次に 体内 に 多く 存在 する ミネラル が リン です。体内に含まれているリンの約80%はリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっています。
加工食品の利用が増えていることに伴って、食品添加物として使われている各種リン酸塩の摂取が多くなっています。そのためリンの不足よりもむしろリンの過剰摂取の方が問題となっています。
リンの摂り過ぎはカルシウムの吸収を妨げ、逆にカルシウムの摂り過ぎはリンの吸収を妨げます。そのためカルシウムとリンの摂取比率は、ほぼ同量が望ましいとされています。
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムとの関わりが深く、筋肉細胞の中に入り込むカルシウムの量を調節して、筋肉の収縮を促します。(カシューナッツにはカルシウムも含まれています)
またストレスが生じるとマグネシウムの量が増えますが、しっかり補うことでストレスに負けない体を作ることができます。
【食物繊維】
カシューナッツは食物繊維もアーモンドやクルミほどではありませんが多く含まれています。
※カシューナッツの食物繊維含有量100gあたり6.7g
- 水溶性食物繊維が0.8g
- 不溶性食物繊維が5.9g
食物繊維は善玉菌のエサとなり、善玉菌が増えて活性化されることで腸内環境を改善し、ぜん動運動を活発にして便通を促進しします。また有害物質や老廃物を体の外に出す働きもあります。
老廃物がそのまま体内に入っていると病気になったり肌が荒れるので、食物繊維を摂ることは病気の予防や美肌効果も期待できるわけです。
カシューナッツ100g当たりの食物繊維の含有量が6.7gと非常に多い食べ物です。
ただ不溶性食物繊維の割合が高く摂り過ぎると、かえって便秘になる可能性も高いので、水溶性食物繊維が多い、海藻類や大麦なども取ることをおすすめします。
【トリプトファン】
カシューナッツにはタンパク質も多く、そのタンパク質を作る働きがあるアミノ酸も多く含まれています。注目は必須アミノ酸のトリプトファンです。
トリプトファンは体内で「睡眠ホルモン」と言われているメラトニンに変化するので、なかなか寝付けないという人にカシューナッツはおすすめです。
トリプトファンやメラトニンの関係について詳しくは甲南大・知能情報学部・前田多章准教授の「上手に昼間を過ごして,良質の睡眠を手に入れる!」を参照してください。
カシューナッツのカロリーや糖質はナッツ類では高い方?ダイエットに向きか?
カシューナッツはナッツ類の中では一番脂質が少なく100gあたりのカロリーは576kcalと一見、高いように思えますが人気のナッツ類の中では一番低いです。
カシューナッツ1粒あたりは1.3~1.5gで7~9kcalです。逆に糖質は10gあたり、2.97gと他と比べても断トツです。
- アーモンド糖質:1g
- クルミ糖質:0.7g
- マカダミアナッツ糖質:0.54g
このようにナッツ類の中では脂質・カロリーは低いものの、食べ物全体で見れば高いほうですし、糖質はナッツ類でトップクラスの多さです。
最近は「ナッツダイエット」が流行っていますが、カシューナッツでもダイエットは可能なのかと思ってしまいますが、実は可能です。
カシューナッツは
- 糖質の代謝を促すビタミンB1
- 脂肪などの代謝を促すビタミンB2
- タンパク質の代謝を促すビタミンB6
などのビタミンB群や食物繊維も多く含まれているのでダイエットには向いています。
またナッツは硬くて、独特のかみ応えがありかむ回数が増えると満腹中枢が刺激されるので、お腹いっぱいに食べなくても満足できるメリットもあります。
ですが、やはり脂質やカロリー、脂質が高いので食べる量に関しては注意が必要です。ナッツ類は食べ始めると「止めらない、止まらない」という人も結構多いのではないでしょうか?
カシューナッツの1日の摂取量とダイエット方法
カシューナッツでダイエットをする場合は1日25g程度の摂取量にする必要があります。だいたい13粒前後、あるいは片手に軽く1杯分です。
この量を食前に食べるようにしてください。これにより食べる量が減るだけでなく血糖値の急上昇を抑える効果もあり、太りにくくなります。
ただカシューナッツばかり食べていると飽きる可能性もあるので、その場合はアーモンドやクルミなどが入っているミックスナッツを食べるダイエットをおすすめします。
その場合はミックスナッツで片手1杯分にしましょう。
また、飽きだけの問題ではなく、他の種類のナッツを食べることによってカシューナッツには少ない栄養成分も補えるという意味でもミックスナッツはダイエットに向いていると言えます。
詳しくはナッツの種類別の効果効能とダイエットに効く食べ方や方法についてをご覧ください。
まとめ
- カシューナッツはビタミンB群、ミネラルが多く脂質の6割はオレイン酸
- ダイエットする場合は1日13粒程度が目安(片手1杯分)
もしカシューナッツでダイエットをやる場合は無塩で無添加(無植物油)のものを選ぶようにしましょう。普通に売られているカシューナッツは塩分や品質が低い油分が添加されているものが多く、さらに脂質が増えるのでおすすめできません。
ナッツ類は太るイメージがありますが、しっかり摂取量を守って、無塩、無添加の物を食べれば、健康・美容・ダイエットに効果がある食べ物です。
ぜひ継続してたべてくださいね。