パスタのパッケージの原材料表示を見ると、
「デュラム小麦のセモリナ」と書いてある商品を多く見かけます。
ですが、パンやうどんなどに使用される小麦とどのような違いがあるのか、わからない人が多いのではないでしょうか?
今回はデュラム小麦について
- 普通の小麦との違いは?
- セモリナとは?
- 栄養成分について
- ダイエットに向いている理由
など詳しく紹介します。
デュラム小麦とは?普通の小麦との違いについて
「デュラム」とは小麦の品種のことです。
「デュラム小麦」はとても硬く黄色いのが特徴です。
また普通の小麦と比べて良質のタンパク質を多く含み、弾力性に富んでいます。
パスタの原料として使用されるのは生地の形成がしやすく、ゆでてもコシが強くて形が崩れにくいからです。
パスタはアルデンテが一番おいしいと言われていますね。
それはデュラム小麦を使用しているからで、柔らかいパンやうどんに最適な普通の小麦では、コシのあるパスタを作ることはできません。
※アルデンテとは、イタリア語で「食べ物に歯ごたえがある」という意味
生産地は主に北米大陸、豪州、ヨーロッパなどで日本での生産はありません。
日本はカナダから輸入していることが多いです。
セモリナとは?
参照:日清製粉グループ「小麦の栄養と機能」
セモリナとは小麦の胚乳部のことで、小麦の芯の部分を指します。
製粉工程で小麦を軽く粉砕することによって、胚乳を細かくしないで、ざらめ状(粗びき)で採り出したもので、一般的に小麦粉と言われる「強力粉」や「薄力粉」に比べて粗く大きい粉です。
パスタの原材料名では「デュラム小麦のセモリナ」と記載されている商品が多いですが、それは「硬い種類の小麦の胚乳を粗挽きにしたもの」ということになります。
このデュラム小麦のセモリナがパスタには最適と言われていて、イタリアの国の法律では「デュラムセモリナ」以外のものはパスタと認めていないほどです。
日本で売られているパスタも今ではほとんどの商品が「デュラム小麦のセモリナ」を使用しています。
デュラム小麦の注目の栄養成分は?
デュラム小麦には、身体に必要な三大栄養素と呼ばれる
- 炭水化物(糖質)
- たんぱく質
- 脂質
この3つの成分がとてもバランス良く含まれています。
このほかにビタミンB群もデュラム小麦には多く含まれています。
ビタミンB群は炭水化物を体内で素早くエネルギーに変える働きがあり、代謝を促進させる効果があります。
そしてパスタだけでなく、一般的にお米やうどん、パンといった「炭水化物が多い食べ物は太る!」というイメージがありますが、デュラム小麦は太りにくくダイエットに向いていると言われています。
デュラム小麦がダイエット向きの理由
食事をして血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンは全身の細胞に糖を行き渡らせ、エネルギーとして使うのを促すことで血糖値を一定に保つ働きがあります。
一方で、ご飯やパンなど一度に大量の糖質を取り、血液中の血糖値が急上昇すると、インスリンが過剰に分泌され、エネルギーとして使われなかった余分な糖を脂肪細胞に蓄えていきます。
そのため「糖質が多い食べ物=太る」というイメージがあります。
ですが、パスタは血糖値が急上昇しにくい食べ物です。
実際に血糖値が急上昇する食べ物なのかどうかを知るGI値(グリセミック指数)という指標があります。
GI値とは?
GI値とは炭水化物が分解され糖に変わるまでのスピードを現した数値です。
一般的にGI値の低い食品は血糖値が急激に上がることの抑制効果が期待できる食品と言われています。
逆にGI値の高い食品は血糖値を急に上げてしまい、肥満の原因になるインスリンが多量に分泌されてしまいます。
糖質が多い穀物の場合のGI値の目安は「GI値70以下の食品」です。
70以下であれば血糖値の上昇がゆるやかになり、太りにくく、糖尿病などの病気にもかかりにくくなります。
穀物を使用した食べ物のGI値
- フランスパン:93
- 食パン:91
- 白米:88
- うどん:80
- もち米:80
- パスタ(乾燥):65
- そば:59
- 玄米:55
- パン(全粒粉):50
- パスタ(全粒粉):50
参照:GI値一覧表
パンやうどん、白米は80以上でとても高いですが、乾燥パスタは65と基準の70よりも低いです。
また全粒粉パスタであれば50ととても低い数値になっています。
※全粒粉パスタとは小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたもの。胚乳だけを使用したパスタよりも栄養価が高い。
※原料の小麦のGI値は60、デュラム小麦は41です。
近年、血糖値を抑えた食事や低GI食品が注目されていますが、同じ炭水化物の白米や白パン、そばなどに比べ、デュラム小麦を使用したパスタ(特に乾燥パスタ)は、GI値が低いです。
血糖値がゆっくりと上昇することでインスリンの過剰な分泌を抑え、肥満を防いでくれます。
また、低GI食品は、満腹感が持続しおなかが空きにくいことを意味し、エネルギー源としてとても効率が良いということになります。
さらにアルデンテにゆでた太めのパスタは、噛む回数も多くなるため適量で満足感を得やすいというメリットもあり、ゆっくり消化されるので血糖値の上がり方も緩やかになります。
デュラム小麦のアレルギーやグルテンについて
小麦といえばアレルギーが気になりますね。
デュラムセモリナ粉は、小麦よりアレルギー反応が軽いと言われています。
ですが、やはり小麦由来ですので、小麦アレルギーの人はデュラム小麦も避けたほうが良いです。
また、最近はグルテンフリーの食べ物を好む人が増えてきました。
テニスのジョコビッチ選手もグルテンフリーの食事にしたことで体調が良くなったと言われています。
ただグルテンは小麦に最初から含まれているものではありません。
小麦粉に水を加えてこねると小麦に含まれているグリアジンとグルテニンというタンパク質が結びつきグルテンができます。
そのため普通の小麦もデュラム小麦でもグルテンができる量はそれほど変わりません。
このグルテンのおかげで、パンやうどん、お菓子を作る時に生地のまとまりを良くしたり、もちもちとしたコシのある食感を生み出すのです。
ただ一方でグルテンの悪影響が指摘されています。
そのため、今ではグルテンフリーの食べ物を食べる人も多くいます。
もちろん小麦アレルギーやグルテン不耐性(グルテン過敏症)の人や自己免疫疾患の一種であるセリアック病の人はグルテンフリーにしたほうが良いと言われています。
ですが、体調が悪くなったりするのはグルテンが原因というよりも、小麦そのものも品質が悪くなったためと指摘する人も多いです。
農薬を大量に使用したり、輸出の際の殺虫剤・防かび剤などのポストハーベスト、遺伝子操作による大量生産などで小麦の品質が悪くなり、それをたくさん食べた人に症状が出ている可能性も高いです。
グルテンフリーダイエットも流行っていますが、糖質を抜くとリバウンドしやすいと言われています。
体調が悪いのはグルテンだと決めつけずに、デュラム小麦でも有機(オーガニック)のパスタが販売されていますので、そちらを試してみてください。
おすすめは
「アルチェネロの有機全粒粉スパゲッティ」です。
こちらはデュラム小麦の全粒粉で作った有機のスパゲッティです。
全粒粉なので一般的なデュラム小麦よりも栄養価が高く、有機なので安心して食べることができます。
見た目は茶色なので、私も食べる前はおいしくないのかもと思いましたが、全くそんなことはなく、おいしく食べることができました。
ぜひ一度お試しください。
まとめ
デュラム小麦は普通の小麦と比べて良質のタンパク質を多く含み、弾力性に富んでいてパスタに最適と言われています。
また、セモリナは小麦の胚乳部のことで、小麦の芯の部分を指します。
イタリアではパスタにデュラム小麦以外の小麦は使用してならない法律がありますが、日本でもほとんどのパスタの原料はデュラム小麦を使用しています。
パスタはGI値が低く、血糖値の上昇がゆるやかなので、パンやごはん、うどんなど他の炭水化物が多い食べ物よりも太りにくいです。
ただし、パスタはあまりかまずに食べることで、大量に食べ過ぎてしまう場合があります。
いくらダイエットに良いと言われていても食べ過ぎは気をつけてください。
またグルテンフリーダイエットをしている人もいますが、糖質ゼロはリバウンドをする可能性が高いですし、健康面にも悪影響が指摘されていますで、血糖値の上昇を抑えてくれるパスタを食生活に摂り入れてみましょう。